140字小説一覧|

*7月|2015年8月|9月#
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『好きなコでもできた?』家庭教師は近所のお姉さん。突然の問い、お手製課題を解くペンが止まる。「…関係ない」『信司君冷たあい。悲しー』「いじけたってダメ」『けち』「終わった。採点」『ハイハイ』赤ペンを手にした彼女の眼つきは真剣そのもの。「黙ってたら美人なのに」呟きに照れ笑いが返る。
【8/31のお題】いじける 乾信司 (2015.08.31)


慎吾から突き付けられた、なくした筈のハンカチ。『どこにあったの』「車ん中落ちてた。一応洗濯したからな」『ありがと。よく私のってわかったね』「隣に乗せる女なんざお前しかいねェ」『沙雪ちゃんとか』「妬いてンのか」『…否定はしない』「素直じゃねーな」捻くれた微笑さえ私にはご褒美。
#1夢:失ったものは 庄司慎吾 (2015.08.30)


親の目を盗んで夜遊びする不良になるとは予想外だ。峠に響くスキール音で大人になった気分。「お前ここ来てる事言ってないだろ。おばさん心配してたぞ」『渉君。…帰ったら話すよ』差し出された小指を笑う。『子供みたい』「いいから」強引な指切り。離したくない。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:この夜が明けたら 秋山渉 (2015.08.29)


カートを始めたばかりの私にとって〈ここ〉には多彩な夢が詰まっている。『父さん』人混みの中父の腕を引いた。『私も走りたい』「来週走行会に行くだろう」『…ここで』「GTマシンに乗りたいか」『乗ってみたい』「険しい道を行くんだな」どこか嬉しそうな父の声に頷く。鈴鹿の空に、願いを込めて。
【8/29のお題】願掛け 小柏健 [SUPER GT 2015 第5戦 鈴鹿サーキット予選] (2015.08.29)


『こっちが先行して抜かれなきゃいいんでしょ』「簡単に言うなよ」清次の呆れ声。『小柏君だっけ。結構タイプ』「それが何だ」『追っかけられたら興奮しちゃうかも』「お前なあ…」駐車場へ入ってきた、青いMR2。『先手必勝!一発かましてくるわ』駆け寄り求愛にも似た〈バトル〉の申し込み。
#1夢:先手必勝 岩城清次 (2015.08.29)



『萱野教えんの下手』「お前のリクエストで貸切にしてんだぞ」『思ってたのと違う』「じゃあもうやめっか」『ううん。首投げやらせて』「無抵抗でいるから好きにしろ」右手で首を抱き込むと見せかけて視線を絡め、唇を重ねる。それからぶん投げた。『今の先手必勝?萱野先生』「…おう。参った」
#1夢:先手必勝 [バカビリーバー]萱野友哉 (2015.08.29)


ひらり文机から摘み上げる指先。「この栞、きみの?」『ええ、頂きものです。昔友人から』「そう」『私にとっては好きなひと、でしたけれど』「俺は妬いてもいいのかな」『もう20年以上前の話です。今私が好きなひとはあなたですよ。俊也さん』「頭では理解出来るんだけどね。まったく男ってやつは」
【8/28のお題】栞 城島俊也 (2015.08.28)


『出かけるの』弟の背中へ投げた。どこへ何をしに行くかは知っている。振り向いた拓海の表情はいつもよりほんの少し硬い。『あんまり無茶したらだめだよ』「…わかってる」『ならよろしい。配達までには帰るよね?』「ああ。いってくる」『いってらっしゃい。気をつけて』見送る後姿はどこか大人びて。
【8月27日午後10時(新劇2より)】藤原拓海 (2015.08.27)


吐露したものは胸に秘めていた彼女への想い。はにかんで頷き、朱に染まる頬を直視出来ない。「…家まで送る。連れには伝えておけ」『皆川さん』「何だ」『帰りたくない、て言ったらどうします?』「っお前、自分が何言ってるか解って―」『わかってくれませんか』震えた声。自制心はとうに失せていた。
【8/27のお題】はにかむ 皆川英雄 (2015.08.27)


数秒間の幸せだった。「こいつが彼女」腕の中に閉じ込められくぐもっていたがそう聞こえた。「あんたとは付き合えない。ごめんな」足音と同時に解放され『嘘つき』大輝を詰る声が上擦った。「嘘じゃねー。今からホント」『何、』「だってお前、オレの事好きだろ」自信有り気な笑みに火照る頬。
【数秒間の幸せだった】#Dカレ 二宮大輝 (2015.08.27)



