twitter 140字小説 作品置場 (2015年7-12月)

twitter(@fd7chu)にて不定期に挑戦しています。夢主の名前は登場しません(ネームレス)ので、名前変換はありません。一部キャラ名うやむや。上の方が新しいです。
本ページの他、[携帯版]や[pixiv]にも掲載していますが、更新が遅いため[twilog]もおすすめです。

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69本up。豆腐屋強化月間。

【12/31のお題】やり残したこと 中里毅 (2015.12.31)

『毅何かある?やり残した事』炬燵で蜜柑を頬張り恋人が問う「特に思い当らない。お前は」『色々。来年に持越し』最後の一房を俺の口へ放り込み『お風呂入ろー』「寝るのか」『年越しではしゃぐトシじゃないの。……峠行ったら誰かいるかな』「誰かしら居るだろうな」『行こっか!』鍵を手に彼女が笑う。

#深夜の夢小説60分1本勝負:365日目の夜 藤原文太 (2015.12.31)

『一年間お疲れ様でした』今宵何度目かの乾杯。『今年はどんな年でしたか』「いい年だった」『それは良かった、私も同感です。来年はァ、家族が増えるといいなと思ってまーす』「……酔ってるな」ぽやぽや笑う妻の紅い頬へ手を伸ばす。「もう寝ろ」『文太くんも』熱い身体を押し付けられて『一緒に、ね』

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:虹の日 藤原拓海 (2015.12.31)

「雨上がるぞ」助手席の恋人がマニュアル車相手に苦闘する私へ声を掛ける。『虹が出たら私の分も見といて』「緊張するなよォ」『私の隣に乗るなんて自殺志願としか思えない』「言うほどヘタじゃないと思うけど……」赤信号で止まった途端「ほら、虹。うまくいくって、大丈夫」きみの笑顔が幸運の源だよ。

#深夜の夢小説60分1本勝負:なんだこのオイシイ展開は※お題[雨の日]続き※ 池谷浩一郎 (2015.12.30)

『あのさ』「……なんだよ」『さっきの。夜ならいいって事?』「ばっ、お前、何言って」『散々飛ばしてんじゃん。私もちょっとくらいイイでしょ』「……前だけ見てろ」『はーい』シフトノブの左手へ重なる右手「訂正する。たまにはオレのことも見てくれ」『遅いよバカ。私はずっとアンタだけ見てたっての』

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:雨の日 池谷浩一郎 (2015.12.30)

運転席から憎々しげに雨粒を睨む。『べしょ雪なんのヤだァ』「天気に文句言うな。練習にはもってこいだろ」サイドレバーへ手を掛けた彼女の困り顔『……動かない』「そんな固いか」身を乗り出した途端、頬へ柔い感触。『教習代ね』勢い良くブレーキを落とされ走り出した愛車。「昼間から何考えてんだ!」

#二次創作140字書き出し指定ください:栄養ドリンク (提供:匿名様) 中里毅 (2015.12.30)

栄養ドリンク一気飲み。今年の案件が片付くまであと一息、ディスプレイ用眼鏡を掛けて仕事モードに突入。背後の扉、ノックから顔を覗かせた毅が「先に寝るぞ」と声を投げてくる『おやすみ。コレ切れたら寝る』「無理するな」『わかってるって。ありがと』仕事中に倒れた事をまだ心配されてるみたいだ。扉が閉まり再び画面へ目を向けた。台所から食洗機の稼働音。静かな夜に聞こえる音は嫌いじゃない。そのうち毅の寝息が聞こえてくるかも。先日奮発したヘッドホンを装着、お気に入りBGMを流して自分だけの世界に没頭。(やっぱり買って正解ね。捗りまくるもの)ニッと唇で笑い仕事納めに取り掛かる。

#深夜の夢小説60分1本勝負:愛燦燦※お題[吹雪の日]続き※ 中里毅 (2015.12.29)

素肌に触れる毛布の柔らかさ、伸びかけた髭の硬さ。くすくす声の耳元で「どうした」眠たげな毅の声。『ヒゲもちょこい』頬を頬で擦られ悲鳴が上がる。『たわし!やすられた!』「ヤスリかタワシかどっちだ」『マリモ』「……おう」好きと嬉しいが沢山詰まったこの感情、あなたも知っているなら幸せです。

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:吹雪の日 中里毅 (2015.12.29)

暗いと思えば外は吹雪。窓から見下ろす駐車場の雪山は黒い車も白く覆って『車わかんなくなっちゃった』「左から三台目」振り向けばボサボサ髪の恋人が大欠伸。『起こした?』「お前が隣にいなくて起きた」『雪すごいよ』「昼には収まるだろ」『それまで寝てる』「賛成」手を引かれ温かなベッドへ戻る。

#深夜の夢小説60分1本勝負:こたつとビールとスルメイカ (2015.12.28)

干物を噛み「年越、実家帰んのか」炬燵の中で足を突くが無反応。「缶ビール一本で寝やがった」ゲソで頬を刺すが薄く笑うだけで起きる気配は無い。立ち上がり彼女を抱き上げた。「リクエストしてた姫抱っこだぞ」酒臭い姫へ思慕のキス。『……満足』「起きてたな」『下ろして』「断る」首筋へ噛み付いて。

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:みぞれの日 藤原拓海 (2015.12.28)

傘の水音に空を仰ぐ。クリスマスソングは街から消え、新年の準備に忙しない。『拓海くーん、ご飯はァ』お向かいさんへ問い掛けると「まだです」声が返る。『良かったらおいで、今日はみぞれ蕎麦。お父さんは当番?……の後は飲んでくるかしらね』「たぶん」遠くの拍子木に耳を澄ませた。「お邪魔します」
『お待たせ』大根おろし、油揚げ、葱、海苔、玉子。ほわほわ湯気の立つ丼がテーブルへ置かれた。「いただきます」厨房へ頭を下げ箸を手に取る。一口、二口、温かさに安堵めいた息を吐いた。かららと引戸が開き『いらっしゃい。拓海君、ゆっくり食べてって』向かいのお姉さんはすっかりお蕎麦屋さんだ。

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:快晴の日(遅刻) 高橋啓介 (2015.12.28)

「なんで開けねーの、天気いいのに」『焼けるから』「いつ開けんだよ」『夜』「オープンカーの意味!」『そもそも私ドライブなんて』「たまには走ってやれよ、クサっちまうぞ」『はいはい』それは私と一緒かも「やっぱすっげえ見られんのな!」『明るいうちに走んのヤなんだってば』「気持ちイイだろ」『さすが。あんな黄色いの乗り回してる人は言う事違うわ』助手席の彼は歩道の親子連れへ手を振る事に夢中で私の皮肉なんか届いていない。満足気に運転席を向いた彼は私の心の隅々まで照らすように笑む。少し反省して『よかったね』ポンと左手で金髪を撫でた。快晴のドライブ、きみと一緒なら悪くない。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:夢現 藤原拓海 (2015.12.26)

夢に立ちはだかる壁の高さは想像以上。何度挫けたか打ちのめされたか覚えていない。『拓海くん』きみの声に励まされてオレは今ここに立っている。表彰台でシャンパンを浴び安堵の笑み。チームへの感謝は勿論、きみがオレを見ててくれると解っているから。二人でみる夢の続きはオレの手で叶えると誓う。

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:煙霧の日 藤原拓海&文太 (2015.12.26)

『変な天気ね、もやもやしてる』空を嘆く姉の声。「いただきます」味噌汁を啜るいつもの朝食風景。『拓海、来週進路相談でしょ。志望校決めたの』「一応」「保護者同席か」『そうよ。新聞後にして』汁椀を突き付けられ、新聞へ伸ばした父の手が停止。『じゃあいってきます!』姉がすっくと立ち上がる。

#1夢:笑顔の魔法 藤原拓海 (2015.12.26)

女の子の笑顔が可愛いなんてあたりまえ。解っているけど、自分だけに向けられた屈託の無い笑顔はとびきり魅力的に感じるもので。『拓海くん』彼女の甘やかな声に「なに」と返せば『なんでもなァい。名前呼びたかっただけ』悪戯っぽく笑うからオレもつられて笑う。きっと一生解けない幸せの魔法。

#深夜の夢小説60分1本勝負:破られた包装紙 藤原文太&拓海 (2015.12.25)

「ぶーぶ!」顔面を小さなタイヤが転がる感触。犯人は一人しか居ない。『拓海、パパねんねよ』妻の声は半分笑っている。『良かったね拓海。サンタさんにありがとしようね』「あいがと!サンタしゃん!」枕元に放られた包装紙はビリビリに破かれて。「……もう少し寝かせてくれ」サンタはまだ眠いのです。

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:くもりの日 藤原文太 (2015.12.25)

『気が滅入るったらないわ』重く垂れ込める灰色の雲を見上げた。行儀悪く舌を打ち愛車で向かう秋名。すっかり贔屓の場所になった理由は、コースが面白い事だけではなくて。彼に……彼の〈車〉に会えたら。空と同じこの気持ちも少しは晴れるかしら。『いやだ。私、乙女みたいねえ』大声出して気分上げて。

長い睫毛に欲情 奥山広也 (2015.12.25)

蝶が翅を広げるような彼女の瞬き。「目ぇでかいな」『メイク変えたのわかる?』「わからん」『甲斐が無いわねえ』オーバーな溜息。風呂上がりのスッピンが好きだと言っても無視する癖に。「……可愛いよ」『広也、今なんて!』追越車線へ飛び込む。どきどき心臓が騒ぐのは、きみの睫毛が刺さったからだ。

#1夢:キスマーク※お題[今宵、あなたに会いに行きます]続き※ 高橋啓介 (2015.12.25)

昨夜の跡を残す肌。スーツで覆いベッドの彼を叩き起こすも「見えるとこにはつけてねえ」大欠伸が返る。溜息と共に鍵を手渡した。「持ってていいのか」『スペアだから』思い掛けずプレゼントを貰った子供みたいに笑う啓介。好きだなあ、と痛感「仕事納めだろ。頑張れよ」『ん、ありがと。いってくるね』

#深夜の夢小説60分1本勝負:今宵、あなたに会いに行きます 高橋啓介 (2015.12.24)

『クリスマスイブ?仕事だよ、トーゼンでしょ』通話を切られた。週末まで待てないと正直に言えば良かったんだろうか。さて、お目当てのビルは。東京のオフィス街に群馬ナンバーのFDが迎えに来てるなんて思ってないだろうな。普段はクールな彼女の驚く顔が見られるかも。携帯を耳に当て発信音を追う。
『もしもし』「オレ。まだ仕事中?」『もう帰るとこ』「電話、このままでいいか」『何、どしたの』「いや、ちょっとな」目的の高層ビルは近い筈だ。『電車乗るから切るよ』「後ろ」『は?』駆け寄り肩を叩く。振り向いたスーツ姿の彼女は予想通り可愛い仰天顔で。『啓介……』愛しいきみに会いに来たよ。

#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:お天気雨の日 (2015.12.24)

ぱららとフロントガラスを雨粒が転がる。晴れ渡った空の気紛れな涙。『狐の嫁入りね』助手席から嬉しそうな声、次いで缶コーヒー。「サンキュ」受け取り熱いそれを一口啜る。信号待ちのドライバーも歩行者も皆、空を見上げて。『虹出るかも』青信号、動き出す車列。「楽しみだな」上機嫌のきみが頷く。

#二次創作140字書き出し指定ください:目の前でヒラリと舞った (提供:深飛様) 藤原拓海 (2015.12.24)

目の前でヒラリと舞った赤。サンタに扮した彼女の名を呼ぶ。『拓海君。今帰り?』「ああ。配達か」『うん。ケーキいらない?キャンセル出ちゃって……』「デカいのは食いきれねえぞ」『どーよ』保冷ケースから取り出した小振りな箱。「悪いな」『全然。こっちこそ助かるよ』冷えた彼女を温めてやりたい。
「これ持ってけ」片手で器用にマフラーを巻かれた。「どうせ車ん中暖房つけてないんだろ」『おう……なんでわかるの……』「そんな冷たい手してたら客が引くぞ」『ありがと。明日返すから』「いつでもいいよ」素っ気無い口調で優しさを覆う彼へ手を振り『メリークリスマス!』精一杯の笑顔に感謝を込めて。

#深夜の夢小説60分1本勝負:無免許運転、ダメ、絶対※お題[雪と月]続き※ 藤原拓海 (2015.12.23)

「なんでですか」平静を装ったものの、声と脚は震えている。『秋名に来た時この車を見かけて。どんな人が乗ってるのかなと気になって……。お仕事中ですよね、邪魔なら』「もう帰りますけど、ついてくるだけなら構いません」バレてない、みたいだ。『私の事は気にせず走ってください』「そのつもりです」
警戒心丸出しの彼がさっさとハチロクへ乗り込み、私も慌てて愛車へ駆け戻る。運転席から視線を向けられ、幾度か頷くとライトが開いた。走りを後ろから眺めると巧さが解る。……でもコーナーのたびにハチロクが離れていくのは何故。気付けば彼の姿を見失って『速すぎでしょォ!』私の大声だけが峠に響く。
「オレもう配達行きたくない」「どうした」「……女の人に話しかけられた。後ろついてってもいいかって」「それで」「さあ。途中でいなくなった」「お前がチギったんだろ」「ちぎる?オレはいつもどおりに走っただけだぜ。とにかくイヤだからな」足音荒く自室へ向かう息子を見遣り文太が白い溜息を零す。

#深夜の夢小説60分1本勝負:好きというまで離さない 藤原文太 (2015.12.22)

背中に襲撃『好きって言うまで離さない』「好きだ」渋々解かれた腕、振り向くと起きたばかりらしき妻。ずり落ちそうなカーディガンを羽織らせ「寝てていいって言ったろ」彼女を抱き締めると『文太君タバコくさい』腕の中から上がる不満。それでも離れようとはせず『もう少し、ね』甘く囁くものだから。
『くれぐれも気をつけてねー。いってらっしゃい、文太君』手を振る妻が遠ざかっていく。信号待ちの車内、ポケットの中で煙草がかさかさと音を立てた。「禁煙すっか」吐息と共に漏らしたそれは、最愛の彼女と、まだ見ぬ我が子のための。安心しきった寝顔のために〈早く〉帰ろう。唇の端に笑みがじわり。

#深夜の夢小説60分1本勝負:雪と月 藤原拓海 (2015.12.21)

月が雪を蒼く照らす。ガードレールの薄雪を払い腰掛けた。紅茶の温もりだけが冷えた指と心を支える。夜と朝の曖昧な境界を切り裂く音、プルタブ引く手が停止。振り向いた眼前を疾駆するのは白黒の弾丸にも似た一台の〈ハチロク〉。愛車へ駆け戻る。開封前で良かった、缶をホルダーへぶち込んで急発進。
追い駆けたものの、まさかホテルに着くとは思わなかった。配達途中なら邪魔しちゃいかんな。「何か用ですか」ぶっきらぼうな口調に足を止める。声も外見も、まだ幼さの残る〈男の子〉だ。問いへの答えが見つからないまま吐息が寒空へ消失。『……後ろ、ついて走ってもいいですか』さくり雪を踏み締めて。

#深夜の夢小説60分1本勝負:お気に入りの手袋 藤原拓海 (2015.12.19)

ハチロクが停車する音で飛び出た部屋。助手席ドアを開けると座面の片手袋が目に付く。『探してたんだ、どこにあったの』「オレが持ってた。気に入ってるんだろ、それ」昨日彼が私の手から外しコートへ仕舞ったのは手を繋ぐため「ずっとおまえのこと考えてたよ。会いたかった」運転席から柔らかな笑み。

#1夢:ご飯作って待ってるね 秋山延彦 (2015.12.19)

『おはよ。もう車?電話平気?』「どうした」『声聞きたくて』健気な言葉に口元が緩む『てのは置いといて。今日何時に帰る、忙しー?』「……定時に上がる予定」『そ。ごはん作って待ってる、献立決めてないけど』「ああ。楽しみにしてる」『いってらっしゃい延彦。スキ』右耳に触れる温かな吐息。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:苦い口づけ、笑うキミ 高橋涼介 (2015.12.18)

熱い舌がゆるゆると口腔を侵す。外気の入る隙すら無くぎこちない呼吸。『……コーヒー飲んだ?にがい』「適量のコーヒーは体に良いんだ」私がブラック苦手なこと知ってるくせに、恋人は素知らぬ顔で笑う。『今日は練習つきあってくれるの』「ああ、FCは留守番だ。行こう」冷えた峠、唇だけ紅く燃えて。

#深夜の夢小説60分1本勝負:とくに好きではありません 庄司慎吾 (2015.12.18)

「いい加減好きって言えよ」『とくに好きではありません』向い合う学食の隅、俯いて携帯を取り出す。「やっぱりな。パスコード、オレの誕生日だろ」『……なんでよ』「動きで判る」『(無駄な洞察力)偶然じゃないの』「すげえ、一万分の一。宝クジでも買えば」きみに好きと言ってほしいのは我儘ですか。

#深夜の夢小説60分1本勝負:大人証明書 得票率48% 藤原文太 (2015.12.14,18)

『免許取れましたァ!』疾風怒濤のごとく駆け込んだ先は豆腐屋。「おめでとう」店主が苦笑し「早かったな。年越すと思ってた」驚いた友人も顔を覗かせた。キーケースをこちらへ向け店主が問う。「初のドライブ、どっちを助手席に乗せてくれるんだい」
『今のバイク危なかったですね、すみません』「なに、巧い方だ。丁寧さは親譲りだな」『父と一緒に走ってた、って話ほんとなんですか』「ああ。最近ワンエイティ買ったと聞いたが」『そうです!もう何考えてんだか……』「男ってのはいつまでもガキみてえなとこがあるのさ」助手席で心弾ませてる俺の事。

#深夜の夢小説60分1本勝負:大人証明書 得票率52% 藤原拓海 (2015.12.14,18)

『免許取れましたァ!』疾風怒濤のごとく駆け込んだ先は豆腐屋。「おめでとう」店主が苦笑し「早かったな。年越すと思ってた」驚いた友人も顔を覗かせた。キーケースをこちらへ向け店主が問う。「初のドライブ、どっちを助手席に乗せてくれるんだい」
運転席で緊張する友人へ声を投げた。「東京の専門学校に行くんだろ」『跡取修行だよ』「さみしくなるな」『拓海君は就職?』「ああ。オレは継がない」『……そう』「なんか食ってくか」『それならお父さんも一緒が良かったね』苦笑を零す。きみと二人きりのドライブなんて、最初で最後かもしれないのに。

#深夜の夢小説60分1本勝負:俺的三種の神器 庄司慎吾 (2015.12.17)

きみとクルマと缶珈琲。冬のドライブに欠かせないものみっつ。『そもそも車がなかったらドライブじゃない』冷たい視線を寄越す助手席の恋人、手には缶ココア。「硬いコト言うなよ」黄信号で減速停止。『中里さんに会えるかな』オレにとって一番どうでもいい事を気にする彼女の浮かれた右頬へ寄せた唇。

