140字小説一覧|

*9月|2015年10月|11月#
秋山延彦&松本修一強化月間(SXE10)
↑new.↓old.



赤城は初めて。自分から男の人に話し掛けたのも初めてだ。「申し遅れました。松本といいます」『私、』「今はお名前聞きません。次に会った時俺から声掛けさせてください」それは約束。こくり頷いた私を見詰めて彼も頷いた。「それじゃあまたここで」澄んでゆく青空に沈む紺色のアルテッツァを見送る。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:青空に沈む 松本修一 (2015.10.31)


「トリックオアトリート」開いた玄関、お帰りと返ってくる筈だった。真顔で言われ驚きより笑いが込上げる。『お菓子持ってない』「それなら悪戯だ」扉に背中を押付けられると同時、唇を塞がれた。「冷たいな。風呂入れ」『…いたずら終わり?』「まさか。続きは風呂場で」『延彦!』抱上げられて叫喚。
#深夜の夢小説60分1本勝負:いたずらをお望みですか? 秋山延彦 (2015.10.31)


『飛雄!元気?』「ああ。及川さんにちょっかい出されてないか」『平気。心配してくれるんだ』「いや。だってお前、俺のこと好きだろ」『…その自信はどこから』「昔から。違うか」『違わない、けど…ずるいなあ』ぐいと手を引かれ彼の腕の中。「俺がお前を好きだって知ってる癖に」
#ハイキュープラス [ハイキュー!!]影山飛雄 (2015.10.31)



目的は果たしたのだから、彼女と別れてもいいんだけど。何で俺達こうしてるんだろうね。『…及川先輩っ、』「ホント首弱いねえ」俺に抱かれてるキミは今誰のこと考えてる?キミの心は誰のもの?こんな筈じゃなかったのに気付けばキミのことばかり。ホラ、俺のこと好きって言ってよ。
#ハイキュープラス [ハイキュー!!]及川徹 (2015.10.31)


『延彦、見える?月すっごい明るいよ。きれい』隣から無邪気な声。「俺もそう思ってた。少し遠回りして帰ろうか」『賛成』君の横顔にも似た薄白い月明り、ライトが照らすアスファルト。助手席で黙り込んでいた彼女がぽつりと呟く。『おなかすいた…』「急いで帰ろう」『何食べたい?』君を所望。
#1夢:君と見る月 秋山延彦 (2015.10.31)


「やっほー。飛雄ちゃん元気ぃ?」『最近会ってないので知りません』「冷たいね〜。そろそろ俺のこと好きになったカナ?」『及川先輩を好きな人なら山ほど居るじゃないですか』「俺はキミがいいの。…この程度で赤くなって、可愛いね」幼馴染を奪われた後輩がぐっちゃぐちゃに泣き喚く様を見たいだけ。
[ハイキュー!!]及川徹 (2015.10.30)


テーブルの向かい側、彼女は上手に笑んでコーヒーカップを持ち上げる。それで覆ったつもりだろうか。ちらちら見え隠れする本音に飛び付いても構わないのなら。『秋山君』手元から眉間辺りへ上げた視線はぱちんとぶつかる。『私と付き合ってみない?』「俺が言おうと思ってた」その笑顔が罠だとしても。
【10/29のお題】見え隠れ 秋山延彦 (2015.10.29)


左ハンなんて無理と周囲に言われ心折れそうな時。味方してくれたのはただ一人、整備士の友人だった。「乗ってりゃ慣れるよ」あっけらかんと私の背中を押した彼は「何かあったら持ってきな」自店の宣伝を忘れない。『早く帰ってきてよね、修一』あなたが隣に居ないドライブは物足りないと気付いたから。
#深夜の夢小説60分1本勝負:ものたりない右隣 松本修一 (2015.10.29)



肩から腕へ掌を滑らせると手の甲から指先は冷えているように感じられた。「寒くないか」『んー、うーん』「どっちだ」『確かめてみたら』挑発めいたキスに乗る。「随分余裕だな」『そお?』髪を掻き上げ知らん顔の彼女を組敷いた。「言葉通り隅々まで暴くぞ」薄い笑みが返され、互いの瞳に期待が滲む。
#深夜の夢小説60分1本勝負:冷えた指先 秋山延彦 (2015.10.28)


