140字小説-2015年9月|夢
夢書き深夜の真剣執筆60分一本勝負#1夢:後悔はしたくない 二宮大輝 (2015.09.06)
夢書き深夜の真剣執筆60分一本勝負#1夢
・お題:後悔はしたくない
・【頭文字D】二次創作
・女性主人公 夢小説 ※無名"夢主"のため名前表記・変換なし
・相手:二宮 大輝
・夢主設定:東堂商会事務員
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ただの腰掛け事務員と思われるのはシャクだった。負けず嫌いの性格は社長に見抜かれていたらしい。入社から数ヶ月、小奇麗な事務服は早々にお蔵入り。制服代わりのツナギと新しい業務にも少しずつ慣れてきた。
終業後、駐車場へ向かう途中。こちらへ歩いて来る男性が居ることに気付く。
「お疲れ様です」
遠慮がちな声の主へ視線を合わせた。
「二宮君。お疲れ様」
東堂塾の〈塾生〉である彼と言葉を交わすことは多くなかったけれど、黄色い車は強く印象に残っている。
「今帰りですか」
「うん。二宮君はこれから走りに行くの?」
はい、と頷く楽しそうな、嬉しそうな表情の彼を見てふと思い付いたこと。私はそのまま口にしていた。
「今度、隣に乗せてもらうことってできる?」
「……オレでいいんですか」
「あ……ごめん。迷惑だった?」
「いえ、その……酒井さんとか、オレより巧い人いっぱいいますよ」
「私は技術的なことってよくわからないけど……。二宮君の隣、乗ってみたいなあと思って」
「大歓迎です。なんなら今からでも、全然」
彼の弾んだ声に笑みが零れる。
「行きたいけど、これから予定があって。また今度、改めてお願いしてもいい?」
「もちろんです。オレ、もっと話してみたいと思ってたんですよ。……だから、声かけてもらえて嬉しいです」
どこか照れ臭いような、だけど心地良いようなふしぎな雰囲気。彼と話すときはいつも感じていた。ガレージから彼を呼ぶ、酒井さんの声に二人で顔を見合わせる。
「……そろそろ行きます。同乗、約束ですからね。オレ絶対に忘れませんから」
「ありがと。私も忘れないよ、こんな大事なこと」
じゃあまた。駆け出す背中を見送った。ほっと息を吐く。言えてよかった。言えばよかった、なんて後悔はしたくないから。〈愛車〉の鍵を手に、私は再び歩き出す。
(2015.09.06)
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