#二次創作140字書き出し指定ください:無心で餃子を包む (提供:匿名様) 藤原拓海 (2015.12.17)

無心で餃子を包む手がはたと停止。ずらり並ぶ白に無言で抗議され見つめられている気分。八つ当たりとストレス解消のためとはいえ作り過ぎてしまった、お向かいさんへお裾分けに行こうかしら。『ごめんくださァい』ドキドキを少量含んだ声で訪ねると「……おう。どした」眠たげな拓海君が出てきてくれた。
『餃子作りすぎた』タッパー挟んで向い合う。「焼くだけか」『あと水餃子、スープやお鍋に入れてみて。このまま冷凍できるよ』「いつもサンキューな。その辺の適当に持ってけ」『いいって。じゃ、おやすみ』「ちょっと待ってろ。送る」『……うちまで数歩なのに』「いいから」私をここに縫い付ける視線。

#深夜の夢小説60分1本勝負:エンディングにはまだ早い 藤原文太 (2015.12.16)

「機嫌いいな文太」給油中、祐一に運転席を覗き込まれ「ちっとな」とだけ返す。「聞いたか、真赤なシルビアの噂」片眉が反応。気付かれたか。「直接会った奴は」「さあ……」「ならオレのもんだ。手ェ出すなよ」「知ってんのか」「教えねえ」呆れ顔の旧友へ紙幣を突き付けた。最果ての場所から始まる物語。

#深夜の夢小説60分1本勝負:泣き虫は今日まで 藤原拓海 (2015.12.15)

年の離れた口数少ない弟と遊ぶのは退屈。友達とケンカした放課後、居間で座布団枕に不貞寝。頭に何か触れ、小さな掌がくしゃくしゃ髪を掻き回していると気付く。「ねーちゃ。いいこ」眼前に拓海の笑顔。慰めてくれているのかな。零れた涙が耳朶を掠めた。明日から頼れるお姉ちゃんになる事を誓います。

#深夜の夢小説60分1本勝負:勇者と魔王 高橋啓介 (2015.12.13)

勇者がレベルを上げるたび現実と乖離する。「ラスボス登場だ。震えるがいい」ルーター電源を引抜き浮かべる不敵な笑み。コントローラーの落下を合図に私は世界を放棄した。これで人間らしい暮らしができる。全てを打ち壊してくれる誰かを待ってたんだ。『けーすけ、』久方振りに発した声は随分掠れて。
(おまけ)「大丈夫かい」彼の背後から大家が顔を覗かせた「案外元気そうっすね」「安心した。後は任せたよ、高橋君」二人のやり取りをぼうと眺めPCの電源を落とす。「風呂入れ、風呂。んでメシ食おーぜ」カーテンと窓を開け啓介が笑い「13見ろよ、猫の足跡だらけだぞ」駐車場のシルビアを指した。「後で洗車な」
(おまけ)ドライヤーを置くと呼鈴。啓介が招き入れた家事代行サービス「掃除はプロに任す。打合せ終わったらメシ行こうぜ」さっさと部屋を出ていく後姿。駐車場へ向うとFDにもたれていた彼が「終わったか」助手席を開ける『なんで来てくれたの』「お前がいないとつまんねえ」背中を押され黄色の密室へ御招待。

#1夢:揺れる瞳 藤原文太 (2015.12.13)

配達途中擦違ったシルビアに見覚えは無いが天下の公道、いつ誰がここを走ったっていい。帰路、給水塔へ差掛るとそこに居た紅いS12。普段なら気にも留めず帰る筈、今日に限ってステアリングを切ったのは美しい挙動に惹かれた所為か。運転席から降りた彼女の濡れた瞳が心持揺れてハチロクと俺を舐る。

#深夜の夢小説60分1本勝負:井の中の蛙 (2015.12.12)

谷田部と首都高が遊び場だった頃。苦労して縮めたタイムはワークスドライバーに容易く塗り替えられた。巧い奴は居るし速いクルマも存在する。それが自分に何ら関係の無い事だと気付くまで時間と金を食い潰した。立場を変えて視点も変わる。走る事が好きなただの車バカは今、紅いシルビアで秋名を疾駆。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋涼介 (提供:瑠璃夜鷹様) (2015.12.12)

俺は頼りないだろうか。微かな不安を口に出す。『そんな事ないよ。私が甘え馴れてないだけ』「甘えてくれていいんだぞ」頭をそっと俺の肩へ。身体を預けてくれた彼女の柔らかな髪に沈黙が落つ。「どうした」『ごめん涼介。ここからどうしたらいいか分からない』途惑う恋人の肩を抱き赤い頬へくちづけ。

#1夢:震える唇 (秋名湖イルミネーション) 庄司慎吾 (2015.12.12)

『さむゥい!』12月、吹きっ曝しの湖畔は寒くて当然だ。「冷てえ!」コートのポケットへ突っ込まれた彼女の手は冷えきっている。『あーうん、まァ温いかな』「何様だ」絡む指。花火が打ち上げられ、周囲の視線は夜空へ向かう。ほんの少量スリルを含むキス。ふるり震える唇は熟した果実の後味。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:滑らかな肩をそっと包んで (秋名湖イルミネーション) 藤原拓海 (2015.12.11)

闇夜に浮かぶイルミネーション。肩へ回した手に力を込めて抱き寄せた。コートの上からでも彼女の身体が滑らかな曲線でできていることが判る。『拓海君めずらしいね』囁きに耳を傾ければ『外で手つないだりしないでしょ。びっくりした』「つないだ方がいいか」『……うん。嬉しい』「わかった」髪が香る。

#深夜の夢小説60分1本勝負:そろそろ結婚してください 小柏健 (2015.12.11)

『諦めつきました?』「オレの台詞だな」『そろそろ結婚してくださいよォ』何度目かの求婚を迫る元教え子はすっかり大人びて。「就活どうだ」『順調です。本当は永久就職希望ですよ』「教師が薄給って知ってるよな」『ハイ小柏先生』「働き始めたら世界は変わる。落ち着いたらまた考えろ」……一歩前進?

群馬県総合スポーツセンター伊香保リンク一般開放 藤原文太&拓海 (2015.12.11)

『田んぼ凍ったら長靴で滑ったよね』真顔で問われ記憶を辿る「下駄スケート懐かしいな」妻が広げた広報紙、市内リンク開放の報せ。『スケート行こうか、拓海』「すけーと?」『車使わないなら乗ってくけど』「オレも行く」『アラやる気出ちゃった?私巧いわよ』「すけーと!」『手つないで滑ろうねー』
(おまけ)リンクを見渡し息を吐く。「お前の母ちゃんすぐムキになるなァ。何周目だ」傍の息子は初めてのスケートを楽しんだようで何より。「オレの女だ。誰にもやらん」円い目で凝視された戯言。『満喫!』真赤な頬で妻が帰還。「おれのんな!」脚に抱きつく拓海を見下ろしこちらへ向けたポカン顔。……似てんなあ。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 藤原文太 (提供:深飛様) (2015.12.10)

引戸を開け暖簾を割る手。「いらっしゃい。早いのね」カウンター指定席へ腰を落とす彼といつものやり取り。「今日は車?」「いや、歩き」小鉢とグラスを並べ瓶ビールを注ぐつもりの両手が途惑った。おしぼりにも触れようとせず仏頂面で腕を組む彼。どうしたの、開きかけた唇。「……ちっと話があるんだ」

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 舘智幸 (提供:深飛様) (2015.12.10)

「大きくなったらお嫁さんになるの」二人で叶える夢と驕った愚かな男。「おめでとう」「ありがと!」緊張感を打消して余り有る笑顔。ドレス姿を褒めるなど照れ臭く、女友達がやって来たのを機に退室。俺にはまだ叶えていない夢がある。「幸せになれよ」花嫁には届かない言葉。万雷の拍手へ背を向ける。

#深夜の夢小説60分1本勝負:画面越しのプロポーズ 松本修一 (2015.12.10)

嘘と口走った。何度見返しても携帯画面『結婚しよう』五文字は変わらず「修一」電話先の恋人は呑気。『見たか』「イタズラなら悪質。本気なら誠意がない」『お前ならそう言うと思った』呼鈴が鳴り玄関を開けた途端、大きな薔薇の花束に遭遇。「これ何本」「108本。結婚しよう」薔薇ごと抱き締めて。

#深夜の夢小説60分1本勝負:アンパンと牛乳 藤原拓海 (2015.12.09)

頭上でカウベル。「こんにちは」『拓海君。アンパン焼きたてよ、試食してって。牛乳あるわよォ』いつものようにイートインスペースへ促され暫し休憩。トレイとトングで店内を一周後、会計時『サービス』と袋へ焼菓子。「ありがとうございます」『お父さんによろしくね』ニコニコ手を振られ笑顔を返す。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 二宮大輝 (提供:つばさ様) (2015.12.09)

そっと彼の肩へ頭を預けた。「……なんだよ」耳をくすぐる大好きな声。むくれたような表情へ「ちょっとだけ甘えてもいい?」控えめな問いと熱視線を投げる。炬燵布団を捲り「腹痛いんだろ。来いよ」空けた隙間へぶっきらぼうに顎をしゃくって。「ありがと、大輝」背後から隙間無く私を覆う温かな抱擁。

#深夜の夢小説60分1本勝負:物書きの恋 藤原文太 (2015.12.08)

「らっしゃい」『焼豆腐』紙の上では何もかも思い通りの筈、なのに筆が進まない。「昨日くれたあの、あれ」『豆腐のマフィン』「愛想のねえ菓子だったな」『マズかった?』「旨かった。ごっそさん」『……お粗末様でした』細目で笑う店主。行き詰った展開に光が差す。「はいよ、毎度」『またね』「おう」

#深夜の夢小説60分1本勝負:終わりのない旅(遅刻) (2015.12.08)

旅支度をしよう。行先も期間も未定の旅。「何持ってく?」ソファでうとうと半目の恋人へ質問。『旅のお誘いですか。暑いか寒いかもわからんのは無理ですなあ……』「俺はお前と一緒ならどこでも行ける。……笑ったな」脇腹へ指を這わすとゲラゲラ笑いが伝染。人生は旅路に似ている、君ならきっとそう言う。

#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:百合の花(遅刻) 二宮大輝 (2015.12.08)

黄色い車の運転席から降りた彼がすみません、と詫びた。『何』「酒井さんじゃなくて」『全然』助手席に着座。「酒井さんとはどういう」『友達』「つきあってたり」『ありえない』駅ロータリーへ到着し、後姿を見送る。ぱっと振り向く彼女、笑って『あなたの運転好きよ。送ってくれてありがと、二宮!』

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 藤原文太 (提供:みかげ様) (2015.12.08)

「文太くん、これ食べたい」可愛いおねだり大成功。小洒落たカップデザートは大きな手に包まれカゴへ。食後のデザートタイム、スプーンに一掬いの甘味を彼へ向けた。「半分こ」「お前のだろ」「いいから」「……じゃあ」あなたとの半分こで私は何倍も嬉しくなるんだよ。突発的なキスでクリーム拭うふり。

#深夜の夢小説60分1本勝負:散りゆくさだめと知っていた (2015.12.07)

落葉を拾い上げた指先。それを弄びながら彼女が微笑い『すっかりさみしくなったねえ』冬支度の山を眺めた。「寒くないの」『ぶ厚いタイツなの』自慢げにスカートを持ち上げ『それに、一緒だとあったかいでしょ』二人繋いだ手で温もりを分け合う。手放した葉は冷たい風に乗り、ひらりひらりと身を捩る。

#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:ヒトリシズカの花 藤原拓海 (2015.12.07)

給水塔の下、車の陰で身を潜める女性が目に入る。「何してるんですか」女子トイレ個室へ連れ込まれ『追われてるの』囁く吐息が耳に触れた。爆音マフラーが遠ざかる。『ナンパされたんだけど運転下手で引いちゃった』「知らない人の車に乗ると危ないですよ」至近距離で交錯する視線、汗ばんだ掌を隠す。

#深夜の夢小説60分1本勝負:ホットミルクと君 藤原文太&拓海 (2015.12.05)

『おかえりなさい』出迎えもそこそこに小鍋で牛乳を沸かし始める。『拓海が眠れないって』「どれ、一緒に寝るか」むっつり唇を尖らせたパジャマ姿の息子を抱き上げるが「おさけくさい」小さな手で一生懸命顔を押され苦笑。『できたよー』カップ片手に畳を踏み妻が笑う。『ちゃんとふうふうしてからね』

#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:鬱金の花 秋山和美 (2015.12.05)

「お忘れですよ」肩を叩かれ振り向くと差出されたガイドブック。付箋だらけのそれは自分の物に間違いなかった。届けてくれた着物姿の女の子は……先程チェックアウトした旅館の従業員だろうか。『お仕事中にごめんなさい』「いいえ。またのお越しをお待ちしています。いい旅を!」晴々笑顔に乙女の馨香。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋涼介 (提供:瑠璃夜鷹様) (2015.12.05)

驚いて言葉を失念。自慢の髪は短く、温い風に遊ぶ。「何があった?」『特に……強いて言えば変わりたかったからかな』強く美しい彼女の静謐な微笑。伏在の真実を知りたい俺の我儘。過去も未来も君のすべてを欲しいと思うのは。『変かな?』「いや、これも悪くないさ」頭を撫でた途端、赤面の脱兎が一羽。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋涼介 (提供:瑠璃夜鷹様) (2015.12.05)

「切ったんだな」『ん、まあね』珍しい涼介の驚嘆に笑んだ。軽くなった頭を振り毛先を弄る。彼が率いる〈D〉の始動は契機だった。過去の自分と決別したい、変わりたい。僅かな重さで私を縛る指輪、いつか外す日まで。その先も貴方と一緒に居たいと願うのは。『変かな?』見上げた先、やんわりと一笑。

#深夜の夢小説60分1本勝負:怪盗が盗んだものは? 高橋涼介 (2015.12.04)

『時間泥棒』「確かに……これ程時間がかかるとは」アンケートの束と向き合う生徒会室。『いつもこんな事してんの』「今日は偶々だ」『こんなもん盗まれりゃいい』「我々の管理体制が疑われるな」呻き声の主へ詫びた。「付き合わせて悪かった。帰っていいぞ」『最後までやる』意外にも真摯な決意が返る。

#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:時計草の花 藤原文太 (2015.12.04)

失恋一人旅行の行先は温泉地。人通り少ない寂れた雰囲気に浸る中、慣れない下駄が滑り石段を転がり落ちた。青い傘が宙を舞う。数箇所ぶつけたが幸い数段の落下で済んで安堵。折角の有休なのに受難の誕生日。よろよろ立ち上がるとこちらへ駆け寄る男性が目に入り「大丈夫か」差された傘、顔だけが熱い。

#深夜の夢小説60分1本勝負:渡り廊下 高橋涼介 (2015.12.03)

こちらへ手を振る生徒会長が目に入り、友達でも居たのかと鞄片手に見返るが背後は無人。「いい度胸だ」至近距離で降る声に身体を竦める。「俺一人で恥ずかしかったぞ」『高橋が勝手にしたんでしょ』「少し手伝ってくれ。暇だろ」『勝手に決めないで。……暇だけど』放課後の渡り廊下を駆ける足音が二つ。

#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:ガーベラの花 酒井 (2015.12.03)

背中がぶつかり『すみませ……酒井さん』慌てて口を噤む。彼にとって私はギャラリーの一人。「ごめん。どこかで会ったかな」『いえ、友達に動画見せてもらって。はじめましてです』頭を下げた。『今日は走らないんですか』橙色のツナギで裏方と想像。「ああ。後で隣乗る?」『ぜひ!』薄い笑みに見入る。
(おまけ)「今日は車?」『いえ、私まだ仮免で。ここには友達に乗せてもらって』「ご家族が心配しない?」『一人暮らしです。酒井さんがご迷惑でなければ、もう少し……一緒に居させてもらってもいいですか』「危ないかもよ、俺の隣」『……運転が、ですか』「否定はしないけど……」先輩達からの視線が脳裡を過ぎる。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 皆川英雄 (提供:りょうこ様) (2015.12.03)

「オレは何番目だ」パドック裏。鋭い眼差し、質問の意図が把握できず途惑う。詰るように肩を掴む手。『英雄さん』「敵味方問わず随分と仲が良いんだな」『……顔馴染みなだけで、』「頂点はオレだ。レースも、お前にとっても」耳朶へ熱い吐息。強い抱擁に肯くしかない私は綻ぶ唇と昂る心を抑えられない。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 史浩 (提供:深飛様) (2015.12.02)

「酔ったか?」隣の恋人へ問うたが俺の心配など無用だとでも言うように首を振る。「初めて二人で飲んだ時のこと思い出してた」ほんのり朱に染まる頬へ指先を滑らせ、柔らかな黒髪に触れて大きな安心感を得た。互いの存在を必要として数年。きみは今までもこれからもかけがえのない、ただひとりの存在。

#深夜の夢小説60分1本勝負:ご注文は私ですか!? 中里毅 (2015.12.02)

御世辞にも流行っているとは言い難い喫茶店。『コーヒーのおかわりはいかがですか』看板娘から声が掛かり顔を上げる。「お願いします」『少々お待ちください』頭を下げてカウンターへ向かう彼女。君をテイクアウトしたい、と言ったらどうなるだろう。眼光鋭いマスターに追い出されるかな。重苦い溜息。

#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:リンドウの花 藤原拓海 (2015.12.02)

『藤原君』クラクションは農協の職員さん。『おうち行くとこなの。乗ってかない?』紫色のドアを開け助手席へ。「GT-Rですか」『そォ不人気の33。書類、文太さんに渡しておいてくれる?』「お茶でも……」『お気持ちだけ頂戴します。戻らなきゃ』あなたの真摯な眼差し、いつかオレにも向きますか。

#深夜の夢小説60分1本勝負:戦え!少年少女共! 高橋涼介 (2015.12.01)

『学校爆発したらいいのに』「試験が延期されるだけだな。お前が隠してるモノも危ないんじゃないか」『言うな高橋!』「口が滑った」校則禁止事項のバイク通学を嗅ぎ付けられ、見逃すかわりに生徒会の雑用を引き受けた。『腹黒会長……』「何か言ったか」『いえ』「赤点など許さんぞ」綺麗な笑顔の圧力。

#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:アザミの花 藤原文太 (2015.12.01)

『すみません』「いらっしゃい。何にしましょう」『秋名でお手合わせ願えませんでしょうか』穏やかな微笑の陰に刃を匂わす鋭さ。「悪いな嬢ちゃん。そういうのはやってねえんだ」『そうですか。残念です』挑発するように尻を振り遠ざかる紫色のS12は忘れた事など無かった一台。「娘がリベンジかい」

