140字小説一覧|

*8月|2015年9月|10月#
舘智幸&二宮大輝強化月間(EK9)
↑new.↓old.



「今いいか」『二宮さん』「久しぶり、だよな」『はい、実習で東京に。今日帰ってきました』「…そっか」言いたい事は沢山あるのに、視線すら合わせられない。『あの、』切羽詰まったような彼女の声。『…私の事、迷惑ですか。…嫌い、ですか』「嫌いなわけないだろ」即答して認識した。「…好きだよ」
台詞『嫌いなわけない』ギャグっぽい場面 二宮大輝 (2015.09.30)


彼女が心に居座って出てってくれない。何度か話した事のあるギャラリーの一人ってだけの筈なのに。「最近あの子見ないよな。大輝によく声掛けてきた子」「…そうっすね」彼女の事、好き、なのかもしれないな。そわそわと落ち着かないこの気持ちを確かめたい。今度会ったら、オレから声を掛けてみよう。
【9/30のお題】居座る 二宮大輝 (2015.09.30)


『トモさん、データ出ました』「ありがとう」PCを覗き込む彼が近付き自分の赤面が判る。あなたが好き、告白と同義。「今更照れるような間柄でもないと思っていたが」『…すみません』視線が交錯。「セッティングを変えてみよう。手伝ってくれるか」『勿論です!』その笑顔が見られるのなら何だって。
【9/29のお題】照れ隠し 舘智幸 (2015.09.29)


急ブレーキとアナウンス。『少々停車致します』帰宅ラッシュの車内あちこちで溜息。恋人はもう帰宅しているだろうか。メールを送るとすぐに返信。夕飯の用意は済んでいる事、駅まで迎えに行くから到着時刻が分かり次第連絡して欲しいと。『間もなく運転を再開致します』私は慌ててメールを打ち始めた。
【運転再開】舘智幸 (2015.09.29)



『おかえりー』出張から帰宅すると、いつものように恋人が迎えてくれた。たった数日でこの渇望。彼女を抱き締め廊下へ押倒す。『智幸…』「お前の顔見たら箍が外れた」『…その…、あ、あたってます…』頬を火照らせもじもじと膝頭を擦り合わせる彼女の様子に口元が緩む。「俺達、今同じ事考えてるな」
#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ちょっとエッチ 舘智幸 (2015.09.28)


髪。頬。唇。掌、指先。柔らかく心地良い感触に浸る。触れるだけでうっとりと蕩けてくれるきみが愛しくて。オレって幸せだなぁなんて思ったりする。「できるだけ優しくするから」『いつもできてないよ大輝』「じゃあここでやめるか」『やめるわけないよね』苦笑が混じった甘やかなキスからはじめよう。
#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ちょっとエッチ 二宮大輝 (2015.09.28)


「またツナギ買うのか」大輝が隣からカタログを覗き込む。『社長が買ってくれるって』「ふーん。オレ、おまえのツナギ姿好き。制服みたいなもんだから?」『私に聞かれても』「後で着て見せろよ」『今のとあんま変わらないけど』「約束だぞ」『はいはい』適当な返事に喜ぶ大輝が可愛くて困る。
#Dカレ 二宮大輝 (2015.09.28)


「無視すんな」大輝の刺々しい声に足を止める。『…私みたいな出来損ないに構ってる暇があるなら、もっと自分のために時間使いなよ』「誰に何言われたのか知らねーけど、オレはおまえと一緒に走りたい」ぐいと手首を掴まれ彼を振り仰いだ。「…おまえじゃないとダメなんだ」愁いを帯びた瞳が私を貫く。
#140SS:文中⇒無視・イメージ⇒不安 二宮大輝 (2015.09.27)


携帯を手にした女。「何してる」声を掛けた彼女は動画撮影中のようだ。『撮影禁止ですか』「…そういう訳じゃ」『塾生同士のバトルはレベルが高いと聞いて…すみません』思い詰めた表情に頬を掻く。「追っかけるけど横乗るか」『ありがとうございます、二宮さん』「オレの事…」『知ってますよ』艶笑。
【9/27のお題】情報収集 二宮大輝 (2015.09.27)