『松本さァん!』本日の一番乗りは近所の高校生。車どころかまだ免許を持っていないから客とは言えないが。「学校は」『県民の日ですよ』「どこか行くの」『友達は夢の国とか。私はバイトですけど』「何時に終わる?メシでも行こうか」『マジっすか、やった!約束ですよ!』頷いて自転車を送り出した。
【群馬県民の日】松本修一 (2015.10.28)


数日前の痕跡はどこにも見当たらない。我ながら好い出来だ。持ち主は代車を気に入ったらしく、あと三日できみとはお別れ。寂しいような嬉しいような複雑な心持ち。それでもやはり在るべき場所へ帰してやりたい。「もうウチに来るんじゃないぞ」指先でボンネットに触れた。彼女の香りだけが車内に残る。
#深夜の夢小説60分1本勝負:三日後にはさようなら 松本修一 (2015.10.27)


濡れたバスローブを脱がせにかかる。「風邪ひくぞ」窘めるつもりで話し掛けると半分寝ているような顔で胸倉を掴まれた。『私を脱がしといて自分だけ着てるとか意味わかんない』意味が解らないのは俺の方だ。「着替えるか」『脱げっつってんの』完全に油断していた。いそいそと外された眼鏡、腹を括る。
【10/27のお題】虚を突く 秋山延彦 (2015.10.27)


「コースウォーク行かないのか」隣で表彰台を見つめる恋人へ問うた。『もう少し』泣いているのだと気付き肩を抱く。「引退しても表舞台から引くような人じゃない」『解ってる。今動いたら泣く』「もう泣いてる」『延彦のばか。帰りたくない』「明日有休取っただろ」『今夜はメモリアル観賞会だからね』
秋山延彦 [2015 TOKYO DRIFT in ODAIBA] (2015.10.26)



快晴の台場は最高の舞台だ。ドライバーにとっても、メカニックにとっても。マシンは昨日の予選後から順調に仕上がった。「いつも通り、楽しんでこい」チーフメカニックが親指を立て、程良い緊張感を漂わせた彼女がニカッと笑う。『いってきます』やがて飢えた獣の咆哮にも似た〈音〉が身体を震わせた。
【10/26のお題】晴れ舞台 松本修一 [2015 TOKYO DRIFT in ODAIBA] (2015.10.26)


『日向、私のこと好き?』「うん、好き」『友達として?』「それ以外に何があんの」『あぁうん…ないよねえ』「なんだよ、ヘンなの」予想はしていたけれど、いっそ清々しいほどの友達宣言。「んじゃおれ部活行くから!」バレーに夢中なきみの目、私に向けさせるから覚悟してよね。
#ハイキュープラス? [ハイキュー!!]日向翔陽 (2015.10.23)


「機嫌悪いな。どうした」直球過ぎる質問へ恨みがましい視線が返る。『車へこんでるっぽい』「擦った?」『…自覚は無いんだけど』「駐車中に当て逃げされたとか」『かもしれない』「見てやるから今度車持ってこい。特別サービス」『いいの、修一』「それでお前が笑ってくれるなら安いもんだ」
#Dカレ 松本修一 (2015.10.23)


病院のロビーで名前を呼ばれた。業務的ではない、温かく穏やかな声。『延彦。待った?』「いや。荷物持つよ」二人で駐車場へ向かう。「明日迎えに行くから。時間判り次第教えて」『有難い…』「拝まなくていい」『だって、敬う気持ちが止まらないよ』「そこに愛は」『ないわけないでしょ』「ならいい」
【10/22のお題】崇める 秋山延彦 (2015.10.22)


と、ととん。指先でテーブルを叩く。あれから何年経つだろう。怪我はとっくに治っているのに。「入るぞ」ノックと同時に顔を覗かせた幼馴染。『延彦君』「大学慣れたか」『まァね』彼の視線はカバーを掛けたままのピアノへ。「今度聴かせてくれよ。お前の気が向いたらさ」『…うん』「約束な」指切り。
#深夜の夢小説60分1本勝負:五線譜の上で踊ろう 秋山延彦 (2015.10.22)