ロータス 新型エリーゼ スポーツ発売記念 庄司慎吾 (2015.12.01)

ぽちぽち携帯を弄っていた恋人。目を輝かせたかと思えば画面を突き付けてくる。「なンだよ」『エリーゼ新しいの出るって。10キロも軽くなるってすごくない?乗りたァい』「クルマが軽くなってもお前が重いままじゃなァ」『ではダイエットだ。胸から痩せるが構わんな?』「サーセン勘弁してください」

【12/1のお題】凍てつく 沙雪 (2015.12.01)

強張った指先で呼び出す電話番号。『もしもし』「さゆ、っ」名を呼んだ途端、品の無い嗚咽が漏れる。『泣いてんの?』「フラれた……」『時間あるならコッチ来なよ。真子も居るから』「うぐ……さゆ好きィ……」『知ってる。あたしも好きよ』ちゅ、とリップ音が耳をくすぐり『待ってるね』心がすこし融ける。


2015年11月top

71本up。坂本強化月間(EA11R)。

#深夜の夢小説60分1本勝負:頬を撫でた木枯らし 坂本 (2015.11.30)

靴を履いたところで声が掛かり『渉君とこ行くの?』ああ、と振り向けば寝ぼけ眼の恋人。『またつれてって』返事のかわりに温かな身体を抱き締める。「じゃあな」『いってらっしゃい』ドアからの木枯らしが頬を撫で髪を揺らす。ベッドの広さに慣れるのはさみしいけれど、楽しそうな笑顔で許してあげる。

11/30 AW11&ZZW30 小柏カイ (2015.11.30)

『写真より可愛い!』熱視線は運転席を通過しMR-Sのフロントへ向かった。「運転するか」『何かあったら困るよォ』「お前の腕は信用してる」隣のAWへ目を遣る。『カイにそう言ってもらえるだけで充分』いそいそ助手席へ収まる恋人の手を取り「これからもオレの隣に居てくれ」指先へキスをひとつ。

[湾岸ミッドナイト]朝倉アキオ (2015.11.30)

友達に連れてこられた場所で友達に置いていかれるなんてどうやって帰ろう。「一人?一緒に飲も」お酒臭い強引な手。「こっち先約です」『朝倉君、』ウェイター姿とは違うラフな格好。「彼女?アキオ君ごめん」「飲み過ぎないでくださいよ」「はーい。またね」「……送る」初めて合わせた視線は冷淡な蒼。

#深夜の夢小説60分1本勝負:空色パレット 奥山広也 (2015.11.29)

空を描くには色が足りず青が欲しいと切に願う。捉えた音はシルビアの咆哮。ヘッドライトが煌いたまま顔が近付いた。瞬きを繰り返し眼前の友人を確認する。『広也、くん?』「誘ったのはお前。甘ったるい声でオレを呼んだ」熱い囁き。手首を掴んだ彼の掌。ボンネットへ引き倒されて背中に硬い青の感触。

#1夢:こんなところで? 坂本 (2015.11.29)

キッチンのドアが開く。「はよ。早いな」『おはよ。おなかすいてる?』「まだそんなに」そう、と答えた私は抱き上げられシンクの縁へ。「お前に見下ろされんのも悪くない」『……こんなところで?』ひんやり冷たい感触にもぞもぞ腰を動かす。「すぐ熱くなる。心配すんな」膝を割り寄せられた身体。

#深夜の夢小説60分1本勝負:ぶかぶかのパーカー 庄司慎吾 (2015.11.28)

「何だその格好。見てる方がさみー」さっさとパーカーを脱ぎこちらへ突き付けた。「着とけ」『寒くないの』「ンなにヤワじゃねえ」『……ありがと』紅いシビックを見送り手元へ視線を落とす。持て余す袖丈、温もり、残り香。彼に包まれているような体感。『意識しないとかムリだわ』腕を抱き諦めて唸る。

書き出し.me:お砂糖は何杯? 庄司慎吾※小学生 (2015.11.28)

『お砂糖は何杯?』小さな客人に問う。「……いっぱい」『沢山?』頷いた彼へ甘いカフェオレを差し出した。「いただきます」『はい』豆の焦げ汁を啜りながら彼を見詰める。『駐車場で遊ぶと危ないよ』「……ごめんなさい」『友達いないの?』「いる!」ムキになった彼に名を尋ねてみると「慎吾」項垂れた。

#1夢:昼の星空 藤原文太 (2015.11.28)

自転車に追突され車道へ転倒。フロントグリルの六連星が間近に迫り死を確信。運転席からご近所さんが顔を出す。「あぶねえな、オレじゃなかったら死んでたぞ」『は、い』「乗りな」後続車へ頭を下げ助手席へ乗り込んだ。「ケガはないか」『たぶん』膝が笑う。「送るよ」涙と鼻水のブレーキ全壊。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:蕩ける現実 庄司慎吾 (2015.11.27)

好きなひとに顔を覗き込まれてふにゃりと笑う。ああ、これは夢なのね。目が覚めたら愛車の運転席に居る筈だ。アクセル踏み込んでクラッチ蹴っ飛ばして峠で遊んでるいつもの私。ゆらりゆらり現実が蕩けて指先から零れていく。名前を呼ばれた。なんてしあわせな「起きろバカ」頭を鷲掴んだ慎吾の熱い手。

#深夜の夢小説60分1本勝負:光がさした 坂本 (2015.11.27)

豪快なコースアウトに乾いた笑いしか出てこない。車同様、無線も壊れたようだ。「こりゃリタイアだな」這いずるように車外へ出たコドラと顔を見合わせ肩を落とす。マーシャルが駆け付けるよりも早くオレを呼ぶ絶叫が曇天を切り裂いた。『坂本ォ!』不安を押し込んだ彼女の声。覗く晴れ間はまるで光線。

#深夜の夢小説60分1本勝負:聡明な人 坂本 (2015.11.26)

すきだ、と気付いたのはいつだっただろう。最初はプライベートが全く見えない〈仕事仲間〉のひとりってだけ。この年になって青臭く片想いするなんて思わなかった。きみのことだからオレの気持ちなんかとっくにお見通しだろうね。駆け引きなんてできないからジョッキを掲げて近付いた。「飲んでるかァ」

(フォロワさんへ押し付けた。) 北条豪 (2015.11.26)

ソファで丸めた背中に掌が触れ、もそもそ頭を上げると憂い顔が近付いた。「痛いか」『ん……』「代わってやれたらいいんだけどな」大きな手が私の髪を梳き頬を撫でる。「ベッド行くか」『……ごめん』「バカ、謝るのはオレの方だ。お前にばかり辛い思いをさせてる」『豪』「愛してるよ」旦那様の姫抱っこ。

#深夜の夢小説60分1本勝負:混沌の宴 坂本 (2015.11.25)

定例会という名の飲み会は毎度混沌としている。「飲んでるかァ」『飲んでますよ烏龍茶。クルマで来たんですか坂本さん』「タクシー。帰り、送ってってくれるとありがてーけど」『いいですよ。ウチの大事なドライバーさんですから』「それだけ?」『……他に何が』「べつにー」ふふんと笑い上機嫌の鼻歌。

#深夜の夢小説60分1本勝負:鳴けないカナリア (2015.11.24)

「もうすぐ退院だな」ベッド脇のパイプ椅子から明るい声。おずおず名前を呼ぶと彼が笑んで頷く。やり取りを何度も繰り返すうち、とうに枯れた筈の涙が溢れた。私の手は温かな掌に覆われ、強く握り締められる。「お前のそばに居るよ」例え上手に歌えなくても、自由に飛ぶための翼ならここにあるのだと。

#深夜の夢小説60分1本勝負:ともに生き、共に果てよう 坂本 (2015.11.23)

かつて公道やサーキットを共に駆け抜けた戦友は、人生を共に歩む伴侶となった。「幸せにする」『随分前から幸せです』自分には似合わないと苦笑した純白のドレス。似合うよ、なんて御世辞は要らないわ。私達の左手薬指には誓約の指環。「死が二人を分かつまで」あなたと一緒ならどこまでも走れるから。

書き出し.me:あ! [いい夫婦の日] 藤原文太 (2015.11.23)

『あ!』豆腐の積込を終えたところで素っ頓狂な声が上がる。『昨日〈いい夫婦の日〉だった……』「それがどうした」『文太君冷たい』「そうかい」ぷっくり膨れた頬をつつくと『いってらっしゃい』笑みと白い息が弾む。「体、冷やすんじゃないぞ」『ありがと。気をつけてね』愛妻の腹部にふわりと触れた。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:出ていけ 須藤京一 (2015.11.22)

せっかくの泊まりだというのに些細な理由で喧嘩になった。「出ていけ」今まで聞いたことのない声に身体が芯から冷えていく。『わかった』この部屋に私の物なんて多くない。衣類へ伸ばした手を強く掴まれた。「すまない。お前だけは手放せない」『京一、』厚く熱い唇が押し付けられて吐息が甘く変わる。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:茜映す雲 秋山渉 (2015.11.22)

名を呼ばれて振り返る。『渉』「まだ居たのか」『写真撮ってた』朝焼け雲を指差した。「空なんか何が楽しいんだ。それよりオレ撮ってくれよ」『はいはい。じゃあハチロクと一緒ね、並んで』愛車の隣、呑気にピースサインなんか掲げて笑う。ボタンを押す手が少し震えた。私の気持ちを写しそうで怖くて。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:主人公を「キミ」と二人称にする [11/20 AW11&SW20] 小柏健 (2015.11.22)

目に留まったAW・ホワイトランナー。隣に停車させ、真白に輝く凛々しい姿を暫し眺める。きちんと手を掛けている事が読み取れた。『あの』遠慮がちな声に振り向くと女性。「キミの車?」『ええ。小柏さん、ですよね。そちらのSW、以前お会いしてます。カイ君にも』はにかむ笑顔、年甲斐もなく昂揚。

#深夜の夢小説60分1本勝負:むこうのせかい 坂本 (2015.11.22)

やるじゃん、とベッドで独り言つ。PC画面には悪路を駆ける一台の車。国内戦なのに遠い世界の出来事みたいだ。私がどうなったって、彼が無事ならそれで良かった。あんなに泣くとは思わなかったけど。誰の所為でもないと何度言っても。……いつかまた、隣で共に闘いたい。茫漠と白い天井に願いが消える。

#深夜の夢小説60分1本勝負:ラヴィアンローズ 坂本 (2015.11.21)

『結婚しよ』交際二年の恋人から〈逆〉プロポーズ。「収入安定してねーし……」『私が稼ぐ。返事聞かせて』喉元に真剣の切先を突き付けられているようなヒリついた乾き、ごくりと唾を飲み込む。「喜んで」抱きつかれた勢いでソファへ倒れ込んだ。きみと同じ明日を生きられるなら、オレの人生は薔薇色だ。

11/20 AW11&SW20 小柏カイ (2015.11.21)

コンビニの駐車場。隅に停めた車へ戻ると側に女性が立っていた。こちらに気付いた彼女が『オーナーさんですか』と目を輝かせる。「いえ、父の車です」写真撮影を請われ驚きながらも「どうぞ」促した。「好きなんですね、車」『私AWなんです、うち近いから自転車ですけど……』彼女の照れ笑いが伝染る。

#深夜の夢小説60分1本勝負:駆け込み乗車はご遠慮ください 中村賢太 (2015.11.20)

駆け込んだ車両には思い掛けない人物が居た。『中村。車は』「修理中」『かわいそ』「……反省してます」大学最寄駅に到着し、反対側の扉が開く。「降りねーの?」『……スカート挟まれてる』「何やってんだ……」『私の事はいいから』「開くまで付き合ってやる。感謝しろ」隣に立って得意気に笑う〈友人〉。

#深夜の夢小説60分1本勝負:人生は山あり谷あり 坂本 (2015.11.19)

表彰台頂上でトロフィーを掲げる泥塗れの彼女は輝いて見えた。挑むジャンルは違えど戦う姿勢は遠くない。「オレも頑張んねーとな」今だけは自分の成績を忘れたい。ここが底、あとは上るだけ。二人なら波瀾万丈も楽しめる。そんな人生も悪くないと思えるようになったのは、きっときみがいてくれたから。

#深夜の夢小説60分1本勝負:私、失恋しました! 庄司慎吾 (2015.11.18)

聞き間違いかと思い「もう一回頼む」彼女へ乞うた。『私、失恋しました!』先程と寸分違わず元気な声が返る。「ご愁傷様」『そうじゃなくて!』「知らねーよ。女に言え」『沙雪と真子は食べ放題予約してくれた』「じゃあもうオレの出番ねえな」『隣乗せて。慎吾じゃなきゃやだ』見上げた瞳が湛える涙。

(フォロワさんへ押し付けた。) 高橋啓介 (2015.11.17)

「やっと帰ってきた!」『啓介君』騒々しい出迎えに驚き、キッチンからの匂いにまた驚く。『ごはん作ってくれたの?』「旨そうだろ!冷蔵庫ん中、勝手に使ってごめんな。自信あるから許せ」『あぁうん、ありがと……』「いいから早く食おーぜ、ハラ減った!」私をぎゅっと抱き締めて耳元で囁く「おかえり」

#深夜の夢小説60分1本勝負:かくされた言葉 健二 (2015.11.17)

『拾ってくれてありがと、健二君』運転席へお礼を言うと照れ臭そうに「通り道だから、ついでだよ」と笑んだ。「あの……オレさ、」彼の表情は真剣で。「……何でもない。またな」遠ざかる後姿に雨と白い吐息が追い縋る。いつか隠してる言葉をきかせてくれる?(できれば私がおばあちゃんにならないうちに)

伝えようかな? 皆川英雄 (2015.11.17)

待ち合せ五分前。男は辺りを見回し、相手が居ないと判ると携帯を取り出した。『ごめん、もう着いてる?』「急がなくていい。ゆっくり来い」ぷつり切られた通話に苦笑が漏れる。きみはきっと名前のとおり『お待たせ、英雄』二人のときは私だけのヒーローでいてほしい。きみに伝えたら、なんて言うかな。

書き出し.me:好きだって言ってンだ、バカ 庄司慎吾 (2015.11.17)

「好きだって言ってンだ、バカ」向い合った彼の唇が結ばれた途端ぶわっと頬が燃えるのが判った。俯きかけた顔を掴まれ「目ェ逸らすな」至近距離で視線を合わせた。彼の瞳に私が映る。「返事は」『……見てわかりませんか』「お前の言葉聞かせろ」『慎吾、』名前を呼ぶと柔らかく笑う。『好き。……大好き』

書き出し.me:好きです。付き合ってください! 藤原文太 (2015.11.16)

『好きです。付き合ってください!』豆腐屋の店先で差出した右手は弾かれた。「何回目だ」『八回目』「学習しねえなあ」『私が勝ったら付き合って』「一本だけな」『了解!』「車、直ったのか」『直したのよ』秋名の下りで勝負する時、文太は相手が誰だって絶対手を抜かない。私にはそれがただ嬉しい。

#深夜の夢小説60分1本勝負:揺れたリボン 坂本 (2015.11.16)

『坂本さんですか』SAでの休憩中、高校生の熱視線に射られた。言葉を交わすうち、ただただ車が好きだった昔の自分を見ているようで背中がむず痒くなる。ふと彼女の表情が強張り『高速教習の途中でした』つい苦笑が漏れた。「頑張って」『はい。失礼します』胸元で揺れた緋色のリボンが目に焼き付く。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:囚われたのは王子様 乾信司 (2015.11.15)

文化祭の出し物にラブコメ芝居。意味が解らない。姫役が機嫌を窺うように『乾君人気あるんだよ。私はクジ引き』と笑う。「興味ない。帰る」『待って、』腕を掴まれた勢いで扉に押し付けられ、まるで囚われの王子。『……ごめん!』わたわたと身体を離す彼女の手を握る。「逃がさないよ、姫」指先にキス。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:嘘に紛れた宝石を 末次トオル (2015.11.15)

『トオル今日どーすんの』「泊まってもいいか」『いいけど。珍しいね』「たまにはな」低い振動音。『電話?』「……ああ、同期の奴」『出なよ。私風呂掃除してくる』後手に閉めた扉から漏れ聞こえる話し声、私をきちんと騙してくれる律儀な〈恋人〉。沢山の嘘に紛れた真実の宝石にはまだ気付かないふり。

#深夜の夢小説60分1本勝負:段取りはすっ飛ばして 坂本 (2015.11.15)

満面の笑みを指差し問う。「連絡したの誰」渉と延彦が挙手。『坂本全然遊んでくれないし、来たら教えてって言っといた!今から走んでしょ!』「ちょっと黙ってろ、色々あんだよ」『いーから早く!』「……隣乗れ。そんなテンションで事故られたら困る」『やったァ!』浮かれる後頭部にぺちんと愛の一撃。

#1夢:君を攫いにいく・11/14 埼玉県民の日 秋山渉 (2015.11.15)

『渉くん』躊躇いなく名前を呼ぶ声、はにかむように咲く笑顔。とびきり甘く感じたのはきっと、オレの勝手な愛欲。ステアリングを握る手がぴくりと揺れて、少しばかり緊張しているのだと気付く。動揺を認めた視界に入るナビシート、土曜の夜は指定席。稲妻よりも迅く君を攫いにいくから覚悟して。

#深夜の夢小説60分1本勝負:落ち葉を踏みならして 小柏カイ (2015.11.14)

足元で乾いた音が鳴り続けた。耳をつんざく轟音の正体がクラクションだと気付き顔を上げる。青い車から降りた男性が「こんなとこ歩くな!」私を一喝した。散々泣いたから酷い顔をしているだろう。互いに視線を逸らせないまま数秒経過。「……乗れ」腕を引かれて騒めく心、いろは坂を舞う枯葉に似ている。

#1夢:愛してほしいだけ (2015.11.14)

とろり、指先に絡み付く蜜。震えた吐息が立ち昇り、唇に薄く笑みが浮かぶ。『そこ、だめ、』「嘘。きもちーんだろ?知ってる」相性が好いのは最初のキスから判ってた。だけど何度身体を重ねても、きみとの距離は縮まらない。嘘吐きはぼくの方だ。……ああ、本当は。きみにぼくを愛してほしいだけ。

#深夜の夢小説60分1本勝負:ティーカップと二人 (2015.11.13)

『お茶が入りましたよォ』「サンキュ」『頂きものだけど』「ふうん。なんか高そ」いそいそ蓋を開ける彼女、紅茶を飲みながら眺めた。一粒のチョコレートが温まった舌の上で溶けていく。どれだけ旨いか彼女の表情が物語っていた。「これ旨いな」『でしょ!』カップを挟んだ俺達二人きっと同じ顔してる。

坂本 (2015.11.13)

中古車情報誌を捲る指先。「車買うのか」『買ってもらう』「へえ。何乗るか決めた?」『どうせぶつけるんだから何でもいいでしょって』「ぶつけてもいいって思うからぶつけんだよ。乗りたい車あるならちゃんと話せ」『渉君のハチロク、どこで買ったのかなァ』「……後で聞いてやる」心配の種は尽きない。