俯いて携帯を弄る恋人を見つけた。『…セーフ?』「思いっきりアウト。遅刻の理由は」『…向かい風が強くて?』「無風だろ」『ごめん、ガソリン奢る』「満タンだっつーの」『じゃあプリカ』「…騙されねえ」『ごめんてばー』「化粧も服も、気合入れなくたって充分可愛いぞ」『何で大輝が顔赤くするの』
台詞『思いっきりアウト』ギャグっぽい場面 二宮大輝 (2015.09.27)


例えば俺が死んだなら。こんな事を話したら、縁起でもないときみは怒るかな。夢中で峠を走っていた頃から、必死にサーキットを走る今も。今日こそ死ぬかも知れないと思いながらステアリングを握る日々。いってらっしゃい、と送り出してくれるきみのために走り続けたい。俺が生きる理由は腕の中に在る。
【9/26のお題】例えば 舘智幸 (2015.09.26)


スーツ姿の彼女を抱き締めた時に香った。恐らく首筋か耳の辺りから。「いつものやつか」『まだ匂う?朝つけすぎたかな』「いや。もう随分薄い」『智幸鼻利くもんね』微笑と吐息を零し彼女が身を捩る。『お風呂入るから』「解ってる」唇が重なる瞬間、キッチンから炊飯完了を知らせる陽気なメロディー。
【香水】舘智幸 (2015.09.26)


「おかえり」私を迎えたのはエプロン姿の智幸。『ただいま。早かったね』「ああ。風呂沸いてるぞ。米が炊けるまでもう少しかかる」『じゃあお風呂』「疲れてるみたいだな」『甘やかしてくれてもいいよ』「そのつもりだ」『冗談だけど』「自分の言動には責任を持て」『…ハイ』玄関で苦笑混じりの抱擁。
【甘やかしてくれてもいいよ】舘智幸 (2015.09.26)


口論なんて大袈裟だけど些細な言い争いの途中、ぷいと彼女がそっぽを向いた。その仕草が可愛いのわかっててやってるって知ってる。知ってるけど…あーやっぱり可愛いなちくしょう。膨れた頬に指先で触れると拗ねた表情が少し和らぐ。惚れた弱みってやつだろうか。オレは本当、きみにだけはかなわない。
【あぁ、弱いなぁ】二宮大輝 (2015.09.25)



「おねーさん。遊びましょ」人待ち顔の女性に声を掛けたら睨まれた。『いいよ』「へ?」『きょとんとするな。誘ったのあんたでしょ、二宮』「待ち合せじゃないんすか」『すっぽかされた。暇になったから一日付き合って。クルマどこ』「そこの駐車場ですけど」『鍵出しな』「まさか…」『そのまさかよ』
【ねえねえお姉さん僕と遊ばない?】二宮大輝 (2015.09.25)


「またケンカしたのか」『平気。二宮君がそんな怒ることないでしょォ』「女に手上げるとか腹立つんだよ。オレはおまえを泣かせたりしない」彼女の驚いた顔に唇を結ぶ。これでもう〈ただの友達〉へは引き返せない。崖の淵を背にしたような恐怖で足が竦むけれど、後悔はしていない。さあ、選択と決断を。
【9/25のお題】引き返す 二宮大輝 (2015.09.25)


『ちーっす』手には半帽メットとビニール袋。今日は客ではないようだ。「雨ん中原チャかよ」『急に降ってさァ、参っちゃうよ。社長は?』「もうすぐ戻ると思うけど」『そ。雨止むまでお茶付き合って』彼女は返答を待つことなく給湯室へ向かう。『皆おやつ食べよー』ガレージへも声を掛け束の間の休息。
【三時の雨宿り】二宮大輝 (2015.09.25)