『澤村、練習試合決まったん?』「おお、音駒とな。こっちでやるから見に来いよ」『行く行く!頑張ってよー』「サンキュ」きみが好きなひとを私は知ってる。勿論、それが私じゃないってことも。「どうした?」『なんでもなーい』せめて卒業するまでは。友達として傍に居たいだけ。
#ハイキューマイナス [ハイキュー!!]澤村大地 (2015.10.22)


『ゆーう』年下の恋人を呼ぶ。「んー」『アイス食べる?』「食べる!」食い気味の返答に冷凍庫を開けた。『何がいい?』「ガリガリ君!」『安上がりねえ』「アレ観んの、映画」『いいけど夕、寝ちゃうしなあ』「このソファが悪い」アイスを手渡す腕、ぐいと引かれた。「隣。来いよ」
#ハイキュープラス [ハイキュー!!]西谷夕 (2015.10.22)


道の端でへたり込む友人の腕を引いた。『松本、』「怪我は」『ない』安堵を抑え車へ視線を向ける。『少しへこんだくらいで、自走できるから』彼女がどれだけ愛車を大切にしているか。知ってるから赦せなかった。絶対に。「帰れるか」『つれていって』揺ぎ無い決意を二つ掬い上げて追撃開始。「行こう」
【10/21のお題】追撃 松本修一 (2015.10.21)


おちる、と思った。自分という存在をすべて手放してしまうような未知の混乱が溢れた。『修一、こわい』甘く蕩けた声は自分のものではないように聞こえ今更ながら羞恥を煽る。触れる手は熱く身体の芯まで熱せられる。「俺だけ見てて」あなたにおちてゆく速度は、いつもよりずっと早い胸の鼓動とおなじ。
#深夜の夢小説60分1本勝負:落下速度 松本修一 (2015.10.21)


首を絞めて気道を塞いで。十五分はかかるかな。そうしてあなたが死んだなら、私もすぐに後を追いましょう。あなたの手で私を終わらせてほしいのだけど、万一があっては困るからね。月光に照らされた室内。白いシーツに放り出された彼の腕へ頭を預ける。『おやすみ、延彦』微風のような寝息にくちづけ。
#深夜の夢小説60分1本勝負:月光心中歌 秋山延彦 (2015.10.20)



銀色の車を従えたあなたが〈ここ〉から私を連れ出してくれると言うのなら。何もかも投げ捨てて心中するくらいの気持ちでいる。なんて伝えたって恋人はきっと「何言ってんの」程度の反応だろう。私の視線に気付いたのか延彦が手を伸ばす。「…眠れないの?こっちおいで」今はまだ、このままで。
【連れ出してくれると言うのなら】#Dカレ 秋山延彦 (2015.10.20)


『修一、写真撮って』「どこ」『鞄の…そっちのポケット』恋人の腿には一羽の兎が大人しく座っている。取り出した携帯で満面の笑顔を撮影。「次どこ行く。牛?」『牧場来たらソフトクリーム食べなきゃでしょ』「義務なのか」『天気良くて気持ちいねえ』兎に話し掛ける彼女の隣、穏やかな休日の始まり。
【10/19のお題】のどか 松本修一 (2015.10.19)


つきん、と胸の奥が痛んだ。仄暗い部屋、ベッドの上。冷や汗が滲んでいることを知られてしまうのではないかと延彦の手が触れる度身体を強張らせてしまう。「そんなに緊張するな。俺も落ち着かない」『ごめん』髪を撫でさする優しい掌。「謝る事ない。何回キスすればいい?」その言葉でまた私の心臓は。
#深夜の夢小説60分1本勝負:心拍数上昇中 秋山延彦 (2015.10.19)


『拓海』ハッピを着た友人に呼び止められ、渋々そちらへ向かうと〈福引〉の看板。「バイトか」『一回サービス。引いてけ。まだ特等入ってねーし遠慮すんな』「…詐欺じゃねえの」『さァね』ハンドルを回すと転がり出たのは二等、商品券だ。『お前ツイてんな!』こいつの笑顔が見れたから良しとするか。
(おまけ)「やる」手渡した景品はそのまま差し戻された。『何でよ』「いいから」拓海は結構頑固だって知ってる。つまりここで押し問答しても無駄だ。『ありがと。後で店行くわ』「そっか。親父に言っとく」『今日文太さん居んの』「さあ」『何でよ』「知らん」『ったく。早よ帰れ』「じゃあな」
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:つき 藤原拓海 (2015.10.18)