11/13 茨城県民の日 得票率39% 星野好造 (2015.11.13)

秋風が髪を弄ぶ。自宅前でされるがまま突っ立っていた私は途端にもっさり頭と化した。これからデートだっていうのに乙女がこんなんじゃいけない。さっと手直しでスタイルを決め留守番の愛車へ微笑ってみせる。音を捉えて振り向く私の眼前に停まった、メタリックのGT-R。「待たせたか、嬢ちゃん」『全然』助手席にとすんと腰を落とす。「よく起きたなァ。モーニングコールまで寄越して」『すっごい楽しみだった!』「サーキット初めてだもんな」『それもあるけど、』「オレに会えるから、だろ」ニッと笑ってみせる年上の恋人。

11/13 茨城県民の日 得票率61% 城島俊也 (2015.11.13)

秋風が髪を弄ぶ。自宅前でされるがまま突っ立っていた私は途端にもっさり頭と化した。これからデートだっていうのに乙女がこんなんじゃいけない。さっと手直しでスタイルを決め留守番の愛車へ微笑ってみせる。音を捉えて振り向く私の眼前に停まった、深い青色のS2000。「中で待っていてくれて良かったのに。寒くなかった?」『だいじょぶ』「きみがそう言うなら信じるよ」『ありがと。ごはん食べた?』「ああ、軽くね」『……お弁当、作ってきたの』「楽しみだな」余裕たっぷりの横顔を、乱してやりたいと思ってしまうのです。

書き出し.me:この窓の向こうに、あなたは何を見ているの? 北条豪 (2015.11.12)

『この窓の向こうに、あなたは何を見ているの?』自分の行先。兄の背中。助手席からの問いへは幾つも候補が浮かんだが答えられなかった。「……オレは、」あの時応えられなかった彼女の想い。今のオレならきみに相応しいと胸を張って言えるのに、隣にきみは居ないから『バイバイ、豪君』選んだ道を悔む。

【11/12のお題】手遊び 坂本 (2015.11.12)

くるりくるり、視界の端でペンが踊る。「なあ」『何』「それ、気になるんだけど」『何が』眉間の皺をそのままこちらへ向けた彼女が漸く気付いたようにペンを置いた。『ごめん、煮詰まったから休憩するわ。紅茶淹れるけど飲む?』「何味?」『なんでも』「じゃあストレートでオススメを」『かしこまり』

#深夜の夢小説60分1本勝負:若草色の人 坂本 (2015.11.11)

若草色のケイマンRが眼前に停車し『お待たせ』運転席から顔を覗かせた友人が笑う。「悪いな」『いーから。ホラ』右手でフイと助手席を指した。『マジでプロになったのねえ』賛嘆の溜息がこそばゆい。「今度観に来いよ。オレ、カッコよすぎて惚れるぞ」『やり直すかも?』「……さあ。どうだろ」本当は、

書き出し.me:ねぇ、話聞いてる? 坂本 (2015.11.11)

『ねぇ、話聞いてる?』不満気な声に顔を上げた。「来年GT観に行きたいんだろ」『聞いてるならこっち見てよ』「考え事。お前みたいにアレしながらコレもってできねえんだよ」『じゃあ今から私に集中ね』正面に座った彼女が両手で俺の頬を挟んだ。「手、冷たいな」重ねた手で互いの温度を解け合わす。

#深夜の夢小説60分1本勝負:不透明な関係 (2015.11.10)

「次いつ会える?」『月末』会う度に次の約束を取り付ける関係。私は彼の事を殆ど知らない。本当かは判らない苗字。恐らく独身だろう。きっと彼も同程度。私達には何の確約も無く、一寸先さえ不透明だ。「忘れモンないか?」彼の問いに頷く。「じゃ、行こうぜ」別れのキスが優しいせいで泣きたくなる。

[パトレイバー]バドリナート・ハルチャンド (2015.11.10)

銃形コントローラを戻し溜息を吐く。「おねえちゃん、へったくそやなあ!」無邪気な暴言に振り返ると少年がコインを投入し「ぼくのウデ見したるわ」と笑んだ。鮮やかな腕前。『一緒にやろう』「ええよ!」「バド」背後からの声に彼が顔を上げる。「ごめんな、また今度」ひらり手を振って駆け出す背中。

#深夜の夢小説60分1本勝負:好きだと叫べ 坂本 (2015.11.09)

表彰台の彼へ思い切り叫んだ。『坂本おめでとー!好きだー!』どうせ喧噪に紛れて届かない。こんな一方的で気楽な告白があっただろうか。私を観戦へ連れ出してくれた渉が隣で爆笑。「皆さんの応援のお陰です。それと」インタビューマイクに向かう彼とパチリ目が合った。「オレも好きだよ。ありがとな」

書き出し.me:おい、聞いてんのかよ! 高橋啓介 (2015.11.09)

「おい、聞いてんのかよ!」声は明らかに苛立っていた。『……ごめん』「謝れっつってんじゃねえ」啓介の大きな手に頭を掴まれ、グローブが髪を乱す。「オレが直々にレクチャーしてやるってんだ。光栄に思え」『勉強させてもらいます、あの、放して……』「ちゃんと見てろよ。よそ見なんか許さねえからな」
(おまけ)『み、見ます、ちゃんと見ますから……もう放してってば……』ずいと顔が近付く。『啓介顔近い』「オレしか見えねえようにしてやるよ」『それはどういう、』「オレ以外によそ見させねえってこと」瞬いた瞬間、頬にやんわり唇が触れた。解放されたけれど、私の心は彼に強く引き付けられて。

#深夜の夢小説60分1本勝負:サンセットのメロディー 坂本 (2015.11.08)

快晴の一日が暮れようとしている。このまま崩れないでほしい、と愛車の屋根を取り外し走り出した。「メシでも行くか。慰めてやるよ」ただの口約束とばかり思っていたそれが実現するとは。少量の期待と不安を込めステアリングを握る。沈みゆく太陽を横目、背中のエンジンが奏でるメロディーに包まれて。

※下記お題の続き※ 坂本 (2015.11.08)

『坂本さんならなんて答えますか。仕事と私、どっちが大事って聞かれたら』「どっちも大事に決まってんだろ。比べるもんじゃねーよ」『ですよねえ……』「でもそんな質問させた時点でオレが悪い。寂しい思いさせたって反省するな。いやそもそもオレ今彼女いねーっての!」私どうですか。なんて言えない。

#深夜の夢小説60分1本勝負:星空の向こうに 坂本 (2015.11.07)

「俺と車、どっちが大事なんだ!」最高の愚問が別離の原因。深夜の山道、感傷に浸るように星空を見上げているとじんわり涙が滲む。Tバールーフからの雨漏りと一緒で深い理由は無い筈だ。暫くして一台の音を捉え、予想通りカプチーノが現れた。『……坂本さん』「何泣いてんの。フラれた?」直球に失笑。

[永遠の詩]火群荘一 (2015.11.07)

特攻服の彼がぱっと手を上げる。「お前んトコと一緒か」『そっちのルートには迷惑掛けないから。それより荘一、弟が心配してんじゃない?』「また行くんかよってスネられちまった」苦笑を浮かべる背後から「荘一サン!」政友の大声。「ンじゃまたな」彼が駆る日章カラーの単車は私の密かな憧れだった。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:輝く瞳に夜の色 [バカビリーバー]萱野友哉 (2015.11.06)

『萱野君て23歳なんだぁ。じゃあ私の方がおねーさんだ』周囲は若さを武器にグイグイ前へ出ようとし、彼女は一歩引いて悠然と微笑をたたえていた。馬鹿騒ぎを求める客には向かないだろう、隅のボックス席で客と話し込む姿を何度か見掛けた。『また来てね、萱野君』店内の照明を受けて輝く瞳に夜の色。

#深夜の夢小説60分1本勝負:距離感は大切に 坂本 (2015.11.06)

『週末予定ある?』「約束がある」トンと誌面を叩く。『渉君載ってんの?見せて』ツートンカラーの車を見付けた彼女が覗き込んだ。「おま、近えよ顔が」『あら失礼』雑誌を引き寄せ文字を追う。「……何かあんのか」『ん、また今度でいいよ。たまには一人で居たい時もあるの』離れる度、心へ手を伸ばす。

ひどいかお 坂本 (2015.11.05)

『浮気してやる!』「できるもんならしてみろよ」『……うそだよ!ばか!』「はいはい。ひっでー顔」『なによもう!』「気ぃ済んだか」ぷしゅうと風船の空気が抜けていくように恋人が萎れた。『……謝んないからね』「いーよ、会えなくて淋しかったんだろ?ごめんな。お前がオレを好きなのは知ってんだぞ」

【11/4のお題】長い夜 (2015.11.04)

「キリのいいところで寝ろよ」数時間前の声を思い出しベッドに身体を横たえてみるが、今日を終わらせてしまうなんてもったいないと欠伸をひとつ。すぐ傍で繰り返される規則正しい寝息につられとろり瞼が落ちてゆく。放り出された彼の手に触れ温もりを共有。すっかり眠気に包まれて私の長い夜は閉じる。

#深夜の夢小説60分1本勝負:見つめあって 坂本 (2015.11.04)

『なんかついてる?』旧友との食事中視線に問う。「いや。旨そうに食うなと思って」『そう。坂本君て結構食べるよね、作り甲斐ありそう』「誰にでもそれ言うなよ、男が勘違いする」『料理するくらいでそんなァ。私坂本君ならいいよ、勘違いされても』「……マジで?」『マジで』見つめあって互いに微笑。

#深夜の夢小説60分1本勝負:二番目でもいいわ 坂本 (2015.11.03)

私は何番目?って聞いてみたくなる。『車に次いで二番目くらいだとは思うんだけど』「何の話だよ。比較対象わかんねーけどお前が一番大事に決まってんだろ」『坂本、』「いい加減苗字で呼ぶのやめろ。お前も坂本になるかもしんねーのに」『……そういう事軽々しく言わないで』彼が本気だとキスで知った。

さようならは言わない約束 (2015.11.03)

ホームへ見送りには行かない。絶対泣くから。恋人に言われ、短期間の出張で大袈裟と思う反面嬉しかった。駐車場の車内で二人、時間を気にしている。「そろそろ行くよ。……それじゃあ、」押し付けられた唇に消える別れの言葉。言いかけたのは『さようなら』じゃなくて『またな』。それと『ありがとう』。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 須藤京一 (提供:りょうこ様) (2015.11.03)

安堵と共にボンネットを落とした。「終わったか」「はい。お待たせしました」「……こっちを向け」振り向く刹那柔い衝撃。「頬にオイルがついていたぞ」「……普通、キスで拭きますか?」呆れ声を絞り出した私の動悸が狂い出して思わず顔を背ける。ああ、こんなの彼を煽るだけ。気付いた時にはもう手遅れ。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 中里毅 (提供:さや様) (2015.11.02)

「お疲れ様です、中里さん」外回りの休憩中聞覚えのある声が掛かり驚く。声の主と峠以外で会うのは初めてだ。恐らく彼女も仕事中だろう、煙草片手にまじまじ見詰めてしまい慌てて灰皿へ揉消す。差出された缶飲料を受け取った瞬間、触れ合う指先に心が揺れる。俺の定番を覚えてくれていた事が嬉しくて。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 中里毅 (提供:さや様) (2015.11.02)

「お疲れ様です、中里さん」街中で声を掛けると視線は交錯。初めて見る吃驚の表情に得したなんて思ってしまう。差出したのはいつもの缶コーヒー。妙義で会う時と雰囲気が違う、やっぱりスーツのせいかな。「ありがとう」落ち着いた低音、触れ合う指先が心地良くて溺れそう。恋しちゃってもいいですか?

【11/2のお題】法則 坂本 (2015.11.02)

軽く叩かれた背中、掌の感触。『坂本君』「どしたん?元気ねーな」『……私が洗車すると雨が降る法則が発動した』「ああ。今日の雨お前のせいか」『返す言葉もございません……』「いいじゃん雨。運転すんの楽しーし」『それは特殊なひとだよ』「そーか?お前、一般道の運転巧いぞ」余裕の笑顔は救済の光。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋啓介 (提供:みかげ様) (2015.11.02)

何でも話せる友達。この関係に甘えっぱなしだ。「告白しなよ、啓介」笑顔でオレの背中を押してくれるこいつがどこか寂しそうに視線を外して確信する。もう〈友達〉では居られない。くだらない話で涙が出るほど笑い転げて、ばんばん肩を叩きあってたオレ達。ずっとこのままで居られたら良かったのかな。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋啓介 (提供:みかげ様) (2015.11.02)

君の幸せが私の幸せだなんて高尚な事は言えない。でも、君が幸せなら私もきっと幸せだ。その幸せが二人で叶えるものじゃなくても。「告白しなよ、啓介」君が好きな人は私じゃない。友達として二人で居る事もなくなる筈。今はまだもう少しだけ、この関係のままで居たいんだ。最初で最後の我儘をきいて。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 小柏カイ (提供:深飛様) (2015.11.01)

「……今日家誰もいねぇんだけど」何でも無い事のようにそれとなく。相当な覚悟で声を絞り出したなんて事、こいつにだけは知られたくないから。束の間沈黙が落ち言葉を探していると絡めた指先から彼女の想いが伝わる。「……いいってことだよな?」臆病な確認と腕を柔らかく包まれ、心の中でガッツポーズ。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 中村賢太 (提供:深飛様) (2015.11.01)

一方的に切り出された別れ話は唐突。それでも綺麗にサヨナラした。脳内処理が追い付いていないだけかもしれない。強い雨は私の気持ちを表しているみたいだ。あ、私フラれたんだな。じんわり実感が湧き苦笑混じりの溜息。取り出した携帯には幼馴染の名前。「もしもし、賢太?」白状するなら早いうちに。

#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 酒井 (提供:深飛様) (2015.11.01)

彼女の愛する人が愛する車。いつもの音はいつもの場所に停まりそこだけ少し華やいだ。幾つかの業務的会話を交わし待合室へと歩を進める彼女が俺を見付け笑う。「嬉しそうだな」「酒井さん。わかります?」わかるよ、好きな人の事だから。きみの笑顔だけで生きていける程度にね。残酷な幸せのお裾分け。

#Dカレ 坂本 (2015.11.01)

「レインコート泥だらけだな」呆れたような友人の声に振り返る。『坂本、お疲れ。想像してたのと違ったわ』「悪い、説明不足だったか」『あぁイヤそーじゃなくて。すごく楽しかった、ありがと』悪路も悪天候もお構い無しのタフさに驚くばかり。「また来いよ」嬉しそうに笑うきみに惹かれてく。

#1夢:泣いてもいいよ、側にいるから 松本修一 (2015.11.01)

惜しかった。よくやった。そんな言葉が一体何になるというのだろう。『修一……』震えた声が届く前に涙は地面へ落ちていた。その悔しさが明日への糧となるのなら、今は泣きたいだけ泣けばいい。「傍に居るよ」俺には何も出来ないけれど、君が俺を欲してくれるだけで。「無事で良かった」零れた本音。


2015年10月top

73本up。秋山延彦&松本修一強化月間(SXE10)。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:青空に沈む 松本修一 (2015.10.31)

赤城は初めて。自分から男の人に話し掛けたのも初めてだ。「申し遅れました。松本といいます」『私、』「今はお名前聞きません。次に会った時俺から声掛けさせてください」それは約束。こくり頷いた私を見詰めて彼も頷いた。「それじゃあまたここで」澄んでゆく青空に沈む紺色のアルテッツァを見送る。

#深夜の夢小説60分1本勝負:いたずらをお望みですか? 秋山延彦 (2015.10.31)

「トリックオアトリート」開いた玄関、お帰りと返ってくる筈だった。真顔で言われ驚きより笑いが込上げる。『お菓子持ってない』「それなら悪戯だ」扉に背中を押付けられると同時、唇を塞がれた。「冷たいな。風呂入れ」『……いたずら終わり?』「まさか。続きは風呂場で」『延彦!』抱上げられて叫喚。

#ハイキュープラス [ハイキュー!!]影山飛雄 (2015.10.31)

『飛雄!元気?』「ああ。及川さんにちょっかい出されてないか」『平気。心配してくれるんだ』「いや。だってお前、俺のこと好きだろ」『……その自信はどこから』「昔から。違うか」『違わない、けど……ずるいなあ』ぐいと手を引かれ彼の腕の中。「俺がお前を好きだって知ってる癖に」

#ハイキュープラス [ハイキュー!!]及川徹 (2015.10.31)

目的は果たしたのだから、彼女と別れてもいいんだけど。何で俺達こうしてるんだろうね。『……及川先輩っ、』「ホント首弱いねえ」俺に抱かれてるキミは今誰のこと考えてる?キミの心は誰のもの?こんな筈じゃなかったのに気付けばキミのことばかり。ホラ、俺のこと好きって言ってよ。

#1夢:君と見る月 秋山延彦 (2015.10.31)

『延彦、見える?月すっごい明るいよ。きれい』隣から無邪気な声。「俺もそう思ってた。少し遠回りして帰ろうか」『賛成』君の横顔にも似た薄白い月明り、ライトが照らすアスファルト。助手席で黙り込んでいた彼女がぽつりと呟く。『おなかすいた……』「急いで帰ろう」『何食べたい?』君を所望。

[ハイキュー!!]及川徹 (2015.10.30)

「やっほー。飛雄ちゃん元気ぃ?」『最近会ってないので知りません』「冷たいね〜。そろそろ俺のこと好きになったカナ?」『及川先輩を好きな人なら山ほど居るじゃないですか』「俺はキミがいいの。……この程度で赤くなって、可愛いね」幼馴染を奪われた後輩がぐっちゃぐちゃに泣き喚く様を見たいだけ。

【10/29のお題】見え隠れ 秋山延彦 (2015.10.29)

テーブルの向かい側、彼女は上手に笑んでコーヒーカップを持ち上げる。それで覆ったつもりだろうか。ちらちら見え隠れする本音に飛び付いても構わないのなら。『秋山君』手元から眉間辺りへ上げた視線はぱちんとぶつかる。『私と付き合ってみない?』「俺が言おうと思ってた」その笑顔が罠だとしても。

#深夜の夢小説60分1本勝負:ものたりない右隣 松本修一 (2015.10.29)

左ハンなんて無理と周囲に言われ心折れそうな時。味方してくれたのはただ一人、整備士の友人だった。「乗ってりゃ慣れるよ」あっけらかんと私の背中を押した彼は「何かあったら持ってきな」自店の宣伝を忘れない。『早く帰ってきてよね、修一』あなたが隣に居ないドライブは物足りないと気付いたから。

#深夜の夢小説60分1本勝負:冷えた指先 秋山延彦 (2015.10.28)