「ちょっと野暮用。彼女置いてっていい?」「俺は構いませんよ」「悪いね、すぐ戻るから」カメラ片手に駆け出す記者の背中を見送る。「…久し振りだな。覚えてるか」『覚えてるよ』「元気そうで良かった」はにかむような明るい笑顔で頷き『智幸も』と返す彼女。言いたい事が沢山あったと気付かされる。
#140SS:文中⇒明るい・イメージ⇒決意 舘智幸 (2015.09.24)


シーツを握り締める手は智幸の掌で覆われる。「どこまで逃げるつもりだ」スプーンが重なるように背後から抱擁。「俺がお前を手放すと思うか」首を捻ると唇に熱く甘い急襲。「認識が甘いな」崩落寸前の腰を掴まれた。「…愛してる」縛って、繋いで、どんな手段でもいい。本当は片時だって離れたくない。
台詞『どこまで逃げるつもり』エロティックな場面 舘智幸 (2015.09.24)



「活きの良い奴が居るってよ」塾生の評判を聞いた。東堂塾の求めるレベルで〈走れる〉女が珍しいだけ。自分にとってはただの噂に過ぎない正体不明の人物。暫く経ち、彼女の走りを目の当たりにして考えは変わる。「どうすかトモさん、すごくないですか」「ああ。興味深いな」ぽつりと漏れた貪欲な本音。
【9/24のお題】べた褒め 舘智幸 (2015.09.24)


学生時代の恋人を不意に思い出す。自分本位の恋愛ごっこ。後悔で軽い苦味。「舘君。取材いい?」聞き慣れた記者の声。振り返ると傍らに見覚えの無い女性。いや、緊張気味の硬い表情に懐かしさを感じる。「彼女研修中なんだ。期待の新人」『よろしくお願いします』美しい礼。彼女に惹かれたのは二度目。
【もう一度、恋をしよう】舘智幸 (2015.09.24)


『お待たせ』「おう」今日は目線の高さが同じくらい。足元へ目を遣れば普段より高いヒール。「おまえさ、本当にオレでいいの」『は?』「いや普通…女って背高い方が好きだろ」『普通って何?私の意思を無視しないで。大輝は私に愛されてりゃいーの!』一気に捲し立てた恋人は赤い顔でオレの手を取る。
#140SS:文中⇒普通・イメージ⇒嬉しい 二宮大輝 (2015.09.23)


『二宮。これ食べる?』「いただきます。どっか行ったんですか」『ちょっと遠出してきた』「酒井さんと?」彼女は微笑って頷く。「式の日取り決まったんでしたっけ」『んー、まあ候補は幾つか。二宮も都合ついたら来てよ』「もちろん。楽しみにしてますから」彼女が笑顔を見せるたび、オレの心は沈む。
【多分上手く笑えていない。】二宮大輝 (2015.09.23)


「どうしようもなく好きだ。この気持ちをどうしてくれる」『なんて答えづらい…』唸る私の前髪に智幸の唇が触れ目を合わす。「答えが出るまで傍に居ればいい」『答えが出たら?』「また何かしら問うとしよう」『繰り返してたら二人でずっと年取ってくね』「二人とは限らないぞ」勝手な想像でニヤニヤ。
台詞『どうしようもなく好き』楽しい場面 舘智幸 (2015.09.23)



青空にくっきり浮かぶ稜線。都会暮らしに慣れたとは言え、やはり緑の中に居ると落ち着くようだ。デルソルの助手席から降りた智幸が「交代だ」と背伸びする私へ投げた。それには答えず、小走りで近付き袖を引く。「どうした」『…ううん』「夜まで待てないか」指が絡む。「お前の言いたい事は大体解る」
#140SS:文中⇒くっきり・イメージ⇒構って欲しい 舘智幸 (2015.09.22)


★140字以上のためこちらに掲載。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:貴方のそんな声は知らない 二宮大輝 (2015.09.21)


『大輝』オレを呼ぶ声。当り前で気にも留めない行為が嬉しかった。ありふれた出会い、ありふれた別れ。互いに納得したつもりで居た。今も乗っているかは判らない彼女の愛車と同じ車種を見掛けるたび心臓が跳ねる。自分の気持ちを素直に伝えていたら。彼女が思い出になるまではまだ時間が必要みたいだ。
#140SS:文中⇒ありふれた・イメージ⇒未練 二宮大輝 (2015.09.21)