たどり着いた今日は無為に終わる。ベッドで修理中の愛車を想い瞼を閉じた。〈走り〉に行けないなんて。携帯の着信に気付き、相手を確かめないまま通話開始。「…はい」『今部屋?』「…ん」『下まで来てんだけど、良かったら一緒に行くか』飛び起き窓を開ける。渉とハチロクが私を待っていた。
【たどり着いた今日】#Dカレ 秋山渉 (2015.08.26)


運転席から名を呼ばれ我に返る。「平気か」『あの、さっきは』「八つ当たりだ。気にするな」『何で、ですか』「全部説明しないと解らんか」『…すみません』身体を縮こまらせる彼女。責めているかのような口調に気付き英雄が舌を打つ。「…いや。お前に話したい事がある」窮屈なシートベルトを外した。
【8/26のお題】窮屈 皆川英雄 (2015.08.26)


全てが真っ白になった。「こいつに手出すな」大声に身体が震える。誘いを何度断っても諦めてくれなかった男の人が彼の一声で背を向けた。『皆川さ、』「お前もチョロチョロしてんじゃねえ」『…ごめんなさい』「…傍に居ろって意味だ」愛車の助手席へ促され私の頭の中は真っ白。頬が熱い、絶対真っ赤。
【全てが真っ白になった】皆川英雄 (2015.08.25)


「お前の事好きなんだ。…付き合ってくれる?」友達と思っていた賢太から突然の告白。照れ隠しで『いいよ』と答えるのが精一杯。「…一つ問題が」『?』「お前、うちの母親と同じ名前なんだ」『そう』「大問題だぞ?名前呼べねーよ」『好きに呼んでよ…』「試練にしちゃでかすぎだろ…」神様は意地悪。
【8/25のお題】試練 中村賢太 (2015.08.25)


道ならぬ恋と言えば聞こえは良いが要はただの不倫。私達は恋愛のオイシイところだけ持ち寄り情事に耽る。「会いたかった」切羽詰まった声で毅に囁かれただけで融けてしまいそうなほど心地良い。いつまで続けられるか判らない関係。だからこそ背徳的で刺激的。『毅。すき、』唇を塞がれ、あえなく陥落。
【8/24のお題】よこしま 中里毅 (2015.08.24)



荒い呼吸がふたつ。「次、上に乗れ」『…やだ。この前痛かった』「あれは…ホラ、男は視覚で興奮するって言うだろ」『それが何』「だから…アングルっつーの?新鮮でヤバかったんだよ。抑えきかなくて悪かった」頭を撫でる優しい手付き。ベッドでは逆らえないと知ってて言うんだから慎吾はタチが悪い。
【8/23のお題】上下関係 庄司慎吾 (2015.08.23)


部員勧誘チラシのモデルを頼まれ、写真部の即席スタジオでポーズをキメている。『高橋ってアイドルみたい』「…俺が?」『本音見せない。作り笑顔が超上手い』ファインダーを覗きシャッターを切る彼女に迷いは無い。「軽蔑するか」『いーや。引っぺがしたい、とは思う』笑う彼女の、きっと本心。
#1夢:君は僕のアイドル 高橋涼介 (2015.08.23)


『どっちも好き、じゃいけないの?』「オレか毅どっちか選べ」『…選べない』「だからって仲良く3人でデートできっか」『だって私、』ふたりが好き。その想い、天秤には掛けられない。「俺は彼女の答えを尊重する」「物分りいいフリすんな」吐き捨てた慎吾の矛先は再び私へ向いた。「…好きなんだよ」
【8/22のお題】天秤 庄司慎吾・中里毅 (2015.08.22)


『…静かに』注意は届いていないようだ。彼は今しがた思い付いたネタがどれだけ素晴らしいか相方へ切々と説いている。「袴田…後ろ…事務局の…」「今いいトコなんだからジャマすんな!」随分ナメてるな。彼の膝裏へ膝頭を押し込み転倒させた。廊下で私を見上げる問題児へ『話を聞け、バカ野郎』
#1夢:話を聞け、バカ野郎 [バカビリーバー]袴田もついち (2015.08.22)


涙の理由は泣かせた俺がよく知ってる。繋いだ手にぽたと雨粒が落ちた。「ワリイ。行くわ」彼女へ帽子を被せると理由を問うように視線がぶつかる。「気に入ってっから。俺が戻ってくるまで持っとけよ」唇を結び頷く彼女へくちづけ手を離す。俺は〈喧嘩師〉浦田友里。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:瞳から大粒の雨 [バカビリーバー]浦田友里 (2015.08.21)