肩から腕へ掌を滑らせると手の甲から指先は冷えているように感じられた。「寒くないか」『んー、うーん』「どっちだ」『確かめてみたら』挑発めいたキスに乗る。「随分余裕だな」『そお?』髪を掻き上げ知らん顔の彼女を組敷いた。「言葉通り隅々まで暴くぞ」薄い笑みが返され、互いの瞳に期待が滲む。

群馬県民の日 松本修一 (2015.10.28)

『松本さァん!』本日の一番乗りは近所の高校生。車どころかまだ免許を持っていないから客とは言えないが。「学校は」『県民の日ですよ』「どこか行くの」『友達は夢の国とか。私はバイトですけど』「何時に終わる?メシでも行こうか」『マジっすか、やった!約束ですよ!』頷いて自転車を送り出した。

#深夜の夢小説60分1本勝負:三日後にはさようなら 松本修一 (2015.10.27)

数日前の痕跡はどこにも見当たらない。我ながら好い出来だ。持ち主は代車を気に入ったらしく、あと三日できみとはお別れ。寂しいような嬉しいような複雑な心持ち。それでもやはり在るべき場所へ帰してやりたい。「もうウチに来るんじゃないぞ」指先でボンネットに触れた。彼女の香りだけが車内に残る。

【10/27のお題】虚を突く 秋山延彦 (2015.10.27)

濡れたバスローブを脱がせにかかる。「風邪ひくぞ」窘めるつもりで話し掛けると半分寝ているような顔で胸倉を掴まれた。『私を脱がしといて自分だけ着てるとか意味わかんない』意味が解らないのは俺の方だ。「着替えるか」『脱げっつってんの』完全に油断していた。いそいそと外された眼鏡、腹を括る。

秋山延彦 [2015 TOKYO DRIFT in ODAIBA] (2015.10.26)

「コースウォーク行かないのか」隣で表彰台を見つめる恋人へ問うた。『もう少し』泣いているのだと気付き肩を抱く。「引退しても表舞台から引くような人じゃない」『解ってる。今動いたら泣く』「もう泣いてる」『延彦のばか。帰りたくない』「明日有休取っただろ」『今夜はメモリアル観賞会だからね』

【10/26のお題】晴れ舞台 松本修一 [2015 TOKYO DRIFT in ODAIBA] (2015.10.26)

快晴の台場は最高の舞台だ。ドライバーにとっても、メカニックにとっても。マシンは昨日の予選後から順調に仕上がった。「いつも通り、楽しんでこい」チーフメカニックが親指を立て、程良い緊張感を漂わせた彼女がニカッと笑う。『いってきます』やがて飢えた獣の咆哮にも似た〈音〉が身体を震わせた。

#ハイキュープラス? [ハイキュー!!]日向翔陽 (2015.10.23)

『日向、私のこと好き?』「うん、好き」『友達として?』「それ以外に何があんの」『あぁうん……ないよねえ』「なんだよ、ヘンなの」予想はしていたけれど、いっそ清々しいほどの友達宣言。「んじゃおれ部活行くから!」バレーに夢中なきみの目、私に向けさせるから覚悟してよね。

#Dカレ 松本修一 (2015.10.23)

「機嫌悪いな。どうした」直球過ぎる質問へ恨みがましい視線が返る。『車へこんでるっぽい』「擦った?」『……自覚は無いんだけど』「駐車中に当て逃げされたとか」『かもしれない』「見てやるから今度車持ってこい。特別サービス」『いいの、修一』「それでお前が笑ってくれるなら安いもんだ」

【10/22のお題】崇める 秋山延彦 (2015.10.22)

病院のロビーで名前を呼ばれた。業務的ではない、温かく穏やかな声。『延彦。待った?』「いや。荷物持つよ」二人で駐車場へ向かう。「明日迎えに行くから。時間判り次第教えて」『有難い……』「拝まなくていい」『だって、敬う気持ちが止まらないよ』「そこに愛は」『ないわけないでしょ』「ならいい」

#深夜の夢小説60分1本勝負:五線譜の上で踊ろう 秋山延彦 (2015.10.22)

と、ととん。指先でテーブルを叩く。あれから何年経つだろう。怪我はとっくに治っているのに。「入るぞ」ノックと同時に顔を覗かせた幼馴染。『延彦君』「大学慣れたか」『まァね』彼の視線はカバーを掛けたままのピアノへ。「今度聴かせてくれよ。お前の気が向いたらさ」『……うん』「約束な」指切り。

#ハイキューマイナス [ハイキュー!!]澤村大地 (2015.10.22)

『澤村、練習試合決まったん?』「おお、音駒とな。こっちでやるから見に来いよ」『行く行く!頑張ってよー』「サンキュ」きみが好きなひとを私は知ってる。勿論、それが私じゃないってことも。「どうした?」『なんでもなーい』せめて卒業するまでは。友達として傍に居たいだけ。

#ハイキュープラス [ハイキュー!!]西谷夕 (2015.10.22)

『ゆーう』年下の恋人を呼ぶ。「んー」『アイス食べる?』「食べる!」食い気味の返答に冷凍庫を開けた。『何がいい?』「ガリガリ君!」『安上がりねえ』「アレ観んの、映画」『いいけど夕、寝ちゃうしなあ』「このソファが悪い」アイスを手渡す腕、ぐいと引かれた。「隣。来いよ」

【10/21のお題】追撃 松本修一 (2015.10.21)

道の端でへたり込む友人の腕を引いた。『松本、』「怪我は」『ない』安堵を抑え車へ視線を向ける。『少しへこんだくらいで、自走できるから』彼女がどれだけ愛車を大切にしているか。知ってるから赦せなかった。絶対に。「帰れるか」『つれていって』揺ぎ無い決意を二つ掬い上げて追撃開始。「行こう」

#深夜の夢小説60分1本勝負:落下速度 松本修一 (2015.10.21)

おちる、と思った。自分という存在をすべて手放してしまうような未知の混乱が溢れた。『修一、こわい』甘く蕩けた声は自分のものではないように聞こえ今更ながら羞恥を煽る。触れる手は熱く身体の芯まで熱せられる。「俺だけ見てて」あなたにおちてゆく速度は、いつもよりずっと早い胸の鼓動とおなじ。

#深夜の夢小説60分1本勝負:月光心中歌 秋山延彦 (2015.10.20)

首を絞めて気道を塞いで。十五分はかかるかな。そうしてあなたが死んだなら、私もすぐに後を追いましょう。あなたの手で私を終わらせてほしいのだけど、万一があっては困るからね。月光に照らされた室内。白いシーツに放り出された彼の腕へ頭を預ける。『おやすみ、延彦』微風のような寝息にくちづけ。

連れ出してくれると言うのなら #Dカレ 秋山延彦 (2015.10.20)

銀色の車を従えたあなたが〈ここ〉から私を連れ出してくれると言うのなら。何もかも投げ捨てて心中するくらいの気持ちでいる。なんて伝えたって恋人はきっと「何言ってんの」程度の反応だろう。私の視線に気付いたのか延彦が手を伸ばす。「……眠れないの?こっちおいで」今はまだ、このままで。

【10/19のお題】のどか 松本修一 (2015.10.19)

『修一、写真撮って』「どこ」『鞄の……そっちのポケット』恋人の腿には一羽の兎が大人しく座っている。取り出した携帯で満面の笑顔を撮影。「次どこ行く。牛?」『牧場来たらソフトクリーム食べなきゃでしょ』「義務なのか」『天気良くて気持ちいねえ』兎に話し掛ける彼女の隣、穏やかな休日の始まり。

#深夜の夢小説60分1本勝負:心拍数上昇中 秋山延彦 (2015.10.19)

つきん、と胸の奥が痛んだ。仄暗い部屋、ベッドの上。冷や汗が滲んでいることを知られてしまうのではないかと延彦の手が触れる度身体を強張らせてしまう。「そんなに緊張するな。俺も落ち着かない」『ごめん』髪を撫でさする優しい掌。「謝る事ない。何回キスすればいい?」その言葉でまた私の心臓は。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:つき 藤原拓海 (2015.10.18)

『拓海』ハッピを着た友人に呼び止められ、渋々そちらへ向かうと〈福引〉の看板。「バイトか」『一回サービス。引いてけ。まだ特等入ってねーし遠慮すんな』「……詐欺じゃねえの」『さァね』ハンドルを回すと転がり出たのは二等、商品券だ。『お前ツイてんな!』こいつの笑顔が見れたから良しとするか。
(おまけ)「やる」手渡した景品はそのまま差し戻された。『何でよ』「いいから」拓海は結構頑固だって知ってる。つまりここで押し問答しても無駄だ。『ありがと。後で店行くわ』「そっか。親父に言っとく」『今日文太さん居んの』「さあ」『何でよ』「知らん」『ったく。早よ帰れ』「じゃあな」

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:ジャンケン 健二&池谷浩一郎 (2015.10.18)

給水塔の下には不穏な空気が漂っていた。『何揉めてんの』健二と浩一郎の二人が振り向く。聞くとジャンケンで負けた方が自販機で奢る、それだけ。ふは、と苦笑が漏れた。「男と男の勝負だぞ!」『じゃあ一時休戦。交流会の話あるんだけど』途端、突き刺さる視線に『……やっぱ私もまぜて』拳を突き出す。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:息を吸うように 息を吐くように 松本修一 (2015.10.18)

たとえば呼吸や瞬きを意識しないように。きみの隣に俺が居る事が、至極当然であるよう願うこの気持ちは。『修一ってば』「ごめん。ちょっと恥ずかしい事を考えてた」『いかがわしい?』「違う……と思う」じっとり睨まれた。「言ってみようか」『聞きましょう』疑いを晴らすため?きみの頬を染めるため。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:布団のぬくもり 秋山延彦 (2015.10.18)

伸ばした手には布団だけが触れる。『……またか』のそりと起き出して開けた窓。予想通り駐車場に在る恋人の姿。『おはよ、延彦。早起きだねえ』「おはよう。寝癖すごいな」『洗車終わったら起こして』「了解」いつもの会話に背を向けて、残された温もりと香りの中へ潜り込んだ。たちまち眠りが私を包む。

【10/17のお題】ひいき 松本修一 (2015.10.17)

「お待たせしてすみません。良かったらどうぞ」眼前に差し出されたのはお菓子が詰まった箱。『お子さん用では』「ん、一応ね。でも贔屓って目で俺の事見てたから、今日は特別」『……ありがと、修一君』「お茶のおかわりはいかがですか。コーヒー淹れたてですよ」『ではコーヒーを』「かしこまりました」

いいこにだってなってあげます 沙雪 (2015.10.17)

やァだ、まだ居たの?早く帰んなさい「……沙雪ちゃんこそ」あたしはいいの「ずるい!」ずるくない。こっからは大人の時間よ。免許取ったばっかの若葉ちゃんはおうち帰って寝なさい「まだ眠くない」あたりまえでしょ、ちゃんと自分で運転して帰んの。着いたら連絡しなさいよ?「……はぁい」よし、いい子。

#1夢:それはほんの些細なこと、 松本修一 (2015.10.17)

「お疲れ。慣れた?」『はい。勉強になります』「ご実家は車屋さんだと聞いたけど」『……小さい店で。私の代で潰れるんじゃないかと』「勿体無いな。婿養子募集してないの?」『松本さん、からかうと本気にしますよ!』「構わないよ」些細な言葉がどうしてこんなに心を乱す。「そろそろ戻ろうか」

#1夢:それはほんの些細なこと、 秋山延彦 (2015.10.17)

事務室らしき部屋へ通された。「貧血だと思います。薬などお持ちですか」頷いて鞄から錠剤を取り出す。「水は……常温の方がいいですよね。少し待っていて貰えますか」『……秋山さんお仕事なのに、すみません。ご迷惑をおかけします』「気にしないでください。人として当然の事をしているだけです」

#1夢:それはほんの些細なこと、#ハイキュープラス [ハイキュー!!]及川徹 (2015.10.17)

『及川君、糸くずついてる』「どこ?」『肩……あ、そこじゃなくて』「取ってくれる?」ついと伸ばした指はやんわり彼の手に絡め取られる。大きな掌に包まれ驚く事すら忘れた。しィ、と人差指を立てにんまり笑う隣席の王子様。彼にとってはほんの些細な、私にとっては大事件。

【10/16のお題】うずくまる #Dカレ 秋山延彦 (2015.10.16)

街の喧騒が遠退き、ぐらりと視界が揺れた。うずくまってこめかみに触れ脈打つ痛みに顔を顰める。「大丈夫ですか」男性の声に顔を上げると見覚えのある、「立てますか」『……秋、山さん……』「店、すぐそこですし休んでいってください。返事は聞きませんから」素っ気無い口調と不一致の優しい手。

【10/15のお題】連続 松本修一 (2015.10.15)

『松本君、シフト希望できた?』「はい」『いつも早いから助かる。来月も遠征?』「ええ。今回は少し遠出で」『ふうん。ここ休みにすると連勤だよ』「大丈夫です。お願いします」『今度見学しに行ってもいい?やっぱ素人は邪魔かな』「いえ、是非」社交辞令だと判っているけど、その笑顔に騙されたい。

【10/14のお題】苦笑い 秋山延彦 (2015.10.14)

『あのさ』「うん」助手席から恋人が応えた。『落ち着いた?』「ごめん。高速乗るだけであんなに緊張するとは思わなかったから」『いつまでも笑うならその辺で降ろすよ延彦』「警察特番の格好のネタだな。今の覆面気付いたか」『嘘』「普通に走ってれば関係無いだろ。気にするな」苦笑に唇を尖らせる。

もふもふ、とは 松本修一 (2015.10.13)

ガレージを出ると散歩中らしき猫が居る。一撫でするくらい良いだろう。手を伸ばすと柔らかな毛並に触れた。「何してんだ」背後から同僚の声。『松本。猫、もふもふだよ』「……そのまま顔触るなよ」『手ぇ洗うって。バイバイ、またね』悠々と立ち去る背中を見送るが「ニヤニヤしすぎ」指摘されつい赤面。

フォロワさんからの提案:延彦さんで図書館とか本屋さん 秋山延彦 (2015.10.12)

『返却お願いしまーす』「お預かりします」図書館内にバーコードの読取音。「来週から試験だな」『そうなんすよ……』「終われば休暇だろ」『ええ。秋山さんは休み中も居るんですか』「ああ。平日だけな」『へー』どうせ暇だし自習室通っちゃおうかなァ。「はい確認完了。試験頑張れよ」『頑張ります!』

フォロワさんからの提案:延彦さんで図書館とか本屋さん 秋山延彦 (2015.10.12)

「カバーお掛けしますので少々お待ちください」仕事帰りに立ち寄る書店。彼が一番綺麗にカバーを掛けてくれるからいつの間にか名前を覚えた。「続編決まったそうですよ」『あ、じゃあ後で予約します』「ええ、是非」にこりと笑顔をくれる秋山さん。「ありがとうございました。またお待ちしております」

フォロワさんからの提案:松本の職場の先輩な夢主 松本修一 (2015.10.12)

『松本、月末暇?』チケットを突き付けられた。「美術館?」『貰い物なんだけどタダチケでも期限切れは勿体無くて』「平日休みが合えば行きます」『ありがと』「芸術の秋か」『私は断然食欲だね。併設のカフェ、限定メニューが美味しそうだよ』楽しげに携帯画面を見せてくれる彼女の可愛さといったら。

【10/12のお題】奪取 松本修一 (2015.10.12)

『あいつ、私がいないとだめだから』そうして彼女は哀しく笑う。幾つもの痣を隠して。『こんな話、松本にしかできなくて。……ごめんね』今、二人の仲を引き裂いて彼女を奪取する事は得策とは言えない。あなたが心から笑える時、俺が隣に居られるように。自分勝手な目的で、俺は今日も延々と愚痴を聞く。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:恋愛依存症 松本修一 (2015.10.11)

脳内麻薬がドバドバ出るような強烈な快感はベッドの上だけじゃない。夜の峠、ツナギ姿で働く彼を見てやっぱりこの人を好きだと再認識。『修一』休憩中、恋人の名を呼び寸刻の逢瀬。『……私、このままだと依存症になるかも』「共依存って事か。悪くないな」身体の境界が曖昧になるまで抱き合っていよう。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:空涙 秋山延彦 (2015.10.11)

はらはらと涙を意図的に零した。持ってる武器全部使うつもりで。顎に指先が触れる。いいぞ。二人は幸せなキスをして仲直り。ほだされちゃってよ。上目遣いで見つめた先、冷酷な視線。「嘘泣きで許されると思っているのか」『延彦、』「やっと本性現したな」『……バレた?』「判るよ。お前が好きだから」

出しっぱなし、よくないです 松本修一 (2015.10.11)

ペンを拾い上げた。「出したらしまえ」『修一』「職場のデスク散らかしてないだろうな」『フリーアドレスなの言わなかったっけ』「ああ、毎朝抽選するのか」『そ。置きっぱなしに出来ないから会社ではキレイよ』「家でも片付ければいいのに……」『もう炬燵出しちゃったからねえ』「……春か」『春だねえ』

【10/11のお題】情け 秋山延彦 (2015.10.11)

夜半から降り始めた雨はまだ止まない。ベッドの隅で恋人が寝返りを打つ。「おはよう」『延彦……雨やだ外出ない』「風流だろ。雨音に耳を傾けてさ」『風情とかいらん』「うちに居る?」頷いた彼女の髪を撫でる。「手加減しないぞ」『夕飯作る程度の気力だけ残して』「俺が作るから」全てを許容する微笑。

#1夢:ねぇねぇ、 秋山延彦 (2015.10.11)

『ねぇねぇ、延彦。ここ寄っていい?』「雑貨屋?欲しい物でもあるのか」『別にそういう訳じゃ』「見るだけか」『……興味ないなら近くで待っててくれてもいいよ』「いや。俺は普段こういう店に入らないし……」『ん?』「行こう」手を取る。楽しそうなきみを見ているのが楽しいと言えたら良かった。

【10/10のお題】夜明け 松本修一 (2015.10.10)

「そろそろ帰ろうか」暁闇の中で恋人が振り向いた。『ねむたい……』「顔に書いてある」ぐしぐしと目元を擦り、人目を憚らない大きなあくびがこちらにも伝染。「着くまで寝てていいぞ」『ありがと。修一好き』「ああ。俺も好きだよ」『全然気持ちこもってない』「おまえが言うか」高い体温を抱き締める。

#1夢:この結末、期待してた 秋山延彦 (2015.10.10)

「今夜来るか」『行く。渉君も来るんでしょ』「何か約束が?」『いや、少し話しただけ』「……渉を名前で呼ぶんだな」『私、延彦君て呼んでもいいの』「ああ、構わない」『会社の外ではそうさせてもらお』つい破顔する。『そんな嬉しいか』「……正直言って、期待はしてた」くはは、と彼女の笑い声。

#1夢:この結末、期待してた 松本修一 (2015.10.10)

