twitter 140字小説 作品置場 (2016-2017年)

twitter(@fd7chu)にて不定期に挑戦しています。夢主の名前は登場しません(ネームレス)ので、名前変換はありません。一部キャラ名うやむや。上の方が新しいです。
本ページの他、[携帯版]や[pixiv]にも掲載していますが、更新が遅いため[twilog]もおすすめです。

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2017年11月top


不意に。 (2017.11.30)

きみが名前を呼んでくれたのは気紛れだろうか。平静を装っても、頭のてっぺんまで熱を帯びていく様はバッチリ見られてしまった。「……暑い」コートなんかいらないくらい。ぱたぱた掌で頬を仰ぐ。「ニヤけてんなあ」ひょいと顔を覗き込まれ本日二度目の驚嘆。「好き」「知ってる」絡む指先、おんなじ歩幅。


2017年10月top


酒井 (2017.10.26)

唇に触れた熱で目が覚めて運転席へ視線を放る。「お疲れですね」「ごめん寝てた」差し向けられた缶飲料を受取ると構わないと言うように彼の髪が揺れた。「今ちゅーしてくれたのかと思った」「しました」「あ、夢じゃなかったんだ」落ちる沈黙、曇る窓。助手席から右側へ身体を向けて淡い夜がはじまる。


2017年9月top


私を愛してくれなくてもその声は (2017.09.17)

「進捗どうですか」『8割』「予定通り」『まァな』電話の声は穏やかに心へ沁みて口元が緩む。「がんばろうね。応援行くから」『ああ、待ってる。格好良いとこ見せてやるよ』「楽しみにしてる」生涯わたしを愛してくれなくても。今、このときだけでも。あなたと繋がっていられることをしあわせに思う。

フォロワさんへ押し付けた。秋山延彦 (2017.09.11)

「少し休んだらどうだ」隣に腰を下ろした恋人の心配そうな声。顔を向けると眉間にそっと指先が触れた。そのまま弄ぶようにぐいぐいと押され、たまらずソファへ倒れ込む。「……痛い、延彦」「シワが寄ってた」眼鏡の奥から私を見下ろし、何でもないことのように言ってのける。ふ、と薄い笑みがこぼれた。「……ちょっと寝る。ここに居てくれる?」「ああ、勿論」伸ばした両腕を背中へ回し抱き寄せる。上から与えられた温かな重みを愛しく思うと同時、このひとはきっと何があっても私の味方で居てくれるのだという根拠の無い安心感が心の奥底から湧いた。「延彦」小さく名前を呼ぶだけで、こんなにも満たされて。目が覚めたらお茶を淹れてあげるね。

好き好きうるせえ馬鹿野郎 (2017.09.10)

勝手な好意を放られるのは日常茶飯事。「知ってる。ありがとう」笑って躱す雑対応。「お疲れ様。はい差し入れ」「いつもサンキュ。先週帰省したんだよな」紙袋を受取ると彼女の驚いたような表情に出くわす。「なんだよ」「そーいうとこ好き」こいつの二文字は何度でも俺を熱くさせて困る。「うるせえ」


2017年8月top


恋に落ちる音 (2017.08.23)

「似合ってますね、まつエク」放られた直球を受け止めきれず幾度か瞬く。「内緒だったのに。気づいてくれたひと初めてです」「わかりますよ。目が優しくなりました」そうして柔らかく笑う彼に、数秒間呼吸を忘れて。「あ、りがとうございます」緩む口元へ遣る指先が恋のはじまりを撫でる。

推しから着信があったので。 (2017.08.03)

送信直後に既読がついて笑う。今わたしのこと考えてたでしょ。冗談めかしたつもりが、着信に慌てて応答をタップ。『寝てた?』「ううん」『ちょうど送ろうと思ってたから』「うん」『あのさ』「ん」『それ以外に何があんだよ』耳に馴染んだきみの声。純粋な疑問に撃ち抜かれ呼吸を忘れる午前二時。


2017年1月top


無題 (2017.01.25)

くらい、くらい、水底に居るような浮遊感。塩辛い涙、咥内で滲む。どうか、わたしのすべてを終わらせるものが、あなたの両手でありますように。おわりとはじまりをあなたに捧げたいと願う。『また来世で会おうね』これが最後の挨拶になるのかな。ばいばい、だいすきなあなた。手を振り瞼を伏せて終幕。

世界が色付くたったひとこと (2017.01.07)

チームカラーで彩られたピットはすぐ見つかった。メカニックと話す横顔、会えるのは二ヶ月ぶり。視線がぶつかり、こちらへ小走りで向かってきてくれる。震える箇所は足か、視界か、心臓か。「がんばって!」両手で突き出した差し入れの紙袋。「いつもありがとう」屈託の無い笑顔。好きすぎて泣きそう。