給水塔の下には不穏な空気が漂っていた。『何揉めてんの』健二と浩一郎の二人が振り向く。聞くとジャンケンで負けた方が自販機で奢る、それだけ。ふは、と苦笑が漏れた。「男と男の勝負だぞ!」『じゃあ一時休戦。交流会の話あるんだけど』途端、突き刺さる視線に『…やっぱ私もまぜて』拳を突き出す。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:ジャンケン 健二&池谷浩一郎 (2015.10.18)



たとえば呼吸や瞬きを意識しないように。きみの隣に俺が居る事が、至極当然であるよう願うこの気持ちは。『修一ってば』「ごめん。ちょっと恥ずかしい事を考えてた」『いかがわしい?』「違う…と思う」じっとり睨まれた。「言ってみようか」『聞きましょう』疑いを晴らすため?きみの頬を染めるため。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:息を吸うように 息を吐くように 松本修一 (2015.10.18)


伸ばした手には布団だけが触れる。『…またか』のそりと起き出して開けた窓。予想通り駐車場に在る恋人の姿。『おはよ、延彦。早起きだねえ』「おはよう。寝癖すごいな」『洗車終わったら起こして』「了解」いつもの会話に背を向けて、残された温もりと香りの中へ潜り込んだ。たちまち眠りが私を包む。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:布団のぬくもり 秋山延彦 (2015.10.18)


「お待たせしてすみません。良かったらどうぞ」眼前に差し出されたのはお菓子が詰まった箱。『お子さん用では』「ん、一応ね。でも贔屓って目で俺の事見てたから、今日は特別」『…ありがと、修一君』「お茶のおかわりはいかがですか。コーヒー淹れたてですよ」『ではコーヒーを』「かしこまりました」
【10/17のお題】ひいき 松本修一 (2015.10.17)


やァだ、まだ居たの?早く帰んなさい「…沙雪ちゃんこそ」あたしはいいの「ずるい!」ずるくない。こっからは大人の時間よ。免許取ったばっかの若葉ちゃんはおうち帰って寝なさい「まだ眠くない」あたりまえでしょ、ちゃんと自分で運転して帰んの。着いたら連絡しなさいよ?「…はぁい」よし、いい子。
【いいこにだってなってあげます】沙雪 (2015.10.17)


「お疲れ。慣れた?」『はい。勉強になります』「ご実家は車屋さんだと聞いたけど」『…小さい店で。私の代で潰れるんじゃないかと』「勿体無いな。婿養子募集してないの?」『松本さん、からかうと本気にしますよ!』「構わないよ」些細な言葉がどうしてこんなに心を乱す。「そろそろ戻ろうか」
#1夢:それはほんの些細なこと、 松本修一 (2015.10.17)



事務室らしき部屋へ通された。「貧血だと思います。薬などお持ちですか」頷いて鞄から錠剤を取り出す。「水は…常温の方がいいですよね。少し待っていて貰えますか」『…秋山さんお仕事なのに、すみません。ご迷惑をおかけします』「気にしないでください。人として当然の事をしているだけです」
#1夢:それはほんの些細なこと、 秋山延彦 (2015.10.17)


『及川君、糸くずついてる』「どこ?」『肩…あ、そこじゃなくて』「取ってくれる?」ついと伸ばした指はやんわり彼の手に絡め取られる。大きな掌に包まれ驚く事すら忘れた。しィ、と人差指を立てにんまり笑う隣席の王子様。彼にとってはほんの些細な、私にとっては大事件。
#1夢:それはほんの些細なこと、#ハイキュープラス [ハイキュー!!]及川徹 (2015.10.17)


街の喧騒が遠退き、ぐらりと視界が揺れた。うずくまってこめかみに触れ脈打つ痛みに顔を顰める。「大丈夫ですか」男性の声に顔を上げると見覚えのある、「立てますか」『…秋、山さん…』「店、すぐそこですし休んでいってください。返事は聞きませんから」素っ気無い口調と不一致の優しい手。
【10/16のお題】うずくまる #Dカレ 秋山延彦 (2015.10.16)