「先輩にたてつこうってのか」『先輩?』「塾生としてはオレのが先輩だからな」言い返せない事が悔しくて唇を尖らせた。踵を返すと腕を掴まれ身体ごと大輝と向き合う。「このまま運転したらお前の車がかわいそうだ」『どういう意味』「隣乗れよ。教えんのは得意じゃないけど、オレにできることをする」
【9/21のお題】たてつく 二宮大輝 (2015.09.21)


「来たな」社長の呟きに立ち上がり『1分だけ休憩ください』返答を待たず外へ飛び出す。『トモ!』「どうした、仕事中だろ」『休憩中』久しぶりに会う恋人へ体当たりにも似た抱擁。そのまま彼の存在を確かめるように30秒。名残惜しいが身体を離した。『またね!』足取り軽く私は〈戦場〉へ舞い戻る。
【四十五秒以内の逢瀬】舘智幸 (2015.09.20)



彼女の環境がそうさせたのだろう。車やレースは身近な存在だったと。今も快晴のサーキットを走りたくて仕方ない筈。『舘さん、目線』グリッドウォーク中、背後から小声。「今回限りというのは残念だな」『最初で最後です』パラソルが落とす影にまで気を遣う。「最高の贈り物を約束する」目指すは頂上。
【9/20のお題】根っからの #御題bot:最初で最後の相合傘 舘智幸 (2015.09.20)


★140字以上のためこちらに掲載。
#1夢:お願いだから、逃げないで 二宮大輝 (2015.09.20)


「まだマスクって…カゼ治ってねえのか」『…ヘルペス出た』「またかよ!病院は」『行った。薬塗ってるから近付かないで』「早く治せよ」『言われなくても』「お前とキスできないオレの身になれってんだ」『はいごめんなさいね』マスクの内側でニヤける口元。どうか大輝が気付きませんように。
#Dカレ 二宮大輝 (2015.09.19)


彼女が祖父から受け継いだ真赤なエスハチで迎えに来た。木製ハンドルを操作する手付きは優美だ。二人寄り添って、同じ年月を重ねていきたい。この車が世代を超えて愛され続けるように。そんなガラにもないことを助手席でぼんやり考える。『どしたの大輝。静かだね』「…べつに」オレの決意はまだ内緒。
【9/19のお題】年代物 二宮大輝 (2015.09.19)


肌の上で指先を滑らせると、彼女は身体を震わせ俺の名を呟く。触れるだけのくちづけ。きつく結ばれた唇を解きたくて耳元で囁いた。「声、我慢するな」それを合図に彼女の全身から力が抜けていく。意地悪と叱られるかも知れない。でも俺が、この攻め時を逃す手は無いと。きみなら理解出来る筈だ。
#1夢:いまが攻め時 舘智幸 (2015.09.19)



愛車の傍から動けないまま、視線だけが彼を追う。塾生…いや戦力としての基準を満たせばもっとあなたに近付けると、期待しても良いのでしょうか。一歩、足を踏み出した。わからないなら聞くだけだ。『トモさん』プロデビューを控えた想い人の名を。『隣、乗ってもらってもいいですか』「ああ。今行く」
【9/18のお題】基準 舘智幸 (2015.09.18)


待ち合せ場所に現れた恋人は思い掛けないものを抱えていた。驚きと照れを混ぜ思わず口元が緩む。「あまり笑うな」『だってそれ、どうしたの』「似合わないと解ってはいたんだが。受け取ってくれるか」紅い薔薇11本の花束。その意味は[最愛]。『もちろん。ありがとう智幸、嬉しい』彼の唇にも微笑。
台詞『笑わないで』ロマンティックな場面 舘智幸 (2015.09.18)