蒸暑い夜の峠。胸の前で両手を握り締めた彼女が〈開始〉の合図で走り出した二台を見送る。「心配か」『ううん。私にできる事は全部やったから。あとはドライバーに任せるだけ』「そうだな。待とう」高揚を抑え無線の中継に耳を澄ませた。『……松本!』「期待通りだな」結末は彼女の表情が物語る。

優しくしないで 松本修一 (2015.10.09)

女友達を慰めるつもりで軽く背中に触れた。途端、思い切り身体を跳ねさせた彼女と「ごめん」の応酬。『そんなふうにされたら、好きになっちゃうよ』しんと静寂が訪れる。『嘘ついた。私、修一くんのこと好きみたい』「断定しないんだな」『してもいいの』「当然だろ」俺はずっと、きみを待ってたんだ。

【10/9のお題】門外不出 秋山延彦 (2015.10.09)

弁解しようと開いた唇は塞がれた。言葉を並べてもキスには敵わない。そのうち唾液とは違う味に気付く。彼女の涙。薄化粧を纏う頬へ指先を滑らせた。「……続きはベッドで?」彼女がゆっくり頷いて今更のように顔を赤くする。しばらく此処に閉じ込めてしまおう。俺を選んだ事、後悔なんかさせないように。

このままでは死んでしまうよ 秋山延彦 (2015.10.08)

『また休出?』携帯の向こうで恋人が不貞腐れた。『忙しいのはわかるけど代休平日じゃ会えないよ。このままじゃ死んじゃうさみしー』「俺のカノジョはそんなにヤワじゃない」笑声が耳に心地良い。『そりゃそーだ』「だろ」『無理しないでよ延彦』「ああ」きみに会いたいと素直に言えない俺をゆるして。

【10/8のお題】時間の問題 松本修一 (2015.10.08)

彼女が気になる理由に〈物珍しさ〉は在ったと思う。これまでの人生で出会った例のないひとだったから。このままではきっと、汗とオイルと土埃まみれで車と戯れる彼女に恋してしまう。取り返しのつかない事になりそうだ。『松本君、慣らし付き合って!』嬉々たる声に振り向いて、危惧しても遅いと悟る。

無自覚ヒーロー 松本修一 (2015.10.07)

夜中の峠に一人で居るからって暇じゃないの。睨み付けた男は背中に遮られた。「彼女に何か」「声かけただけ、つーか誰」「友人です」「彼氏じゃねーならどけよ」「すみません、俺との約束があるので」穏やかでいて有無を言わせない声に男が退散。『松本』「モテるんだな」まったく、あなたってひとは。

【10/7のお題】一方的 秋山延彦 (2015.10.07)

延彦の手を取り目に付いたラブホへ連れ込んだ。部屋の扉を閉めると同時、振り向いて唇を押し付ける。明らかな途惑いに舌先が触れた。ねえ、あなたの眼前に居るのは誰。今、誰のこと考えてる?眼鏡越しの視線は事由を問うているようだ。『八つ当たりだよ、ばか、』声が震えたのは背伸びのせいじゃない。

甘いものが欲しくなる 秋山延彦 (2015.10.06)

インターホンから間を置かず玄関が開けられた。『延彦いらっしゃい。待ってたよ』「お邪魔します。これ土産」『おケーキ様!』「一週間お疲れさん」『お互いにね』週末には甘いモノ(と俺の甘やかし)が必要だときみが言うから和洋問わず甘味には結構詳しくなった。きみで変わる自分ってのも悪くない。

【10/6のお題】つじつま 松本修一 (2015.10.06)

『ただいま。今から出るとこ?』髪や服のにおいから炭火焼肉と推測。「ああ。どの程度飲んだか覚えてるか」『酔っ払いに辻褄合う説明求めても無駄』酩酊の自覚はあるようで何よりだ。「……一人で平気か」『さみしくないよォ。いってらっしゃい、しゅーいち』へらへら笑い手を振る仕草は精一杯の強がり。

体温を感じる 松本修一 (2015.10.05)

「冷えますね」差出された缶飲料を有難く受取る。『……いただきます、松本さん』追っかけカメコの私なんかに優しくして。勘違いしちゃうじゃないか。「写真見てますよ」『その、ご迷惑では』「いいえ。車をいつも恰好良く撮って貰って。宣伝になるので助かります」一瞬触れ合った指先の温度を忘れない。

【10/5のお題】裏道 秋山延彦 (2015.10.05)

人目の少ない裏通り。自身の一方的な好意だったと彼は言う。〈彼女〉には恋人が居るそうだ。「走りに行けば会う事もある。お前が嫌ならもう行かない」『私が嫌って言ったら走るのやめる?』延彦が言葉に詰まった。『もっと上手くやりな。あんな態度じゃすぐバレるって』私の笑顔はきっと醜く歪んでる。

勝ち逃げなんて許さない 秋山延彦 (2015.10.04)

後方に停車したアルテッツァから降りた男性が私を見下ろす。「勝ち逃げなんて、許さないからな」鋭い眼付きに心臓が揺れた。私が走る理由はひとつ。あなたに追われたかっただけなんです。この関係はまだ、終わりじゃないんですね。「……何故笑う。馬鹿にしてるのか」『いえ。いつでもどうぞ、秋山さん』

【10/4のお題】代償 松本修一 (2015.10.04)

迅くなりたい。望み通り〈最速〉の称号と引換に失くしたもの。時間。金。友達。走る事自体を楽しむ気持ち。何の為に走るのだろうか。私には何も無いと気付く。地元を離れフラリと足を向けた赤城。「いい車ですね」穏やかな声の主は深い紺色のアルテッツァを従えた男性。私は出会いをひとつ手に入れた。

なんとなくの終着点 松本修一 (2015.10.03)

彼とは気が合うからなんとなく一緒に居る。出会って数年、私達の関係はすっかり落ち着いた。刺激は無く平穏な日々。「なあ」『うん』「俺達、結婚しないか」『ん……え、あ、はい!』献立でも決めるような軽いプロポーズ。『修一、今のもう一回』「……無理」ここが恋人関係の終着点。そして新たな出発点。

【10/3のお題】当てずっぽう 秋山延彦 (2015.10.03)

付き合いは浅いけど、延彦の様子が変だって事くらい判る。上映開始まであと数分。客は疎らだ。隣へひそひそ話し掛けた。『元カノでも見つけたの?』空気の変化を肯定と受取る。こういう時だけ勘って冴えるのね。あんまり知りたくないんだけど。『言いたくないなら聞かない』「後で話すよ」耳朶に吐息。

【10/2のお題】未知の領域 #Dカレ 松本修一 (2015.10.02)

データや数字には現れないモノ。彼女にはそれが〈視えて〉いるのだろう。自分の知る限り数少ない〈車の声を聴く〉事の出来る人間だ。『松本ー、ちょっと手ぇ貸してー』煮詰まったような声で呼ばれるのも悪くない。「今行きます」あなたと一緒なら何処へでも。その覚悟ならとっくに出来てます。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:偽りの花嫁 秋山延彦 (2015.10.02)

軽い気持で引き受けたブライダルモデルの仕事。「準備いいか」『秋山君』ノックの主はこの話を持ってきた張本人。『私でいいのかなあ。他に誰か居なかったの』「色々当たってはみたんだけど軒並み断られた」『ああ、婚期が遅れるって?私は気にしないよ』「責任は取る」至極真面目な顔するから照れる。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:雨の匂い 松本修一 (2015.10.02)

チームメカニックが私を見下ろした。「タイヤは」『このままでいい』「……解った」硬い声に苦笑が漏れる。『なんで修一が私より緊張してるの』「……じっとして居られない」『大丈夫。うちの専属メカニックは一流だもんね』彼の心臓へ拳を押し付ける。『いってきます』「健闘を祈るよ」拳を包む大きな掌。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:天雷 秋山渉 (2015.10.02)

稲妻が走る度、暗雲、降雨がはっきりと視認出来た。電車で重い息を吐く。ロータリーに居るパンダカラーのレビン。見覚えのあるその車から、男性がこちらへ駆けてくる。『渉』「間に合った」『迎えに来てくれたの』「おまえ雷苦手だろ」『小さい頃の話でしょ』「そうやって意地張るとこも変わんねえな」

豆腐の日 藤原拓海 (2015.10.02)

仕込中の厨房に声が飛ぶ。「いつもお世話になってます。藤原豆腐店です」あれ?文太さんじゃない。息子さんかな。『お世話様です』家業の手伝いだろうと勝手に想像し『早くから大変だね』彼は驚いたように視線を合わせた。「いえ。毎度ありがとうございます」『こちらこそ。またお願いします』互いに礼。

メガネの日 松本修一 (2015.10.01)

ついと眼鏡を外され、途端に視界が滲む。『返して』犯人へ訴えるが彼は素知らぬ顔で隣へ腰を下ろした。テーブルに置かれた眼鏡が蛍光灯を反射している。「俺の顔見える?」『よく見えない』上体を引き寄せられて唇が重なる。『今日の修一は甘えたさんだね』ぴたりと身体をくっつけて一笑。「好きだよ」

コーヒーの日 秋山延彦 (2015.10.01)

「おはよう。早いな」給湯室に立つ後姿へ声を掛ける。『おはよう。秋山君もコーヒー飲む?』「ああ、頼むよ。ありがとう」『デカフェでいい?』「任せる」『デスクに持ってくから待ってて』「よろしく」ネクタイを締め直したところへ薫香。『お待たせー』「いただきます」さて、下半期も頑張りますか。

【10/1のお題】覆い隠す 秋山延彦 (2015.10.01)

休日の街中、好きだった人を見付け思わず息を飲んだ。視線で追ってしまいそうになり顔を背ける。『延彦、どしたの』恋人からの問いへ、感情の全てを覆い隠す微笑を浮かべた。「何でもない。映画始まるぞ」彼女の手を引いて少し足を速める。重なる手、後ろめたさを増やすような気がして強く握り締めた。


2015年9月top

64本up。舘智幸&二宮大輝強化月間(EK9)。

台詞『嫌いなわけない』ギャグっぽい場面 二宮大輝 (2015.09.30)

「今いいか」『二宮さん』「久しぶり、だよな」『はい、実習で東京に。今日帰ってきました』「……そっか」言いたい事は沢山あるのに、視線すら合わせられない。『あの、』切羽詰まったような彼女の声。『……私の事、迷惑ですか。……嫌い、ですか』「嫌いなわけないだろ」即答して認識した。「……好きだよ」

【9/30のお題】居座る 二宮大輝 (2015.09.30)

彼女が心に居座って出てってくれない。何度か話した事のあるギャラリーの一人ってだけの筈なのに。「最近あの子見ないよな。大輝によく声掛けてきた子」「……そうっすね」彼女の事、好き、なのかもしれないな。そわそわと落ち着かないこの気持ちを確かめたい。今度会ったら、オレから声を掛けてみよう。

【9/29のお題】照れ隠し 舘智幸 (2015.09.29)

『トモさん、データ出ました』「ありがとう」PCを覗き込む彼が近付き自分の赤面が判る。あなたが好き、告白と同義。「今更照れるような間柄でもないと思っていたが」『……すみません』視線が交錯。「セッティングを変えてみよう。手伝ってくれるか」『勿論です!』その笑顔が見られるのなら何だって。

運転再開 舘智幸 (2015.09.29)

急ブレーキとアナウンス。『少々停車致します』帰宅ラッシュの車内あちこちで溜息。恋人はもう帰宅しているだろうか。メールを送るとすぐに返信。夕飯の用意は済んでいる事、駅まで迎えに行くから到着時刻が分かり次第連絡して欲しいと。『間もなく運転を再開致します』私は慌ててメールを打ち始めた。

#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ちょっとエッチ 舘智幸 (2015.09.28)

『おかえりー』出張から帰宅すると、いつものように恋人が迎えてくれた。たった数日でこの渇望。彼女を抱き締め廊下へ押倒す。『智幸……』「お前の顔見たら箍が外れた」『……その……、あ、あたってます……』頬を火照らせもじもじと膝頭を擦り合わせる彼女の様子に口元が緩む。「俺達、今同じ事考えてるな」

#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ちょっとエッチ 二宮大輝 (2015.09.28)

髪。頬。唇。掌、指先。柔らかく心地良い感触に浸る。触れるだけでうっとりと蕩けてくれるきみが愛しくて。オレって幸せだなぁなんて思ったりする。「できるだけ優しくするから」『いつもできてないよ大輝』「じゃあここでやめるか」『やめるわけないよね』苦笑が混じった甘やかなキスからはじめよう。

#Dカレ 二宮大輝 (2015.09.28)

「またツナギ買うのか」大輝が隣からカタログを覗き込む。『社長が買ってくれるって』「ふーん。オレ、おまえのツナギ姿好き。制服みたいなもんだから?」『私に聞かれても』「後で着て見せろよ」『今のとあんま変わらないけど』「約束だぞ」『はいはい』適当な返事に喜ぶ大輝が可愛くて困る。

#140SS:文中⇒無視・イメージ⇒不安 二宮大輝 (2015.09.27)

「無視すんな」大輝の刺々しい声に足を止める。『……私みたいな出来損ないに構ってる暇があるなら、もっと自分のために時間使いなよ』「誰に何言われたのか知らねーけど、オレはおまえと一緒に走りたい」ぐいと手首を掴まれ彼を振り仰いだ。「……おまえじゃないとダメなんだ」愁いを帯びた瞳が私を貫く。

【9/27のお題】情報収集 二宮大輝 (2015.09.27)

携帯を手にした女。「何してる」声を掛けた彼女は動画撮影中のようだ。『撮影禁止ですか』「……そういう訳じゃ」『塾生同士のバトルはレベルが高いと聞いて……すみません』思い詰めた表情に頬を掻く。「追っかけるけど横乗るか」『ありがとうございます、二宮さん』「オレの事……」『知ってますよ』艶笑。

台詞『思いっきりアウト』ギャグっぽい場面 二宮大輝 (2015.09.27)

俯いて携帯を弄る恋人を見つけた。『……セーフ?』「思いっきりアウト。遅刻の理由は」『……向かい風が強くて?』「無風だろ」『ごめん、ガソリン奢る』「満タンだっつーの」『じゃあプリカ』「……騙されねえ」『ごめんてばー』「化粧も服も、気合入れなくたって充分可愛いぞ」『何で大輝が顔赤くするの』

【9/26のお題】例えば 舘智幸 (2015.09.26)

例えば俺が死んだなら。こんな事を話したら、縁起でもないときみは怒るかな。夢中で峠を走っていた頃から、必死にサーキットを走る今も。今日こそ死ぬかも知れないと思いながらステアリングを握る日々。いってらっしゃい、と送り出してくれるきみのために走り続けたい。俺が生きる理由は腕の中に在る。

香水 舘智幸 (2015.09.26)

スーツ姿の彼女を抱き締めた時に香った。恐らく首筋か耳の辺りから。「いつものやつか」『まだ匂う?朝つけすぎたかな』「いや。もう随分薄い」『智幸鼻利くもんね』微笑と吐息を零し彼女が身を捩る。『お風呂入るから』「解ってる」唇が重なる瞬間、キッチンから炊飯完了を知らせる陽気なメロディー。

甘やかしてくれてもいいよ 舘智幸 (2015.09.26)

「おかえり」私を迎えたのはエプロン姿の智幸。『ただいま。早かったね』「ああ。風呂沸いてるぞ。米が炊けるまでもう少しかかる」『じゃあお風呂』「疲れてるみたいだな」『甘やかしてくれてもいいよ』「そのつもりだ」『冗談だけど』「自分の言動には責任を持て」『……ハイ』玄関で苦笑混じりの抱擁。

あぁ、弱いなぁ 二宮大輝 (2015.09.25)

口論なんて大袈裟だけど些細な言い争いの途中、ぷいと彼女がそっぽを向いた。その仕草が可愛いのわかっててやってるって知ってる。知ってるけど……あーやっぱり可愛いなちくしょう。膨れた頬に指先で触れると拗ねた表情が少し和らぐ。惚れた弱みってやつだろうか。オレは本当、きみにだけはかなわない。

ねえねえお姉さん僕と遊ばない? 二宮大輝 (2015.09.25)

「おねーさん。遊びましょ」人待ち顔の女性に声を掛けたら睨まれた。『いいよ』「へ?」『きょとんとするな。誘ったのあんたでしょ、二宮』「待ち合せじゃないんすか」『すっぽかされた。暇になったから一日付き合って。クルマどこ』「そこの駐車場ですけど」『鍵出しな』「まさか……」『そのまさかよ』

【9/25のお題】引き返す 二宮大輝 (2015.09.25)

「またケンカしたのか」『平気。二宮君がそんな怒ることないでしょォ』「女に手上げるとか腹立つんだよ。オレはおまえを泣かせたりしない」彼女の驚いた顔に唇を結ぶ。これでもう〈ただの友達〉へは引き返せない。崖の淵を背にしたような恐怖で足が竦むけれど、後悔はしていない。さあ、選択と決断を。

三時の雨宿り 二宮大輝 (2015.09.25)

『ちーっす』手には半帽メットとビニール袋。今日は客ではないようだ。「雨ん中原チャかよ」『急に降ってさァ、参っちゃうよ。社長は?』「もうすぐ戻ると思うけど」『そ。雨止むまでお茶付き合って』彼女は返答を待つことなく給湯室へ向かう。『皆おやつ食べよー』ガレージへも声を掛け束の間の休息。

#140SS:文中⇒明るい・イメージ⇒決意 舘智幸 (2015.09.24)

「ちょっと野暮用。彼女置いてっていい?」「俺は構いませんよ」「悪いね、すぐ戻るから」カメラ片手に駆け出す記者の背中を見送る。「……久し振りだな。覚えてるか」『覚えてるよ』「元気そうで良かった」はにかむような明るい笑顔で頷き『智幸も』と返す彼女。言いたい事が沢山あったと気付かされる。

台詞『どこまで逃げるつもり』エロティックな場面 舘智幸 (2015.09.24)

シーツを握り締める手は智幸の掌で覆われる。「どこまで逃げるつもりだ」スプーンが重なるように背後から抱擁。「俺がお前を手放すと思うか」首を捻ると唇に熱く甘い急襲。「認識が甘いな」崩落寸前の腰を掴まれた。「……愛してる」縛って、繋いで、どんな手段でもいい。本当は片時だって離れたくない。

【9/24のお題】べた褒め 舘智幸 (2015.09.24)

「活きの良い奴が居るってよ」塾生の評判を聞いた。東堂塾の求めるレベルで走れる〈女〉が珍しいだけ。自分にとってはただの噂に過ぎない正体不明の人物。暫く経ち、彼女の走りを目の当たりにして考えは変わる。「どうすかトモさん、すごくないですか」「ああ。興味深いな」ぽつりと漏れた貪欲な本音。

もう一度、恋をしよう 舘智幸 (2015.09.24)