『松本君、シフト希望できた?』「はい」『いつも早いから助かる。来月も遠征?』「ええ。今回は少し遠出で」『ふうん。ここ休みにすると連勤だよ』「大丈夫です。お願いします」『今度見学しに行ってもいい?やっぱ素人は邪魔かな』「いえ、是非」社交辞令だと判っているけど、その笑顔に騙されたい。
【10/15のお題】連続 松本修一 (2015.10.15)


『あのさ』「うん」助手席から恋人が応えた。『落ち着いた?』「ごめん。高速乗るだけであんなに緊張するとは思わなかったから」『いつまでも笑うならその辺で降ろすよ延彦』「警察特番の格好のネタだな。今の覆面気付いたか」『嘘』「普通に走ってれば関係無いだろ。気にするな」苦笑に唇を尖らせる。
【10/14のお題】苦笑い 秋山延彦 (2015.10.14)



ガレージを出ると散歩中らしき猫が居る。一撫でするくらい良いだろう。手を伸ばすと柔らかな毛並に触れた。「何してんだ」背後から同僚の声。『松本。猫、もふもふだよ』「…そのまま顔触るなよ」『手ぇ洗うって。バイバイ、またね』悠々と立ち去る背中を見送るが「ニヤニヤしすぎ」指摘されつい赤面。
【もふもふ、とは】松本修一 (2015.10.13)


『返却お願いしまーす』「お預かりします」図書館内にバーコードの読取音。「来週から試験だな」『そうなんすよ…』「終われば休暇だろ」『ええ。秋山さんは休み中も居るんですか』「ああ。平日だけな」『へー』どうせ暇だし自習室通っちゃおうかなァ。「はい確認完了。試験頑張れよ」『頑張ります!』
フォロワさんからの提案:延彦さんで図書館とか本屋さん 秋山延彦 (2015.10.12)


「カバーお掛けしますので少々お待ちください」仕事帰りに立ち寄る書店。彼が一番綺麗にカバーを掛けてくれるからいつの間にか名前を覚えた。「続編決まったそうですよ」『あ、じゃあ後で予約します』「ええ、是非」にこりと笑顔をくれる秋山さん。「ありがとうございました。またお待ちしております」
フォロワさんからの提案:延彦さんで図書館とか本屋さん 秋山延彦 (2015.10.12)


『松本、月末暇?』チケットを突き付けられた。「美術館?」『貰い物なんだけどタダチケでも期限切れは勿体無くて』「平日休みが合えば行きます」『ありがと』「芸術の秋か」『私は断然食欲だね。併設のカフェ、限定メニューが美味しそうだよ』楽しげに携帯画面を見せてくれる彼女の可愛さといったら。
フォロワさんからの提案:松本の職場の先輩な夢主 松本修一 (2015.10.12)


『あいつ、私がいないとだめだから』そうして彼女は哀しく笑う。幾つもの痣を隠して。『こんな話、松本にしかできなくて。…ごめんね』今、二人の仲を引き裂いて彼女を奪取する事は得策とは言えない。あなたが心から笑える時、俺が隣に居られるように。自分勝手な目的で、俺は今日も延々と愚痴を聞く。
【10/12のお題】奪取 松本修一 (2015.10.12)



脳内麻薬がドバドバ出るような強烈な快感はベッドの上だけじゃない。夜の峠、ツナギ姿で働く彼を見てやっぱりこの人を好きだと再認識。『修一』休憩中、恋人の名を呼び寸刻の逢瀬。『…私、このままだと依存症になるかも』「共依存って事か。悪くないな」身体の境界が曖昧になるまで抱き合っていよう。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:恋愛依存症 松本修一 (2015.10.11)


はらはらと涙を意図的に零した。持ってる武器全部使うつもりで。顎に指先が触れる。いいぞ。二人は幸せなキスをして仲直り。ほだされちゃってよ。上目遣いで見つめた先、冷酷な視線。「嘘泣きで許されると思っているのか」『延彦、』「やっと本性現したな」『…バレた?』「判るよ。お前が好きだから」
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:空涙 秋山延彦 (2015.10.11)