「世界で一番愛しております」手の甲に大輝の唇。『…悪い物でも食べた?』恐る恐る訊いてみる。「何を仰いますか」にっこり笑んだ彼は私の手を離そうとしない。「途惑う表情もまた愛らしい。意地悪な悪戯をしたくなっても仕方のないことですよね」背中がこそばゆい。『…好きにして』「仰せのままに」
台詞『世界で一番愛しております』甘い場面 二宮大輝 (2015.09.17)


ぶり返した風邪は厄介。「マスクしてる。まだ治んねえの」職場に顔を出した大輝がしれっと問う。『誰のせいよ』「看病してやろーか」『結構。うつるよ』「オレにうつしたら治るんじゃね?」『そしたら誰が大輝の看病するの』「お前に決まってんだろ」『…一生終わんない』悪びれず笑う恋人を憎めない。
【9/17のお題】ぶり返す 二宮大輝 (2015.09.17)


「変わりないか」『智幸宛に荷物届いてたよ。リビングに置いてあるから』「ああ。戸締り忘れるなよ」『わかってます』声を聞いて余計に会いたくなった。明日には会えるというのに待ち切れず落ち着かない。携帯越しの声だけでは、画面に並ぶ文字だけでは。隣に君が居ない寂しさは埋められない。
#御題bot:君がいない寂しさは埋められない #Dカレ 舘智幸 (2015.09.16)



「見付かったのか」『皆に手伝ってもらったから思ってたより早くね』常連客からの注文は諦め気味の〈絶版車〉。四六時中仕事用の携帯を睨みあちこち駆け回っていた。『かなりの掘り出し物なのよ』胸を張る彼女こそ、俺にとっての。『智幸ヘンなこと考えてない?』「…いや」『ふうん』左隣で甘い吐息。
【9/16のお題】掘り出し物 舘智幸 (2015.09.16)


何度突放しても諦めてくれなかった。いつか、隣に居ることが当然で。今では仲睦まじい恋人。「どっか出かけるか」『大輝はなんか用事あるの』「べつに」『じゃあ家に居る』「そっか。来週は付き合えよ」頷き布団に潜り込む。私が嫌いな私を好きだと言ってくれる〈変人〉は世界に一人で充分だ。
#御題bot:嫌いな自分を好いてくれる人 #Dカレ 二宮大輝 (2015.09.15)


夜中に便器抱えて嘔吐する姿は見せたくなかった。背中を擦る掌から困惑が伝わってくる。『大輝お酒強くないんだから…無理しちゃだめだよ』ビール、日本酒、ワイン、焼酎…先輩に注がれるまま何種類飲んだかなんて覚えていない。「今日はお前が上な」『全部吐いたら寝なさい』背中に平手打ち。
【9/15のお題】いたわる #Dカレ 二宮大輝 (2015.09.15)


私の身長がもっと高かったら、違う人生を歩んでいたのかな。手元の画面は恋人のインタビュー。隣でパラソルを差す華やかな女性。不意に左耳のイヤホンが外された。「待ったか」慌てて携帯を鞄へ。「今日は背が高いな。足痛くなったら言えよ」智幸は私の手を取り、普段よりもゆっくり歩き出す。
【ヒールの高いやつ履いても追い越せない】#Dカレ 舘智幸 (2015.09.14)


うかつな手出しは出来ないと、彼女を一目見て感じた。硬い表情のせいだけではない。不安げな瞳の深奥、隠し切れない情熱が灯っていたから。『よろしくお願いします、舘さん』助手席に腰を落とすと彼女が頭を下げる。「緊張しなくていい。普段通りに走ってくれ」『…はい』さあ、お手並拝見といこうか。
【9/14のお題】うかつ 舘智幸 (2015.09.14)



さらさらと彼女の髪が揺れた。目には薄く涙が滲んでいる。『なによ、大輝。…女が泣くの、そんなに珍しい?』言葉を失くしたオレを嘲笑う。「オレはどうすればいい」『黙って立ってて』「…わかった」答えた途端、心臓のあたりに額が押し付けられた。彼女を抱き締めることは許されるだろうか。
【9/13のお題】困惑 #Dカレ 二宮大輝 (2015.09.13)