学生時代の恋人を不意に思い出す。自分本位の恋愛ごっこ。後悔で軽い苦味。「舘君。取材いい?」聞き慣れた記者の声。振り返ると傍らに見覚えの無い女性。いや、緊張気味の硬い表情に懐かしさを感じる。「彼女、研修中なんだ。期待の新人」『よろしくお願いします』美しい礼。彼女に惹かれたのは二度目。

#140SS:文中⇒普通・イメージ⇒嬉しい 二宮大輝 (2015.09.23)

『お待たせ』「おう」今日は目線の高さが同じくらい。足元へ目を遣れば普段より高いヒール。「おまえさ、本当にオレでいいの」『は?』「いや普通……女って背高い方が好きだろ」『普通って何?私の意思を無視しないで。大輝は私に愛されてりゃいーの!』一気に捲し立てた恋人は赤い顔でオレの手を取る。

多分上手く笑えていない。 二宮大輝 (2015.09.23)

『二宮。これ食べる?』「いただきます。どっか行ったんですか」『ちょっと遠出してきた』「酒井さんと?」彼女は微笑って頷く。「式の日取り決まったんでしたっけ」『んー、まあ候補は幾つか。二宮も都合ついたら来てよ』「もちろん。楽しみにしてますから」彼女が笑顔を見せるたび、オレの心は沈む。

台詞『どうしようもなく好き』楽しい場面 舘智幸 (2015.09.23)

「どうしようもなく好きだ。この気持ちをどうしてくれる」『なんて答えづらい……』唸る私の前髪に智幸の唇が触れ目を合わす。「答えが出るまで傍に居ればいい」『答えが出たら?』「また何かしら問うとしよう」『繰り返してたら二人でずっと年取ってくね』「二人とは限らないぞ」勝手な想像でニヤニヤ。

#140SS:文中⇒くっきり・イメージ⇒構って欲しい 舘智幸 (2015.09.22)

青空にくっきり浮かぶ稜線。都会暮らしに慣れたとは言え、やはり緑の中に居ると落ち着くようだ。デルソルの助手席から降りた智幸が「交代だ」と背伸びする私へ投げた。それには答えず、小走りで近付き袖を引く。「どうした」『……ううん』「夜まで待てないか」指が絡む。「お前の言いたい事は大体解る」

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:貴方のそんな声は知らない 二宮大輝 (2015.09.21)

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#140SS:文中⇒ありふれた・イメージ⇒未練 二宮大輝 (2015.09.21)

『大輝』オレを呼ぶ声。当り前で気にも留めない行為が嬉しかった。ありふれた出会い、ありふれた別れ。互いに納得したつもりで居た。今も乗っているかは判らない彼女の愛車と同じ車種を見掛けるたび心臓が跳ねる。自分の気持ちを素直に伝えていたら。彼女が思い出になるまではまだ時間が必要みたいだ。

【9/21のお題】たてつく 二宮大輝 (2015.09.21)

「先輩にたてつこうってのか」『先輩?』「塾生としてはオレのが先輩だからな」言い返せない事が悔しくて唇を尖らせた。踵を返すと腕を掴まれ身体ごと大輝と向き合う。「このまま運転したらお前の車がかわいそうだ」『どういう意味』「隣乗れよ。教えんのは得意じゃないけど、オレにできることをする」

四十五秒以内の逢瀬 舘智幸 (2015.09.20)

「来たな」社長の呟きに立ち上がり『1分だけ休憩ください』返答を待たず外へ飛び出す。『トモ!』「どうした、仕事中だろ」『休憩中』久しぶりに会う恋人へ体当たりにも似た抱擁。そのまま彼の存在を確かめるように30秒。名残惜しいが身体を離した。『またね!』足取り軽く私は〈戦場〉へ舞い戻る。

【9/20のお題】根っからの #御題bot:最初で最後の相合傘 舘智幸 (2015.09.20)

彼女の環境がそうさせたのだろう。車やレースは身近な存在だったと。今も快晴のサーキットを走りたくて仕方ない筈。『舘さん、目線』グリッドウォーク中、背後から小声。「今回限りというのは残念だな」『最初で最後です』パラソルが落とす影にまで気を遣う。「最高の贈り物を約束する」目指すは頂上。

#1夢:お願いだから、逃げないで 二宮大輝 (2015.09.20)

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#Dカレ 二宮大輝 (2015.09.19)

「まだマスクって……カゼ治ってねえのか」『……ヘルペス出た』「またかよ!病院は」『行った。薬塗ってるから近付かないで』「早く治せよ」『言われなくても』「お前とキスできないオレの身になれってんだ」『はいごめんなさいね』マスクの内側でニヤける口元。どうか大輝が気付きませんように。

【9/19のお題】年代物 二宮大輝 (2015.09.19)

彼女が祖父から受け継いだ真赤なエスハチで迎えに来た。木製ハンドルを操作する手付きは優美だ。二人寄り添って、同じ年月を重ねていきたい。この車が世代を超えて愛され続けるように。そんなガラにもないことを助手席でぼんやり考える。『どしたの大輝。静かだね』「……べつに」オレの決意はまだ内緒。

#1夢:いまが攻め時 舘智幸 (2015.09.19)

肌の上で指先を滑らせると、彼女は身体を震わせ俺の名を呟く。触れるだけのくちづけ。きつく結ばれた唇を解きたくて耳元で囁いた。「声、我慢するな」それを合図に彼女の全身から力が抜けていく。意地悪と叱られるかも知れない。でも俺が、この攻め時を逃す手は無いと。きみなら理解出来る筈だ。

【9/18のお題】基準 舘智幸 (2015.09.18)

愛車の傍から動けないまま、視線だけが彼を追う。塾生……いや戦力としての基準を満たせばもっとあなたに近付けると、期待しても良いのでしょうか。一歩、足を踏み出した。わからないなら聞くだけだ。『トモさん』プロデビューを控えた想い人の名を。『隣、乗ってもらってもいいですか』「ああ。今行く」

台詞『笑わないで』ロマンティックな場面 舘智幸 (2015.09.18)

待ち合せ場所に現れた恋人は思い掛けないものを抱えていた。驚きと照れを混ぜ思わず口元が緩む。「あまり笑うな」『だってそれ、どうしたの』「似合わないと解ってはいたんだが。受け取ってくれるか」紅い薔薇11本の花束。その意味は[最愛]。『もちろん。ありがとう智幸、嬉しい』彼の唇にも微笑。

台詞『世界で一番愛しております』甘い場面 二宮大輝 (2015.09.17)

「世界で一番愛しております」手の甲に大輝の唇。『……悪い物でも食べた?』恐る恐る訊いてみる。「何を仰いますか」にっこり笑んだ彼は私の手を離そうとしない。「途惑う表情もまた愛らしい。意地悪な悪戯をしたくなっても仕方のないことですよね」背中がこそばゆい。『……好きにして』「仰せのままに」

【9/17のお題】ぶり返す 二宮大輝 (2015.09.17)

ぶり返した風邪は厄介。「マスクしてる。まだ治んねえの」職場に顔を出した大輝がしれっと問う。『誰のせいよ』「看病してやろーか」『結構。うつるよ』「オレにうつしたら治るんじゃね?」『そしたら誰が大輝の看病するの』「お前に決まってんだろ」『……一生終わんない』悪びれず笑う恋人を憎めない。

#御題bot:君がいない寂しさは埋められない #Dカレ 舘智幸 (2015.09.16)

「変わりないか」『智幸宛に荷物届いてたよ。リビングに置いてあるから』「ああ。戸締り忘れるなよ」『わかってます』声を聞いて余計に会いたくなった。明日には会えるというのに待ち切れず落ち着かない。携帯越しの声だけでは、画面に並ぶ文字だけでは。隣に君が居ない寂しさは埋められない。

【9/16のお題】掘り出し物 舘智幸 (2015.09.16)

「見付かったのか」『皆に手伝ってもらったから思ってたより早くね』常連客からの注文は諦め気味の〈絶版車〉。四六時中仕事用の携帯を睨みあちこち駆け回っていた。『かなりの掘り出し物なのよ』胸を張る彼女こそ、俺にとっての。『智幸ヘンなこと考えてない?』「……いや」『ふうん』左隣で甘い吐息。

#御題bot:嫌いな自分を好いてくれる人 #Dカレ 二宮大輝 (2015.09.15)

何度突放しても諦めてくれなかった。いつか、隣に居ることが当然で。今では仲睦まじい恋人。「どっか出かけるか」『大輝はなんか用事あるの』「べつに」『じゃあ家に居る』「そっか。来週は付き合えよ」頷き布団に潜り込む。私が嫌いな私を好きだと言ってくれる〈変人〉は世界に一人で充分だ。

【9/15のお題】いたわる #Dカレ 二宮大輝 (2015.09.15)

夜中に便器抱えて嘔吐する姿は見せたくなかった。背中を擦る掌から困惑が伝わってくる。『大輝お酒強くないんだから……無理しちゃだめだよ』ビール、日本酒、ワイン、焼酎……先輩に注がれるまま何種類飲んだかなんて覚えていない。「今日はお前が上な」『全部吐いたら寝なさい』背中に平手打ち。

ヒールの高いやつ履いても追い越せない #Dカレ 舘智幸 (2015.09.14)

私の身長がもっと高かったら、違う人生を歩んでいたのかな。手元の画面は恋人のインタビュー。隣でパラソルを差す華やかな女性。不意に左耳のイヤホンが外された。「待ったか」慌てて携帯を鞄へ。「今日は背が高いな。足痛くなったら言えよ」智幸は私の手を取り、普段よりもゆっくり歩き出す。

【9/14のお題】うかつ 舘智幸 (2015.09.14)

うかつな手出しは出来ないと、彼女を一目見て感じた。硬い表情のせいだけではない。不安げな瞳の深奥、隠し切れない情熱が灯っていたから。『よろしくお願いします、舘さん』助手席に腰を落とすと彼女が頭を下げる。「緊張しなくていい。普段通りに走ってくれ」『……はい』さあ、お手並拝見といこうか。

【9/13のお題】困惑 #Dカレ 二宮大輝 (2015.09.13)

さらさらと彼女の髪が揺れた。目には薄く涙が滲んでいる。『なによ、大輝。……女が泣くの、そんなに珍しい?』言葉を失くしたオレを嘲笑う。「オレはどうすればいい」『黙って立ってて』「……わかった」答えた途端、心臓のあたりに額が押し付けられた。彼女を抱き締めることは許されるだろうか。

【9/10のお題】涙目 舘智幸 (2015.09.10)

給湯室を覗くと女性が俯いていた。声を掛けると彼女は涙目で客にからかわれたと告げる。『すみませんこんな事』入職したて、恐らく男慣れしていない彼女にとっては一大事だろう。「戻れそうか」『はい。舘さんに会えて元気出ました』「俺に出来る事があれば遠慮なく言ってくれ」笑顔で頷くきみが好き。

いつか隣を歩けますように 二宮大輝 (2015.09.09)

「大輝、鈍いって言われた事ないか」突然の問い。訝しんで問いを返す。「どういう意味ですか、酒井さん」「言葉通り」彼の隣に立つ女性が微笑う。「先輩も何か知ってんですか」『さあ』「それ知ってる感じですよね」『知らない』「何ですか……」いつか彼の隣を歩けるように。彼女の願いは叶うだろうか。

【9/9のお題】目障り 二宮大輝 (2015.09.09)

彼女の恋心は傍から見ても丸分かり。ちらちら視界に入るそれが目障りで仕方ないのは、きっとオレが彼女を気にしているからで。『大輝、隣乗ってくれる?』「いいけど。トモさんに頼めば」『そんな事言えないよ』「オレはいいのか」『大輝には何でも話せるから』ああ、これ友達以上にはならないやつだ。

【9/8のお題】まんまる 舘智幸 (2015.09.08)

「そのくらいにしておけ」熱心にフェイスローラーを転がす彼女へ声を掛けた。『もー少し』触り心地の良い柔らかな頬が失われてしまっては非常に困る。彼女のまるっこい笑顔は俺のみならず、周囲を幸せにするからだ。「俺が揉んでやる」両手で頬を挟むと目を円くして『ちがう』焦ったように声を上げた。

#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ほのぼの 二宮大輝 (2015.09.08)

『大輝君、お疲れ様』年上の恋人はうんと背伸びしてオレの頭を撫でる。「子供扱いですか」照れ隠しで口調はキツくなった。『……私はコレしてもらったら嬉しいから。大輝君が嫌ならもうしない。ごめんね』しゅんと項垂れた彼女を抱き締め、否定の意味を込めて髪を撫でるとくすくす笑いが耳朶をくすぐる。

#私のちょっとエッチな文章が見たい人RTほのぼのな文章が見たい人ふぁぼ:ほのぼの 舘智幸 (2015.09.08)

『コーヒーでいいですか、トモさん』キッチンから彼女の声。近寄り小さな背中を腕に収める。『トモさん?』振り向いた無防備な唇にキス。「二人で居る時くらい名前で呼んでくれ」『……と、智幸さん……』「ああ。悪くないな」『……手、離してください……』頼りない懇願は暫く聞こえないフリをすると決めた。

その横顔に泣いた跡を見つける 二宮大輝 (2015.09.07)

「聞いたか。トモさん結婚するって」『……ん』ガレージ隅で俯き工具を整理する彼女の表情は窺えない。「諦めろ」『……ん』「潮時だろ。オレにしとけって」『大輝君、誰にでもそういう事言いそう』苦笑めいた吐息は震えている。「オレは本気だからな」『私も本気だった』「……知ってる」その横顔に涙の跡。

【9/7のお題】出来心 二宮大輝 (2015.09.07)

出来心だと大輝が力なく笑う。合鍵を後悔した。夜勤を終え玄関を開けた途端暗い部屋から「おかえり」。絶叫は温かな手に塞がれる。『来るなら言って』解放された唇は戦慄いた。「色々あってな。慰めてもらおうと思って」『……お風呂入っていい?』「オレはそのままでもいいけど」きつい抱擁、軽くキス。

#御題bot:今背中を向けたら 舘智幸 (2015.09.06)

子供じみた我儘が彼を苦しめた。悲しませるつもりなんかなかったのに、私の所為で。『智幸、』「……ごめんな」どうしてあなたが謝るの。彼の優しさに甘えてしまう私は許されるでしょうか。今、背中を向けたら抱き締めてくれますか。祈りにも似た願いを込めて目を瞑る。涙が一筋頬を伝って唇を震わせた。

妹の日 舘智幸 (2015.09.06)

週末、妹が上京してきた。都内のオープンキャンパスを巡るという。「一人で大丈夫か」『平気だよ、携帯もあるし』「何時に終わるんだ?迎えに行く」『ちゃんと戻ってくるってば。心配しないで』苦笑する彼女はどこか大人びて、俺の知らない顔を覗かせた。『じゃあいってきます』「ああ。気をつけろよ」

妹の日 二宮大輝 (2015.09.06)

『起きて!』騒々しい声に目を覚ます。『どっか行こー』「……親父は」『デート。夕方帰るって』「お気楽夫婦だな」『だからお兄ちゃん車出して』「眠い。無理」『お昼だよ』「じゃあ昼メシ食ってから」『んー……ある物で適当に作るけど二度寝しちゃダメだよ!』「起きるって」好天の日曜はお出掛け日和。

ここより居心地の好い場所は知らないわ 二宮大輝 (2015.09.06)

窓を叩く雨。忙しなく動くワイパー。助手席の恋人は上機嫌。「大雨の何がそんなに楽しいんだ」『ごめん、運転大変だよね。でも大輝と一緒に居られて嬉しいの。大輝のそばより居心地いい場所なんて私知らないよ』言葉に詰まって唇を結んだ。そんなことを躊躇なく言えるひと、オレはきみ以外に知らない。

#1夢:後悔はしたくない 二宮大輝 (2015.09.06)

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#御題bot:うちわ 大福 部室にて 二宮大輝 (2015.09.05)

部室棟の隅。全開の窓。蝉の声。故障中のエアコン。団扇の温い風でも無いよりマシ。ドアノブが捻られた。『お疲れ様……なんだ大輝か』「なんだとはなんだ」『大福いる?』「暑い日に食いたいと思うか」『無理に食べろて言ってない』友人は斜向いに腰を下ろし思い付いたように『アイス大福だよ』「くれ」

#1夢:黙って 舘智幸 (2015.09.05)

火照った頬に智幸の手が触れた。「風呂入るなら声掛けろ」『だって気持ちよさそうに寝てたから。一緒に入るのはまた今度ね』「約束だぞ」承諾の意味で頬を撫で返すと智幸の不満気な表情は少し和らいだ。あくびが零れる。『……そろそろ寝なきゃ』「だめだ。黙って抱かれろ」きっと今夜も眠れない。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:真夜中の秘密 舘智幸 (2015.09.04)

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【9/4のお題】回想 #Dカレ 舘智幸 (2015.09.04)

過去の栄光に縋るような真似はしたくないが現状への苛立ちは隠せない。『社長に話してみたら?』遠慮がちな囁きに寝返りを打つ。こちらを見詰める瞳は黒く濡れていた。「心配するな」恋人の頬を撫でると身を捩り『くすぐったい』と微笑う。「こっち来い」『智幸、』名を呼ぶ声に深く沈みたい。

【9/3のお題】後出し 二宮大輝 (2015.09.03)

『レーシングスーツてどこで買うの?』「どっか走んのか」恋人の質問に質問を返す。『来月、初心者向け走行会。申込済』「後出しすんなよ」『後で言おうと思ってたのー』「今から揃えて車も手入れて……急がねーとな。社長に話つけておく」『やった!大輝頼りになるぅ』「キッチリ礼させっから覚えとけ」

【9/2のお題】口ずさむ 舘智幸 (2015.09.02)

助手席で彼女が口ずさんだメロディに聞覚えはない。「機嫌いいな」『久しぶりに会えたから。……顔緩んじゃう』照れ笑いで頷き、でも、と続ける。『私は智幸のこと見てたよ、ネット中継。本物の方が絶対かっこいいけど。さわれるし』二の腕を指先でつつかれた。「……それ以上はやめておけ。我慢の限界だ」


2015年8月top

30本up。

【8/31のお題】いじける 乾信司 (2015.08.31)

『好きなコでもできた?』家庭教師は近所のお姉さん。突然の問い、お手製課題を解くペンが止まる。「……関係ない」『信司君冷たあい。悲しー』「いじけたってダメ」『けち』「終わった。採点」『ハイハイ』赤ペンを手にした彼女の眼つきは真剣そのもの。「黙ってたら美人なのに」呟きに照れ笑いが返る。

#1夢:失ったものは 庄司慎吾 (2015.08.30)

慎吾から突き付けられた、なくした筈のハンカチ。『どこにあったの』「車ん中落ちてた。一応洗濯したからな」『ありがと。よく私のってわかったね』「隣に乗せる女なんざお前しかいねェ」『沙雪ちゃんとか』「妬いてンのか」『……否定はしない』「素直じゃねーな」捻くれた微笑さえ私にはご褒美。