ペンを拾い上げた。「出したらしまえ」『修一』「職場のデスク散らかしてないだろうな」『フリーアドレスなの言わなかったっけ』「ああ、毎朝抽選するのか」『そ。置きっぱなしに出来ないから会社ではキレイよ』「家でも片付ければいいのに…」『もう炬燵出しちゃったからねえ』「…春か」『春だねえ』
【出しっぱなし、よくないです】松本修一 (2015.10.11)


夜半から降り始めた雨はまだ止まない。ベッドの隅で恋人が寝返りを打つ。「おはよう」『延彦…雨やだ外出ない』「風流だろ。雨音に耳を傾けてさ」『風情とかいらん』「うちに居る?」頷いた彼女の髪を撫でる。「手加減しないぞ」『夕飯作る程度の気力だけ残して』「俺が作るから」全てを許容する微笑。
【10/11のお題】情け 秋山延彦 (2015.10.11)


『ねぇねぇ、延彦。ここ寄っていい?』「雑貨屋?欲しい物でもあるのか」『別にそういう訳じゃ』「見るだけか」『…興味ないなら近くで待っててくれてもいいよ』「いや。俺は普段こういう店に入らないし…」『ん?』「行こう」手を取る。楽しそうなきみを見ているのが楽しいと言えたら良かった。
#1夢:ねぇねぇ、 秋山延彦 (2015.10.11)



「そろそろ帰ろうか」暁闇の中で恋人が振り向いた。『ねむたい…』「顔に書いてある」ぐしぐしと目元を擦り、人目を憚らない大きなあくびがこちらにも伝染。「着くまで寝てていいぞ」『ありがと。修一好き』「ああ。俺も好きだよ」『全然気持ちこもってない』「おまえが言うか」高い体温を抱き締める。
【10/10のお題】夜明け 松本修一 (2015.10.10)


「今夜来るか」『行く。渉君も来るんでしょ』「何か約束が?」『いや、少し話しただけ』「…渉を名前で呼ぶんだな」『私、延彦君て呼んでもいいの』「ああ、構わない」『会社の外ではそうさせてもらお』つい破顔する。『そんな嬉しいか』「…正直言って、期待はしてた」くはは、と彼女の笑い声。
#1夢:この結末、期待してた 秋山延彦 (2015.10.10)


蒸暑い夜の峠。胸の前で両手を握り締めた彼女が〈開始〉の合図で走り出した二台を見送る。「心配か」『ううん。私にできる事は全部やったから。あとはドライバーに任せるだけ』「そうだな。待とう」高揚を抑え無線の中継に耳を澄ませた。『…松本!』「期待通りだな」結末は彼女の表情が物語る。
#1夢:この結末、期待してた 松本修一 (2015.10.10)


女友達を慰めるつもりで軽く背中に触れた。途端、思い切り身体を跳ねさせた彼女と「ごめん」の応酬。『そんなふうにされたら、好きになっちゃうよ』しんと静寂が訪れる。『嘘ついた。私、修一くんのこと好きみたい』「断定しないんだな」『してもいいの』「当然だろ」俺はずっと、きみを待ってたんだ。
【優しくしないで】松本修一 (2015.10.09)


弁解しようと開いた唇は塞がれた。言葉を並べてもキスには敵わない。そのうち唾液とは違う味に気付く。彼女の涙。薄化粧を纏う頬へ指先を滑らせた。「…続きはベッドで?」彼女がゆっくり頷いて今更のように顔を赤くする。しばらく此処に閉じ込めてしまおう。俺を選んだ事、後悔なんかさせないように。
【10/9のお題】門外不出 秋山延彦 (2015.10.09)



『また休出?』携帯の向こうで恋人が不貞腐れた。『忙しいのはわかるけど代休平日じゃ会えないよ。このままじゃ死んじゃうさみしー』「俺のカノジョはそんなにヤワじゃない」笑声が耳に心地良い。『そりゃそーだ』「だろ」『無理しないでよ延彦』「ああ」きみに会いたいと素直に言えない俺をゆるして。
【このままでは死んでしまうよ】秋山延彦 (2015.10.08)