給湯室を覗くと女性が俯いていた。声を掛けると彼女は涙目で客にからかわれたと告げる。『すみませんこんな事』入職したて、恐らく男慣れしていない彼女にとっては一大事だろう。「戻れそうか」『はい。舘さんに会えて元気出ました』「俺に出来る事があれば遠慮なく言ってくれ」笑顔で頷くきみが好き。
【9/10のお題】涙目 舘智幸 (2015.09.10)


「大輝、鈍いって言われた事ないか」突然の問い。訝しんで問いを返す。「どういう意味ですか、酒井さん」「言葉通り」彼の隣に立つ女性が微笑う。「先輩も何か知ってんですか」『さあ』「それ知ってる感じですよね」『知らない』「何ですか…」いつか彼の隣を歩けるように。彼女の願いは叶うだろうか。
【いつか隣を歩けますように】二宮大輝 (2015.09.09)


彼女の恋心は傍から見ても丸分かり。ちらちら視界に入るそれが目障りで仕方ないのは、きっとオレが彼女を気にしているからで。『大輝、隣乗ってくれる?』「いいけど。トモさんに頼めば」『そんな事言えないよ』「オレはいいのか」『大輝には何でも話せるから』ああ、これ友達以上にはならないやつだ。
【9/9のお題】目障り 二宮大輝 (2015.09.09)


「そのくらいにしておけ」熱心にフェイスローラーを転がす彼女へ声を掛けた。『もー少し』触り心地の良い柔らかな頬が失われてしまっては非常に困る。彼女のまるっこい笑顔は俺のみならず、周囲を幸せにするからだ。「俺が揉んでやる」両手で頬を挟むと目を円くして『ちがう』焦ったように声を上げた。
【9/8のお題】まんまる 舘智幸 (2015.09.08)



『大輝君、お疲れ様』年上の恋人はうんと背伸びしてオレの頭を撫でる。「子供扱いですか」照れ隠しで口調はキツくなった。『…私はコレしてもらったら嬉しいから。大輝君が嫌ならもうしない。ごめんね』しゅんと項垂れた彼女を抱き締め、否定の意味を込めて髪を撫でるとくすくす笑いが耳朶をくすぐる。
#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ほのぼの 二宮大輝 (2015.09.08)


『コーヒーでいいですか、トモさん』キッチンから彼女の声。近寄り小さな背中を腕に収める。『トモさん?』振り向いた無防備な唇にキス。「二人で居る時くらい名前で呼んでくれ」『…と、智幸さん…』「ああ。悪くないな」『…手、離してください…』頼りない懇願は暫く聞こえないフリをすると決めた。
#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ほのぼの 舘智幸 (2015.09.08)


「聞いたか。トモさん結婚するって」『…ん』ガレージ隅で俯き工具を整理する彼女の表情は窺えない。「諦めろ」『…ん』「潮時だろ。オレにしとけって」『大輝君、誰にでもそういう事言いそう』苦笑めいた吐息は震えている。「オレは本気だからな」『私も本気だった』「…知ってる」その横顔に涙の跡。
【その横顔に泣いた跡を見つける】二宮大輝 (2015.09.07)


出来心だと大輝が力なく笑う。合鍵を後悔した。夜勤を終え玄関を開けた途端暗い部屋から「おかえり」。絶叫は温かな手に塞がれる。『来るなら言って』解放された唇は戦慄いた。「色々あってな。慰めてもらおうと思って」『…お風呂入っていい?』「オレはそのままでもいいけど」きつい抱擁、軽くキス。
【9/7のお題】出来心 二宮大輝 (2015.09.07)


子供じみた我儘が彼を苦しめた。悲しませるつもりなんかなかったのに、私の所為で。『智幸、』「…ごめんな」どうしてあなたが謝るの。彼の優しさに甘えてしまう私は許されるでしょうか。今、背中を向けたら抱き締めてくれますか。祈りにも似た願いを込めて目を瞑る。涙が一筋頬を伝って唇を震わせた。
#御題bot:今背中を向けたら 舘智幸 (2015.09.06)