2016年12月top


【12/31のお題】やり残したこと (2016.12.31)

大晦日、賑やかなテレビ特番。蜜柑を弄ぶ炬燵の主へ「洗車しないのか」と問うも「寒い」間髪入れず叩き付けられた予想通りの返答。欠伸と同時に炬燵から這い出た彼女が名案を思い付いたように目を輝かす。「洗車機ぶっこむわ。余ったプリカ使い切る」今年最後のデート、行先はガソリンスタンドに決定。

すき!っていっぱいいっぱい言いたい (2016.12.26)

「まぁだ起きてんのか」右耳のイヤホンを引っこ抜かれ入ってきたのは恨み言。声の主を見上げた。「……まだかかるって言ったでしょ」「徹夜する気か?効率落ちてんだろ」言い返せない。「キリいいとこで寝ろよ」心配してくれる彼へ素っ気ない「おやすみ」を放り投げて後悔。ねえ、わたし、ほんとうは、

S15シルビア ヴァリエッタ (2016.12.15)

「冬なのにオープン?」疑問へは「冬だから!」と力強い笑顔だけが返ってきた。「開けろっつーなら開けるけど……風邪ひいても知らないからね」満月に白い吐息を流し運転席へ腰を落とす。助手席の同じ動作を受けた車体は僅かに揺れた。嬉しそうなきみの顔。私のガソリンを何度満タンにすれば気が済む?

100万本の薔薇よりも愛の言葉が欲しい [特攻の拓]緋咲薫 (2016.12.13)

「オマエ誕生日だろ」眼前に突き出された赤薔薇を食い入るように見つめている。恐る恐る伸ばした手は大きな花束に触れた。「夢じゃない……」両手の存在感に溜息が溢れる。「薫」呼び掛けに面倒臭そうに振り向いた彼。「好きって言って」「愛してんぜ」吐き捨てられた言葉、甘くてけむいキスに溶けて。


2016年11月top


私は君が大好きです (2016.11.30)

同色、同車種。通勤中ふと目に留まった信号待ちのクルマ。足を止める。だけど違う。ナンバーが違う。車高が違う。ホイールが違う。そもそも生活圏が全く違う。それに〈彼〉は今出張中だ。ここで遭う筈が無い。「私、こんなに乙女だったかしらねえ」呟きに吐息が白く立ち上る。駅へと急ぐ足取りは軽い。


2016年9月top


夏の夜・某コンビニ・キリンガラナ (2016.09.05)

小気味良い開栓音と甘い香り。重い瞼をこじ開ける。「起こした?」運転席からの小声に顔を向けた。窓から遠く明るいコンビニ、駐車場の隅。「疲れてるとこ連れ回して悪かったな。帰るか」「……やだ」彼の手に在る飲みかけを奪ってひとくち。冷えた液体に喉を刺激され思わず笑んだ「目ぇ覚めた。行こ」

あなたに恋して記憶喪失 (2016.09.05)

画面をスクロール。マシン、ピット、コース、ずらりと並ぶ思い出たち。彼の隣、スタッフさんに撮ってもらった奇跡の一枚を拡大。ガチガチの表情を猛省。握手した。目が合った。証拠はたくさんあるのに、何を話したか覚えていないなんてもったいなさすぎる。……また会いたいな。決意の指で手帳を開く。

カウントなしで恋に落ちた (2016.09.03)

肌が焦げる感覚。白煙に巻かれ、黒粉にまみれ、満員のスタンドは歓声と共に大きく揺れる。炎天下で汗ばむ身体がぞくぞく震えた。初めての光景、初めての感情、初めての魂動。途惑う私の眼前をあっという間に駆け抜けていく一台のクルマ。その日私は、カウントなしで恋に落ちた。


2016年8月top


ピザトーストに萌えた@某選手のインスタ (2016.08.31)

「まだ寝てる?」恋人から零度の声。指先が示す皿「逆だけど」とろけるべきチーズはソースの下。「こんなんピザトーストじゃない」尖る唇、自分の失態にようやく気付いた。「俺が食うから。お前の分はちゃんと作る」「待てない。半分こ」熱々に齧り付いて「まあまあ」舌が赤を舐る。


2016年6月top


幸せになりたい 得票率13% 酒井 (2016.06.19)

漠然と思い描いていたこと、きっとひとりでは実現できなくて。同じ方向へ進む戦友みたいなきみと共に居られること、生きていけることが。「どうかした?」運転席からの声に視線を向ける。『私幸せだなあと思って。生きるの超楽しい』「それは良かった」きみを苗字で呼んじゃう癖、ちゃんと直すからね。