彼女が気になる理由に〈物珍しさ〉は在ったと思う。これまでの人生で出会った例のないひとだったから。このままではきっと、汗とオイルと土埃まみれで車と戯れる彼女に恋してしまう。取り返しのつかない事になりそうだ。『松本君、慣らし付き合って!』嬉々たる声に振り向いて、危惧しても遅いと悟る。
【10/8のお題】時間の問題 松本修一 (2015.10.08)


夜中の峠に一人で居るからって暇じゃないの。睨み付けた男は背中に遮られた。「彼女に何か」「声かけただけ、つーか誰」「友人です」「彼氏じゃねーならどけよ」「すみません、俺との約束があるので」穏やかでいて有無を言わせない声に男が退散。『松本』「モテるんだな」まったく、あなたってひとは。
【無自覚ヒーロー】松本修一 (2015.10.07)


延彦の手を取り目に付いたラブホへ連れ込んだ。部屋の扉を閉めると同時、振り向いて唇を押し付ける。明らかな途惑いに舌先が触れた。ねえ、あなたの眼前に居るのは誰。今、誰のこと考えてる?眼鏡越しの視線は事由を問うているようだ。『八つ当たりだよ、ばか、』声が震えたのは背伸びのせいじゃない。
【10/7のお題】一方的 秋山延彦 (2015.10.07)


インターホンから間を置かず玄関が開けられた。『延彦いらっしゃい。待ってたよ』「お邪魔します。これ土産」『おケーキ様!』「一週間お疲れさん」『お互いにね』週末には甘いモノ(と俺の甘やかし)が必要だときみが言うから和洋問わず甘味には結構詳しくなった。きみで変わる自分ってのも悪くない。
【甘いものが欲しくなる】秋山延彦 (2015.10.06)



『ただいま。今から出るとこ?』髪や服のにおいから炭火焼肉と推測。「ああ。どの程度飲んだか覚えてるか」『酔っ払いに辻褄合う説明求めても無駄』酩酊の自覚はあるようで何よりだ。「…一人で平気か」『さみしくないよォ。いってらっしゃい、しゅーいち』へらへら笑い手を振る仕草は精一杯の強がり。
【10/6のお題】つじつま 松本修一 (2015.10.06)


「冷えますね」差出された缶飲料を有難く受取る。『…いただきます、松本さん』追っかけカメコの私なんかに優しくして。勘違いしちゃうじゃないか。「写真見てますよ」『その、ご迷惑では』「いいえ。車をいつも恰好良く撮って貰って。宣伝になるので助かります」一瞬触れ合った指先の温度を忘れない。
【体温を感じる】松本修一 (2015.10.05)


人目の少ない裏通り。自身の一方的な好意だったと彼は言う。〈彼女〉には恋人が居るそうだ。「走りに行けば会う事もある。お前が嫌ならもう行かない」『私が嫌って言ったら走るのやめる?』延彦が言葉に詰まった。『もっと上手くやりな。あんな態度じゃすぐバレるって』私の笑顔はきっと醜く歪んでる。
【10/5のお題】裏道 秋山延彦 (2015.10.05)


後方に停車したアルテッツァから降りた男性が私を見下ろす。「勝ち逃げなんて、許さないからな」鋭い眼付きに心臓が揺れた。私が走る理由はひとつ。あなたに追われたかっただけなんです。この関係はまだ、終わりじゃないんですね。「…何故笑う。馬鹿にしてるのか」『いえ。いつでもどうぞ、秋山さん』
【勝ち逃げなんて許さない】秋山延彦 (2015.10.04)


迅くなりたい。望み通り〈最速〉の称号と引換に失くしたもの。時間。金。友達。走る事自体を楽しむ気持ち。何の為に走るのだろうか。私には何も無いと気付く。地元を離れフラリと足を向けた赤城。「いい車ですね」穏やかな声の主は深い紺色のアルテッツァを従えた男性。私は出会いをひとつ手に入れた。
【10/4のお題】代償 松本修一 (2015.10.04)



彼とは気が合うからなんとなく一緒に居る。出会って数年、私達の関係はすっかり落ち着いた。刺激は無く平穏な日々。「なあ」『うん』「俺達、結婚しないか」『ん…え、あ、はい!』献立でも決めるような軽いプロポーズ。『修一、今のもう一回』「…無理」ここが恋人関係の終着点。そして新たな出発点。
【なんとなくの終着点】松本修一 (2015.10.03)