週末、妹が上京してきた。都内のオープンキャンパスを巡るという。「一人で大丈夫か」『平気だよ、携帯もあるし』「何時に終わるんだ?迎えに行く」『ちゃんと戻ってくるってば。心配しないで』苦笑する彼女はどこか大人びて、俺の知らない顔を覗かせた。『じゃあいってきます』「ああ。気をつけろよ」
妹の日 舘智幸 (2015.09.06)


『起きて!』騒々しい声に目を覚ます。『どっか行こー』「…親父は」『デート。夕方帰るって』「お気楽夫婦だな」『だからお兄ちゃん車出して』「眠い。無理」『お昼だよ』「じゃあ昼メシ食ってから」『んー…ある物で適当に作るけど二度寝しちゃダメだよ!』「起きるって」好天の日曜はお出掛け日和。
妹の日 二宮大輝 (2015.09.06)


窓を叩く雨。忙しなく動くワイパー。助手席の恋人は上機嫌。「大雨の何がそんなに楽しいんだ」『ごめん、運転大変だよね。でも大輝と一緒に居られて嬉しいの。大輝のそばより居心地いい場所なんて私知らないよ』言葉に詰まって唇を結んだ。そんなことを躊躇なく言えるひと、オレはきみ以外に知らない。
【ここより居心地の好い場所は知らないわ】二宮大輝 (2015.09.06)


★140字以上のためこちらに掲載。
#1夢:後悔はしたくない 二宮大輝 (2015.09.06)


部室棟の隅。全開の窓。蝉の声。故障中のエアコン。団扇の温い風でも無いよりマシ。ドアノブが捻られた。『お疲れ様…なんだ大輝か』「なんだとはなんだ」『大福いる?』「暑い日に食いたいと思うか」『無理に食べろて言ってない』友人は斜向いに腰を下ろし思い付いたように『アイス大福だよ』「くれ」
#御題bot:うちわ 大福 部室にて 二宮大輝 (2015.09.05)



火照った頬に智幸の手が触れた。「風呂入るなら声掛けろ」『だって気持ちよさそうに寝てたから。一緒に入るのはまた今度ね』「約束だぞ」承諾の意味で頬を撫で返すと智幸の不満気な表情は少し和らいだ。あくびが零れる。『…そろそろ寝なきゃ』「だめだ。黙って抱かれろ」きっと今夜も眠れない。
#1夢:黙って 舘智幸 (2015.09.05)


★140字以上のためこちらに掲載。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:真夜中の秘密 舘智幸 (2015.09.04)


過去の栄光に縋るような真似はしたくないが現状への苛立ちは隠せない。『社長に話してみたら?』遠慮がちな囁きに寝返りを打つ。こちらを見詰める瞳は黒く濡れていた。「心配するな」恋人の頬を撫でると身を捩り『くすぐったい』と微笑う。「こっち来い」『智幸、』名を呼ぶ声に深く沈みたい。
【9/4のお題】回想 #Dカレ 舘智幸 (2015.09.04)


『レーシングスーツてどこで買うの?』「どっか走んのか」恋人の質問に質問を返す。『来月、初心者向け走行会。申込済』「後出しすんなよ」『後で言おうと思ってたのー』「今から揃えて車も手入れて…急がねーとな。社長に話つけておく」『やった!大輝頼りになるぅ』「キッチリ礼させっから覚えとけ」
【9/3のお題】後出し 二宮大輝 (2015.09.03)


助手席で彼女が口ずさんだメロディに聞覚えはない。「機嫌いいな」『久しぶりに会えたから。…顔緩んじゃう』照れ笑いで頷き、でも、と続ける。『私は智幸のこと見てたよ、ネット中継。本物の方が絶対かっこいいけど。さわれるし』二の腕を指先でつつかれた。「…それ以上はやめておけ。我慢の限界だ」
【9/2のお題】口ずさむ 舘智幸 (2015.09.02)


*8月|2015年9月|10月#


140字小説一覧||0:top