それはただのエンターテイメント。養成所の彼等より面白い素人は山ほど存在する。現実を突き付けられ辞めていく者も少なくない。「すっげえネタ思いついたぞ!」廊下の大声、問題児だとすぐ判った。“自転車兄弟”袴田もついち。『…静かに』このコンビが私のツボだって事は墓まで持っていくつもりだ。
【それはただのエンターテイメント】[バカビリーバー]袴田もついち (2015.08.20)


『ただでさえ危ないのにバカな事して!』小言の多い私に呆れたのか慎吾は煙草を取り出す。「そんなにオレが心配か」『当然でしょ』紫煙を吐き出し微笑った。「乗るか、横」『…飛ばさないでくれるなら』「約束できっかわかんねえなァ」この気持ちに何と名付けるのが適切か、私はまだ知らない。
【8/19のお題】名付ける #Dカレ 庄司慎吾 (2015.08.19)


「こんな時間に何処へ」『ちょい首都高へ。涼介も行く?』「ドライブデートという訳か」…『やっぱ夜景綺麗。社畜の命の輝きね』「そう聞くと刹那的だな」『さー帰ろ』「目的は」『完遂。湾岸走ってコーヒー休憩』「そういうものか。俺は君の隣に居られて嬉しかった」『恥ずかしい事言う人置いてくよ』
(TLに乗っかった。) 高橋涼介 (2015.08.12)


『あづい…溶ける…』「興味深い」『もー限界!シャワー浴びる!涼介も入る?』「…〈そういう〉意味だと理解するが構わないか」『…ただの行水だからガマンしてください』「フェアとは言えないな」『なんで』「俺が君を我慢出来ない事は解っているだろう」冷たいキスはスポーツドリンクの味。
【8/11のお題】我慢比べ #Dカレ 高橋涼介 (2015.08.11)


「バカお前肌出しすぎだ、これにしろ」んー…「気に入らねーのかよ」や、大輝が買ってくれるんだから好みに合わせるよ。試着してくるね「おう」…大輝、居る?「終わったか」うん。どうかな「似合ってる」じゃあこれ、お願いします「あとコッチもな」だってそれ、「着んのはオレの前だけだぞ」
【8/8のお題】きわどい #Dカレ 二宮大輝 (2015.08.08)



『不便ね』「お前は目を大事にしろよ」テーブルの向こうで曇った眼鏡を外す延彦の諭すような口調。『長所なんて視力しかない』「嘘つけ」『私のいいとこ挙げてくれんの』「ああ。いくらでも」『…食べよ、伸びちゃう』顔の熱は坦々麺のせい。それと、延彦の澄んだ目線が突き刺さっているから。
【8/7のお題】くもる #Dカレ 秋山延彦 (2015.08.07)


改札を抜けた時、車にもたれる男性がこちらへ手を挙げてみせた。『かっこつけマンが居るなあ。やだなあ怖いなあ』「お前にカッコイイって思われたいんだよ」『ハイハイお迎えありがとね』「流すなって」『渉』「ん」『どんな渉でも私は好きよ』「…オレはお前のそういうとこすっげー好きだぜ」
【8/6のお題】恰好付ける #Dカレ 秋山渉 (2015.08.06)


足回りなんか換えた?「よくわかったな。スタンドの常連さんから安く譲って貰ったんだ」へえ。よかったじゃない「なんだよニヤニヤして」樹が嬉しそーだからつられた「ヘンなヤツ」失礼だなぁ「今更そんなの気にする仲かよ」鈍い彼はきっとこれからも私の大切な〈友人〉で在り続けるのだろう。
#Dカレ 武内樹 (2015.08.05)


忙しいって字[心]を[亡]くすって書くでしょ「それが何だ」うまい事言うなあと思って「今の状況と関係あんのか」ま、それなりに「…しばらく残業続きだったな」仕事あるのは有り難いんだけどねえ「今日無理に付き合う事ないぞ。いつもの奴らしか来ねえし」気分転換なんだからいーの。行こ!
#Dカレ (2015.08.04)


「残業お疲れ様ですー」キーを叩く手が止まる。『…二宮』「何やらかしたんすか」『終わらせたいんだから話しかけないで』「ひっでえ、せっかく差し入れしに来たのに」『置いてって』「感謝して下さい、たっかい栄養ドリンクっすよ?早く一緒に行きましょ。皆先輩待ってんですから」
(残業中のフォロワさんへ押し付けた。) 二宮大輝 (2015.08.02)


*7月|2015年8月|9月#


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