付き合いは浅いけど、延彦の様子が変だって事くらい判る。上映開始まであと数分。客は疎らだ。隣へひそひそ話し掛けた。『元カノでも見つけたの?』空気の変化を肯定と受取る。こういう時だけ勘って冴えるのね。あんまり知りたくないんだけど。『言いたくないなら聞かない』「後で話すよ」耳朶に吐息。
【10/3のお題】当てずっぽう 秋山延彦 (2015.10.03)


データや数字には現れないモノ。彼女にはそれが〈視えて〉いるのだろう。自分の知る限り数少ない〈車の声を聴く〉事の出来る人間だ。『松本ー、ちょっと手ぇ貸してー』煮詰まったような声で呼ばれるのも悪くない。「今行きます」あなたと一緒なら何処へでも。その覚悟ならとっくに出来てます。
【10/2のお題】未知の領域 #Dカレ 松本修一 (2015.10.02)


軽い気持で引き受けたブライダルモデルの仕事。「準備いいか」『秋山君』ノックの主はこの話を持ってきた張本人。『私でいいのかなあ。他に誰か居なかったの』「色々当たってはみたんだけど軒並み断られた」『ああ、婚期が遅れるって?私は気にしないよ』「責任は取る」至極真面目な顔するから照れる。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:偽りの花嫁 秋山延彦 (2015.10.02)


チームメカニックが私を見下ろした。「タイヤは」『このままでいい』「…解った」硬い声に苦笑が漏れる。『なんで修一が私より緊張してるの』「…じっとして居られない」『大丈夫。うちの専属メカニックは一流だもんね』彼の心臓へ拳を押し付ける。『いってきます』「健闘を祈るよ」拳を包む大きな掌。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:雨の匂い 松本修一 (2015.10.02)



稲妻が走る度、暗雲、降雨がはっきりと視認出来た。電車で重い息を吐く。ロータリーに居るパンダカラーのレビン。見覚えのあるその車から、男性がこちらへ駆けてくる。『渉』「間に合った」『迎えに来てくれたの』「おまえ雷苦手だろ」『小さい頃の話でしょ』「そうやって意地張るとこも変わんねえな」
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:天雷 秋山渉 (2015.10.02)


仕込中の厨房に声が飛ぶ。「いつもお世話になってます。藤原豆腐店です」あれ?文太さんじゃない。息子さんかな。『お世話様です』家業の手伝いだろうと勝手に想像し『早くから大変だね』彼は驚いたように視線を合せた。「いえ。毎度ありがとうございます」『こちらこそ。またお願いします』互いに礼。
【豆腐の日】藤原拓海 (2015.10.02)


ついと眼鏡を外され、途端に視界が滲む。『返して』犯人へ訴えるが彼は素知らぬ顔で隣へ腰を下ろした。テーブルに置かれた眼鏡が蛍光灯を反射している。「俺の顔見える?」『よく見えない』上体を引き寄せられて唇が重なる。『今日の修一は甘えたさんだね』ぴたりと身体をくっつけて一笑。「好きだよ」
【メガネの日】松本修一 (2015.10.01)


「おはよう。早いな」給湯室に立つ後姿へ声を掛ける。『おはよう。秋山君もコーヒー飲む?』「ああ、頼むよ。ありがとう」『デカフェでいい?』「任せる」『デスクに持ってくから待ってて』「よろしく」ネクタイを締め直したところへ薫香。『お待たせー』「いただきます」さて、下半期も頑張りますか。
【コーヒーの日】秋山延彦 (2015.10.01)


休日の街中、好きだった人を見付け思わず息を飲んだ。視線で追ってしまいそうになり顔を背ける。『延彦、どしたの』恋人からの問いへ、感情の全てを覆い隠す微笑を浮かべた。「何でもない。映画始まるぞ」彼女の手を引いて少し足を速める。重なる手が後ろめたさを増やすような気がして強く握り締めた。
【10/1のお題】覆い隠す 秋山延彦 (2015.10.01)


*9月|2015年10月|11月#


140字小説一覧||0:top