140字小説-2015年9月|


夢書き深夜の真剣執筆60分一本勝負#1夢:お願いだから、逃げないで 二宮大輝 (2015.09.20)


夢書き深夜の真剣執筆60分一本勝負#1夢
・お題:お願いだから、逃げないで
・【頭文字D】二次創作
・女性主人公 夢小説 ※無名"夢主"のため名前表記・変換なし
・相手:二宮 大輝
・夢主設定:年上の恋人

----------


お願いだから、逃げないで。目を逸らさないで。今あなたの眼前に居るオレを――オレだけを、見て。週末の夜、彼女の部屋、並んで腰掛けるソファ。逡巡の後に掴んだ彼女の手首は僅かに途惑っていた。

「はなして」

か細い声で「今絶対顔赤いから」と続ける。

「私のほうが年上なのに。大輝君と居ると、余裕なくて……恥ずかしい」

「オレが余裕あるように見えます?」

「……ちがうの?」

「全然違います。今も心臓バクバクですよ」

彼女の掌を己の胸元へ押し付け黙る。動悸は感じてもらえただろうか。

「……ドキドキしてる。私とおんなじ」

お返しとばかりにオレの手を胸元へ誘った彼女は、はたと我に返ったように両目を瞬かせて。

「えと、これはなんていうかその、性的な意味ではなくて……」

「オレは〈そっち〉の意味でも構いませんけど」

平静を装い冗談めかすが、手だけは離さない。あと数センチの距離に在る、胸の膨らみ。きっと素敵な夢が詰まっているに違いない。やがて彼女の唇から、くすくすと控え目な笑い声が零れた。

「……なんかおかしいですか」

「もっと早く言えばよかった。大輝君、私にいつ手出そうかずっと迷ってたんだね」

返答に迷う。むしろ今もそうです、と正直に言うのが正解か。そのうち、オレの右手が彼女の胸元に一瞬触れる。衣服の感触だけが掌に残った。言い訳がましいが、手を伸ばしたつもりはない。

「今夜は帰さないからね?私が大輝君に手を出すんだから」

瞳の奥を覗き込まれた。重なる手、少量の遠慮を撫でるように指先が絡む。

「……オレとしては、願ったり叶ったりですけど」

目を閉じる暇さえ与えない、キスを唇へ。今のを含めても、キスした回数は片手で足りる。今夜はきっと、二人の両手両足を使っても数えきれないくらい。――ほら、もう一度。今度は彼女から、小さく音を立てて小鳥が啄むように。

「おあずけ喰らってた分も覚悟してくださいよ」

「……大輝君のえっち」

「誉め言葉です」

唇にやんわり噛み付き、舐め回し、歯列を抉じ開ける。逸る気持ちはまだ――どうにか抑えられているようだ。さて、オレの理性はいつまで保たれるだろう。


(2015.09.20)



140字小説一覧||0:top