書き出し.me:だって私、妹だもの 高橋啓介 (2016.06.07)

「だって私、妹だもの」全てを諦めた声。きつく握り締めた小さな拳。俯き滑る髪。腕の中へ抱く。生きる事にさえ背を向けそうな彼女を手っ取り早く黙らせる手段。このままじゃいけないと解ってる。「啓兄ちゃん」安堵したような声に耳が蕩けた。二人を縛り吊るすものは、何度生まれ変わっても解けぬ縁。

書き出し.me:健康に悪いよ 庄司慎吾 (2016.06.07)

「健康に悪いよ」唇の煙草を取り上げる指。ジッポをヘッドボードへ置き二の腕に噛み付く抗議、小さな悲鳴が上がった。「返せ」「どっかいった」彼女は両手を広げ辺りを見回す。「探そっか」「そのうち出てくるだろ。……髪食ってンぞ」熱い頬に触れ再燃する甘い疼痛。「そろそろ準備しないと」「延長だ」


2016年4月top


春はスキップ 高橋啓介 (2016.04.17)

『行ってくる』玄関で声を上げた。目的地は徒歩数分のパン屋さん。何買おう。「追いついた」振り返るとベッドから抜け出したままのパジャマみたいな格好で啓介が立っていた。右手に合鍵、左手で私の手を取る。「スキップしてたろ」『見たな』「おう、しっかり見たぜ」嬉しそうな彼と並んで歩く春の朝。

突然目を逸らされる 得票率13% 酒井 (2016.04.09)

熱視線が刺さったように感じ目を向けた先には橙色のツナギ。社長へ書類を差し出す犯人は素知らぬ顔だ。現場は押さえられなかったけれど、彼の視線を違える筈無い。まるで私ばっかりあなたのこと好きみたいじゃない。勿論好きだけど。遠退く背中へ向けて突き出す舌。いきなり踵が返り思わず知らんぷり。


2016年3月top


[特攻の拓]鮎川真里 (2016.03.19)

なんで。押し殺した声は聞こえないふり、手を動かし続ける。「嫌いってゆったじゃん。イジワル」『今が旬だから美味しいよ。野菜も食べなきゃ』膨れた頬を突きインゲンの豚肉巻を皿へ盛り付けた。「食べさしてくれんなら食べてもいーけど」『お、偉い』「そしたらオレんこと、もっと好きになってよネ」

嫌いな紫煙を燻らせて笑う [特攻の拓]緋咲薫 (2016.03.19)

『ここで吸わないでよ』右手を払い厭世的な抗議。ヘッドボードの灰皿はいつの間にかそこに在った。細く吐き出された紫煙へ背中を向けた途端「こっち向け」ぐいと引かれた肩に滑る、私が乱した彼の髪。薄く笑んだ唇に私のルージュ。私の名を呼ぶ彼の声に瞼を閉じた。薫のキスはいつだって甘くてけむい。

同僚だった 得票率19% 酒井 (2016.03.19)

彼女が居ない職場。気遣いと笑顔に助けられていたと気付く。『おかえり。お疲れさま』「ただいま。今日も聞かれたよ、奥さんいつ戻るんですかって」空の弁当箱と引換の得意気な笑み。『情シスくらいならここで出来るよ。社長に聞いてみて』「体調優先だぞ」『はぁい』二人の生活に新しい家族が増える。

額にキス 得票率56% 酒井 (2016.03.09)

幾束かの前髪を指先で払うと薄っすら汗ばんだ額が現れた。唇を落とした途端背中に爪を立てられ思わず呻く。俺を見上げる彼女の瞳は欲しい場所が他に在ると言っているようだ。上気した頬、尖った唇へキスを。抉られた背中へ腕を回され、柔らかく熱い身体が密着。畳に擦れる膝の痛みさえ甘く夜は更ける。


2016年2月top


健二 (2016.02.22)

碓氷に誘われた時はなにかの間違いじゃないかと思った。『私でいいんですか』恐る恐る尋ねてみると健二さんは「ああ。オレも初めてだし、付き合ってくれよ」と笑う。愛車へ向けた視線は汲み取られ「心配か」優しい声に覚悟を決めた。『いえ。行きます』「サンキュ。ついてこいよ」頷き踏み出した一歩。

小柏カイ (2016.02.20)

傘の向こうで彼が手を振る。『お待たせ』「いや、全然」駐車場へ向かう道すがら、合わせてくれる歩幅が愛しい。「顔赤いな。結構飲んだか」『軽くね』「楽しかった?」『うん!』「よかった」柔らかな吐息がふたつ寒空に上がった。「おかえり」青い車の助手席を開けてきみが笑うから『ただいま、カイ』

酒井 (2016.02.10)

虫の声、木々の騒めき。人の気配を感じない峠道で取り出した携帯「もしもし酒井」『今どこです』「……秋名」『何で県越えてんですか……』大きな溜息に返す言葉が見つからない。『すぐ行きます。そこから動かないで』ピシャリ叩き付けるような口調『……これ以上心配させないでください。心臓がもちません』
私を照らす妙義ナンバーのMR2。『ここで待合せなんです』「こんな時間にそりゃねえだろ。オレが送るって。家どこ?」降りかかる嘲笑、掴まれた腕、誘拐事件発生。それでも耳に届いた音は違えようが無く『あの、もう来ますから結構です』毅然と言ったつもりが震える声。私が攫われたいのは一人だけ。
悲鳴に似た音。描かれるブラックライン。タイヤが焦げるにおい。私を照らす車が増え「お待たせしました。帰りますよ」早足でこちらへ近付いた恋人が短く言い手を繋がれた。まるで傍の男性など目に入らないみたいに。「……お前、」漸く向けた視線は鋭く彼を刺し「何かご用ですか」すべてが凍るような声。

酒井 (2016.02.06)

「おまえさ」隣へ顔を向けると恋人が問う。「この映画観るの何回目」『試写会含めて三回目』「よく飽きないな」『飽きるなんてとんでもない!』観る度発見がある、熱弁を聞いているのかどうか怪しい彼へ『わからんか』呟くと「解らないでもない。俺がおまえに飽きないのと一緒だな」場内照明が消えた。
『どういうつもり』パンフを捲る彼の手が止まった「質問の意図が解らない」『あんなこと言われたら集中できないじゃない』「どんな?」促すような目で私を射る。『……恥ずかしいこと』「やっぱり、おまえと居ると飽きないよ」薄い唇で笑む恋人を直視し手元のカップを両手で包んだ。白旗降参待ったナシ。

酒井 (2016.02.02)

マスク、メット、ノイズ。サーキット全開走行中に外部の〈声〉がここへ届く筈は無い。それでも俺を呼ぶ声だけ聞こえた気がしてアクセルを踏み抜く。真新しいツナギ姿の彼女が高々と掲げたピースサインは流れる景色の中でハッキリ視認出来た。シフトから離した手でサインを返す。勝利の女神は泣き上戸。

書き出し.me:お前らって付き合ってるの? 酒井 (2016.02.02)

「お前らって付き合ってるの?」酒井さんからの何気無いであろう問い、全力で否定しなければならない。「カンベンしてくださいよ。オレがこんなの相手にするわけないでしょ」傍らの大輝が私を指差し唾棄するように言い放つ。許さん。「それじゃあ俺の隣においで」柔らかな笑みで愛車を指す彼に頷いて。
大輝とは長いの。酒井さんが問う。『……小学校からのつきあいです』助手席でガチガチに緊張する私を気遣ってくれているように感じた。「羨ましいな」やんわり笑って空気が揺れる。「お互い居て当たり前の存在だろ」『はあ……』「オレもきみにとってそうありたい」『からかってます?』「いや。本気だよ」


2016年1月top


お揃いのストラップ 北条豪 (2016.01.25)

「何だそれ」合流するなり豪が指差した鞄のストラップ。『昨日作ったの。何でしょう』「オレの車だろ。器用だな」『……も一つ作ったら貰ってくれる?』「鍵に付けるよ。楽しみだけどいつでもいいぞ、無理するな」促され助手席へ着座すると頬に唇が触れて「報酬には不足か」頷く顎を指で持ち上げられた。

多弁な指先 城島俊也 (2016.01.23)

炬燵で寝落ちとは不覚、投げた身体がベッドへ沈む。欠伸を噛み殺し枕へ頭を落とすと隣から腕が伸びて『起こした?』小声で問うた直後に絡む指。温かく大きな掌がぴたりと密着し甲をくすぐる指先で言いたい事は充分解った。『待っててくれたのね』綻ぶ唇を彼の頬へ寄せて。本日休診、朝寝坊しましょう。

君の目が大嫌い 城島俊也 (2016.01.23)

円く美しい瞳を直視した。俺のすべてを見透かすような、君の目が大嫌いだ。「……俺の事、嫌いか」『先生が私の事嫌いなんだもの。当然でしょ』濡れたシャツを脱ぎ捨て彼女が嗤い『一生、好きになんかなってあげない』すり寄せるのは冷えた身体。「ああ。俺もだ」胸に抱く空約束。伏せた瞼にくちづけて。

至近距離で目が合って、ついでに時も止まって 北条豪 (2016.01.23)

苦手な駐車、私にしてはうまくいった。褒めてもらおう、助手席へ顔を向ければパチンと視線がぶつかり息を飲む。『豪?』彼の名を呼んだ。「上出来。今度はオレの車に挑戦だな」『……むり』「何の為の限定解除だ」『だって、』開けた唇に指先が触れて「言い訳は聞かない」時間を止めるような約束のキス。

[特攻の拓]鮎川真里 (2016.01.23)

真紅に塗られていく小さな爪を眺めるのはキライじゃない。「ねーえ、まだァ?」『これで最後』身体を転がし足の甲へ唇で触れた。びくんと振動が伝わり『真里く、』途惑い声が呼ぶ。「乾くまで動けないんでしょ?」困ったように頷くきみは爪と同じ色に頬を染めて。「オレんことほっといたバツだからネ」

#1夢:ほろ酔い 北条豪 (2016.01.03)

ふわふわぽわんと楽しいきもち。隣の豪へ身体を預けると取り上げられたグラスはテーブルへ「気分悪くないか」『うん。でも私酔わせてどーするの』「どうしてほしい」『一緒にいて』「それだけか」『お酒飲んだから運転できないでしょ。このまま泊まってって』「そのつもりだ」へらっと顔が緩む。
左側の温かな重みを抱き寄せ「これ、飲んでもいいか」頷きを確認し彼女が残した甘いビールを呷る。『間接ちゅーだァ』「直接だ」グラスを置き重ねた唇。『……豪、酔ってる?』「ああ。お前にな」『なにそれ恥ずかしい……』潤む瞳、赤い頬の理由は酒だけでないと自白したようなもの。「夜は長いぞ」

#深夜の夢小説60分1本勝負:さっむいな! 庄司慎吾 (2016.01.02)

唇から吹き出す白が夜空へ消えていく。「クソさみィな。誰だ暖冬つったヤツ」追い出されたベランダから暖かな室内へ戻り、コンロ前の恋人を抱き締めた。セーターの裾から手を忍ばせ柔肌へ滑らせると『冷たッ!』耳に刺さる悲鳴。『邪魔しないでよ慎吾』「寒いんだって」『こっちが寒いわ』顎へ頭突き。

#1夢:真夜中のドライブ 北条豪 (2016.01.02)

玄関と門扉を閉め小走りで向う先は彼の紅い車。「大丈夫か」『平気』深夜のコンビニで待合せなんてロマンティックとは程遠いけれど。「朝までに帰すからな」助手席へ私を促した彼が「次は防寒を考えろよ」着ていたコートを差出す。胸へ抱けば密室に閉じ込められて。本当はこのまま帰りたくない。

#1夢:真夜中のドライブ 城島俊也 (2016.01.02)

『城島君、再婚しないの』助手席の窓から真暗な空を見上げ友人が問うた。まるで挨拶するような気軽さで。「いいひとが居たら考えるよ」左手薬指。指環の跡が薄くなったと気付く。『やっぱりエスニいいわねえ』称賛の溜息。『私のAWも結構速いわよ』「知ってる」駐車場で彼女を待つ白い車の元へ。

#深夜の夢小説60分1本勝負:重箱に詰め込まれた (2016.01.01)

手入れされた重箱に詰めるものは食材だけではない。「つまみ食い」『失敗した責任を取ります』「カマボコなんて普通に切ればいいだろ」『ウサギにしてみた』「リンゴだけで充分だ」『傷まないうち煮ちゃおうか。パイはどう?』「いいな」二人で迎える初めての正月。沢山の願いを込めた新しい年が来る。

【1/1のお題】日の出 北条豪 (2016.01.01)

「着いたぞ」ぺちと頬を叩かれ瞼を開く。『……あ、けましておめでと……』「さっき聞いた」彼が身体を退けると助手席は開け放たれており、昇り始めた太陽の一端が視界を染めた。『初日の出!』シートから地面へ飛び降りてブーツを鳴らす。『今年もよろしくね、豪』「ああ。よろしく頼む」強く手を繋いで。
姫様がキスで目覚めるなんて嘘だ。現に彼女は眠ったままで動かない。それともオレに〈王子様〉の資格が無いせいか。車外へ出て助手席ドアを開けた。額にかかる髪、ふっくら柔らかな頬へ指先を滑らせる。念の為もう一度唇を触れさせるが……ああ、やっぱりオレの恋人は一筋縄では行かない。軽く頬を叩く。



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