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:この夜が明けたら 秋山渉 (2015.08.29)

親の目を盗んで夜遊びする不良になるとは予想外だ。峠に響くスキール音で大人になった気分。「お前ここ来てる事言ってないだろ。おばさん心配してたぞ」『渉君。……帰ったら話すよ』差し出された小指を笑う。『子供みたい』「いいから」強引な指切り。離したくない。

【8/29のお題】願掛け 小柏健 [SUPER GT 2015 第5戦 鈴鹿サーキット予選] (2015.08.29)

カートを始めたばかりの私にとって〈ここ〉には多彩な夢が詰まっている。『父さん』人混みの中父の腕を引いた。『私も走りたい』「来週走行会に行くだろう」『……ここで』「GTマシンに乗りたいか」『乗ってみたい』「険しい道を行くんだな」どこか嬉しそうな父の声に頷く。鈴鹿の空に、願いを込めて。

#1夢:先手必勝 岩城清次 (2015.08.29)

『こっちが先行して抜かれなきゃいいんでしょ』「簡単に言うなよ」清次の呆れ声。『小柏君だっけ。結構タイプ』「それが何だ」『追っかけられたら興奮しちゃうかも』「お前なあ……」駐車場へ入ってきた、青いMR2。『先手必勝!一発かましてくるわ』駆け寄り求愛にも似た〈バトル〉の申し込み。

#1夢:先手必勝 [バカビリーバー]萱野友哉 (2015.08.29)

『萱野教えんの下手』「お前のリクエストで貸切にしてんだぞ」『思ってたのと違う』「じゃあもうやめっか」『ううん。首投げやらせて』「無抵抗でいるから好きにしろ」右手で首を抱き込むと見せかけて視線を絡め、唇を重ねる。それからぶん投げた。『今の先手必勝?萱野先生』「……おう。参った」

【8/28のお題】栞 城島俊也 (2015.08.28)

ひらり文机から摘み上げる指先。「この栞、きみの?」『ええ、頂きものです。昔友人から』「そう」『私にとっては好きなひと、でしたけれど』「俺は妬いてもいいのかな」『もう20年以上前の話です。今私が好きなひとはあなたですよ。俊也さん』「頭では理解出来るんだけどね。まったく男ってやつは」

8月27日午後10時(新劇2より) 藤原拓海 (2015.08.27)

『出かけるの』弟の背中へ投げた。どこへ何をしに行くかは知っている。振り向いた拓海の表情はいつもよりほんの少し硬い。『あんまり無茶したらだめだよ』「……わかってる」『ならよろしい。配達までには帰るよね?』「ああ。いってくる」『いってらっしゃい。気をつけて』見送る後姿はどこか大人びて。

【8/27のお題】はにかむ 皆川英雄 (2015.08.27)

吐露したものは胸に秘めていた彼女への想い。はにかんで頷き、朱に染まる頬を直視出来ない。「……家まで送る。連れには伝えておけ」『皆川さん』「何だ」『帰りたくない、て言ったらどうします?』「っお前、自分が何言ってるか解って──」『わかってくれませんか』震えた声。自制心はとうに失せていた。

数秒間の幸せだった #Dカレ 二宮大輝 (2015.08.27)

数秒間の幸せだった。「こいつが彼女」腕の中に閉じ込められくぐもっていたがそう聞こえた。「あんたとは付き合えない。ごめんな」足音と同時に解放され『嘘つき』大輝を詰る声が上擦った。「嘘じゃねー。今からホント」『何、』「だってお前、オレの事好きだろ」自信有り気な笑みに火照る頬。

たどり着いた今日 #Dカレ 秋山渉 (2015.08.26)

たどり着いた今日は無為に終わる。ベッドで修理中の愛車を想い瞼を閉じた。〈走り〉に行けないなんて。携帯の着信に気付き、相手を確かめないまま通話開始。「……はい」『今部屋?』「……ん」『下まで来てんだけど、良かったら一緒に行くか』飛び起き窓を開ける。渉とハチロクが私を待っていた。

【8/26のお題】窮屈 皆川英雄 (2015.08.26)

運転席から名を呼ばれ我に返る。「平気か」『あの、さっきは』「八つ当たりだ。気にするな」『何で、ですか』「全部説明しないと解らんか」『……すみません』身体を縮こまらせる彼女。責めているかのような口調に気付き英雄が舌を打つ。「……いや。お前に話したい事がある」窮屈なシートベルトを外した。

全てが真っ白になった 皆川英雄 (2015.08.25)

全てが真っ白になった。「こいつに手出すな」大声に身体が震える。誘いを何度断っても諦めてくれなかった男の人が彼の一声で背を向けた。『皆川さ、』「お前もチョロチョロしてんじゃねえ」『……ごめんなさい』「……傍に居ろって意味だ」愛車の助手席へ促され私の頭の中は真っ白。頬が熱い、絶対真っ赤。

【8/25のお題】試練 中村賢太 (2015.08.25)

「お前の事好きなんだ。……付き合ってくれる?」友達と思っていた賢太から突然の告白。照れ隠しで『いいよ』と答えるのが精一杯。「……一つ問題が」『?』「お前、うちの母親と同じ名前なんだ」『そう』「大問題だぞ?名前呼べねーよ」『好きに呼んでよ……』「試練にしちゃでかすぎだろ……」神様は意地悪。

【8/24のお題】よこしま 中里毅 (2015.08.24)

道ならぬ恋と言えば聞こえは良いが要はただの不倫。私達は恋愛のオイシイところだけ持ち寄り情事に耽る。「会いたかった」切羽詰まった声で毅に囁かれただけで融けてしまいそうなほど心地良い。いつまで続けられるか判らない関係。だからこそ背徳的で刺激的。『毅。すき、』唇を塞がれ、あえなく陥落。

【8/23のお題】上下関係 庄司慎吾 (2015.08.23)

荒い呼吸がふたつ。「次、上に乗れ」『……やだ。この前痛かった』「あれは……ホラ、男は視覚で興奮するって言うだろ」『それが何』「だから……アングルっつーの?新鮮でヤバかったんだよ。抑えきかなくて悪かった」頭を撫でる優しい手付き。ベッドでは逆らえないと知ってて言うんだから慎吾はタチが悪い。

#1夢:君は僕のアイドル 高橋涼介 (2015.08.23)

部員勧誘チラシのモデルを頼まれ、写真部の即席スタジオでポーズをキメている。『高橋ってアイドルみたい』「……俺が?」『本音見せない。作り笑顔が超上手い』ファインダーを覗きシャッターを切る彼女に迷いは無い。「軽蔑するか」『いーや。引っぺがしたい、とは思う』笑う彼女の、きっと本心。

【8/22のお題】天秤 庄司慎吾・中里毅 (2015.08.22)

『どっちも好き、じゃいけないの?』「オレか毅どっちか選べ」『……選べない』「だからって仲良く3人でデートできっか」『だって私、』ふたりが好き。その想い、天秤には掛けられない。「俺は彼女の答えを尊重する」「物分りいいフリすんな」吐き捨てた慎吾の矛先は再び私へ向いた。「……好きなんだよ」

#1夢:話を聞け、バカ野郎 [バカビリーバー]袴田もついち (2015.08.22)

『……静かに』注意は届いていないようだ。彼は今しがた思い付いたネタがどれだけ素晴らしいか相方へ切々と説いている。「袴田……後ろ……事務局の……」「今いいトコなんだからジャマすんな!」随分ナメてるな。彼の膝裏へ膝頭を押し込み転倒させた。廊下で私を見上げる問題児へ『話を聞け、バカ野郎』

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:瞳から大粒の雨 [バカビリーバー]浦田友里 (2015.08.21)

涙の理由は泣かせた俺がよく知ってる。繋いだ手にぽたと雨粒が落ちた。「ワリイ。行くわ」彼女へ帽子を被せると理由を問うように視線がぶつかる。「気に入ってっから。俺が戻ってくるまで持っとけよ」唇を結び頷く彼女へくちづけ手を離す。俺は〈喧嘩師〉浦田友里。

それはただのエンターテイメント [バカビリーバー]袴田もついち (2015.08.20)

それはただのエンターテイメント。養成所の彼等より面白い素人は山ほど存在する。現実を突き付けられ辞めていく者も少なくない。「すっげえネタ思いついたぞ!」廊下の大声、問題児だとすぐ判った。“自転車兄弟”袴田もついち。『……静かに』このコンビが私のツボだって事は墓まで持っていくつもりだ。

【8/19のお題】名付ける #Dカレ 庄司慎吾 (2015.08.19)

『ただでさえ危ないのにバカな事して!』小言の多い私に呆れたのか慎吾は煙草を取り出す。「そんなにオレが心配か」『当然でしょ』紫煙を吐き出し微笑った。「乗るか、横」『……飛ばさないでくれるなら』「約束できっかわかんねえなァ」この気持ちに何と名付けるのが適切か、私はまだ知らない。

(TLに乗っかった。) 高橋涼介 (2015.08.12)

「こんな時間に何処へ」『ちょい首都高へ。涼介も行く?』「ドライブデートという訳か」……『やっぱ夜景綺麗。社畜の命の輝きね』「そう聞くと刹那的だな」『さー帰ろ』「目的は」『完遂。湾岸走ってコーヒー休憩』「そういうものか。俺は君の隣に居られて嬉しかった」『恥ずかしい事言う人置いてくよ』

【8/11のお題】我慢比べ #Dカレ 高橋涼介 (2015.08.11)

『あづい……溶ける……』「興味深い」『もー限界!シャワー浴びる!涼介も入る?』「……〈そういう〉意味だと理解するが構わないか」『……ただの行水だからガマンしてください』「フェアとは言えないな」『なんで』「俺が君を我慢出来ない事は解っているだろう」冷たいキスはスポーツドリンクの味。

【8/8のお題】きわどい #Dカレ 二宮大輝 (2015.08.08)

「バカお前肌出しすぎだ、これにしろ」んー……「気に入らねーのかよ」や、大輝が買ってくれるんだから好みに合わせるよ。試着してくるね「おう」……大輝、居る?「終わったか」うん。どうかな「似合ってる」じゃあこれ、お願いします「あとコッチもな」だってそれ、「着んのはオレの前だけだぞ」

【8/7のお題】くもる #Dカレ 秋山延彦 (2015.08.07)

『不便ね』「お前は目を大事にしろよ」テーブルの向こうで曇った眼鏡を外す延彦の諭すような口調。『長所なんて視力しかない』「嘘つけ」『私のいいとこ挙げてくれんの』「ああ。いくらでも」『……食べよ、伸びちゃう』顔の熱は坦々麺のせい。それと、延彦の澄んだ目線が突き刺さっているから。

【8/6のお題】恰好付ける #Dカレ 秋山渉 (2015.08.06)

改札を抜けた時、車にもたれる男性がこちらへ手を挙げてみせた。『かっこつけマンが居るなあ。やだなあ怖いなあ』「お前にカッコイイって思われたいんだよ」『ハイハイお迎えありがとね』「流すなって」『渉』「ん」『どんな渉でも私は好きよ』「……オレはお前のそういうとこすっげー好きだぜ」

#Dカレ 武内樹 (2015.08.05)

足回りなんか換えた?「よくわかったな。スタンドの常連さんから安く譲って貰ったんだ」へえ。よかったじゃない「なんだよニヤニヤして」樹が嬉しそーだからつられた「ヘンなヤツ」失礼だなぁ「今更そんなの気にする仲かよ」鈍い彼、きっとこれからも私の大切な〈友人〉で在り続けるのだろう。

#Dカレ (2015.08.04)

忙しいって字[心]を[亡]くすって書くでしょ「それが何だ」うまい事言うなあと思って「今の状況と関係あんのか」ま、それなりに「……しばらく残業続きだったな」仕事あるのは有り難いんだけどねえ「今日無理に付き合う事ないぞ。いつもの奴らしか来ねえし」気分転換なんだからいーの。行こ!

(残業中のフォロワさんへ押し付けた。) 二宮大輝 (2015.08.02)

「残業お疲れ様ですー」キーを叩く手が止まる。『……二宮』「何やらかしたんすか」『終わらせたいんだから話しかけないで』「ひっでえ、せっかく差し入れしに来たのに」『置いてって』「感謝して下さい、たっかい栄養ドリンクっすよ?早く一緒に行きましょ。皆先輩待ってんですから」


2015年7月top

24本up。高橋啓介強化月間(RX-7)。日替わりお題は啓介お相手、固定"夢主"無計画連載。ちょっぴり加筆した夢小説【翼について】2015/08/21 up。

【7/31のお題】勘違い 高橋啓介 (2015.07.31)

はじまりはいつも勘違い。眼下を流れる車列。素足を冷やすコンクリ。不規則な鼓動を〈恋〉と違えたのだとしたら、それは人生で一番の。『次いつ会える?』「今夜」間髪入れず返る答えに嘘、と口が開く。「ウソじゃねーよ。……お前の都合いい時、ならいいか」『ありがと、啓介』「おう。んじゃ、またな」

【7/30のお題】たどたどしい 高橋啓介 (2015.07.30)

「なあ、もう一回名前呼んでくれよ」『改めて、って恥ずかしい……』「今更。さっきは〈ここ〉で何回も呼んでくれたろ。お前のカワイイ声、ぜってー忘れねえからな」『……け、啓介……』「なんで目ぇ逸らすんだ」『だっ、ヘンな事言うから』「事実に変とかねえっつーの」『ばか啓介。好き』「ああ。オレも」

【7/29のお題】許容範囲 高橋啓介 (2015.07.29)

『啓介って女の趣味変わってるよね』「オレのストライクゾーンは広いぜ?どんなボールにも手ぇ出すからな」『……あんまり嬉しくない』「気にすんな」悪びれず笑い私も笑んだ。「呼び捨て、慣れたな」『ん。名前を呼ばれる事が嬉しいって久しぶりに気付いたよ』「オレ、お前に名前呼ばれんのすげー好き」

【7/28のお題】前向き 高橋啓介 (2015.07.28)

「どーする」『……ま、前向きに、検討させて頂きます……』「ハイ以外の返事はいらねえ。選択肢なんか一つでじゅーぶんだろ」不貞腐れたような口調と裏腹の優しい眼差しで啓介は私を見上げる。手を引かれベッドへ倒れ込む私へ「返事は」『……ハイ』「やりゃできんじゃねーか」頬を撫でる掌は熱くて大きい。

【7/27のお題】狂おしいほどに 高橋啓介 (2015.07.27)

室内は乾いた空気が循環し歩く私にひんやり纏い付く。テーブルのボトル飲料を喉へ流し込むと充分冷たい。腰掛けた小さなベッドでは、彼が長い手足を放り出して眠っている。……好き、だなんて。『啓介の恋人はしあわせだろうね』羨望とも諦めともつかない独り言が零れ落つ。「興味あるなら試してみっか」

#1夢:クーラーつけようよ 高橋啓介 (2015.07.26)

暑いのは気温のせい?湯上りだから?タオル一枚巻いただけの身体を強く抱き締められているから?「……元彼の服なんか着てらんねえ」耳元で囁かれた声には激情が色濃く滲む。昼下がりの明るい部屋、熱い身体がふたつ。このままだとまた汗かいちゃうから。『クーラーつけようよ』少し掠れた私の声。

【7/25のお題】リラックス 高橋啓介 (2015.07.25)

『シャワー浴びる?』「……おう」『あ……変な意味じゃなくて、汗かいたでしょ』「ハイハイ」昨日と同じ状態の部屋へ帰宅。死のうとしていた事が嘘みたい。「丈が足りねえ」洗面所から悲愴めいた声。『男物、それだけしか……』「落ち着かねー……次はオレの持ってくる」『それ、』「お前が思った通りの意味」

【7/23のお題】理不尽 高橋啓介 (2015.07.23)

「案外近かったな」『啓介君飛ばしすぎ』もっと二人で居たかったのに。「そこ停めといてもいいか」『空いてるから平気だけど。どうして』「朝まで付き合うって言ったろ」『……もうお昼近いよ』「んじゃ明日の朝まで」言葉に一応の筋道は通っているようだ。「上がって」助手席ドアを開けながら私は笑う。

【7/22のお題】タイムリミット 高橋啓介 (2015.07.22)

車内には静寂だけが満ちている。「やっぱ帰れ。送る」やがて運転席から重たい声。腿に置いた手がびくりと震えた。『……迷惑だった?』「ちげーよ、今日のとこはってハナシ。次はお前が来るんでもオレが行くんでも……とにかく会えりゃ何でもいい」『……うん』しあわせな〈夢〉から醒めるときが来たようだ。

【7/17のお題】高望み 高橋啓介・中里毅 (2015.07.17)

眼前で男性二人が睨み合っている。『……私が話しかけたの。ごめんなさい』「あんたが謝る事ない」「こいつに何した」「何も。彼女の言う通り話しただけだ」「……行くぞ」腕を掴む掌に強い力が込められた。「随分と過保護だな。心配か」「るせえ、おめーにゃ釣り合わねえよ。こいつオレのだから近付くな」

【7/16のお題】敵対 高橋啓介・中里毅 (2015.07.16)

『GT-Rですか』背後から質問、男はウエス片手に「ええ」と返す。『近くで見るの初めてで……かっこいいですね』「ありがとうございます」深夜のセルフスタンドに女性が一人。誰かの連れだろうか。「勝手にどっか行くなよ!」怒号に振り向く彼女の腕を掴んだ男。「……赤城の」噛み付かれそうな熱視線。

【7/15のお題】肩すかし 高橋啓介 (2015.07.15)

『朝まで付き合ってくれるの』「お前が望むなら」『燃費どのくらい?』「……何が」『結構大食いでしょ?走りっぱなしでガソリンもつかな』助手席でそっと姿勢を正し答える。「適当に給油するから気にすんな」『私も行く!セルフやってみたい』愉しげにステアを回す彼女。見つめる啓介は唇を尖らせ失笑。

【7/14のお題】耳打ち 高橋啓介 (2015.07.14)

「なんつーか新鮮」『助手席が?』「あんま他のやつに触らせねーし。つーかお前、案外巧いな。最初はどうなるかと思ったけど」『運転久しぶりだから緊張するの。でも車ってやっぱ楽しいね。帰りたくなくなっちゃう』「帰さない、て言ったらどうする」右隣へぐいと上体を寄せ、耳孔に吐息のおまけつき。

【7/13のお題】別名 高橋啓介 (2015.07.13)

楽しんで。言い残した彼は愛車へ向かう。『仲いいんだね』「今はな」含みのある口調を詮索する気にはなれない。「アニキが何て呼ばれてっか教えてやろーか」明るい声に頷く。「赤城の白い彗星」『かっこいい』「誰が言い出したんだか」苦笑につられて笑うと、熱く大きな掌が背中に触れた。「行こうぜ」

【7/11のお題】古典的 高橋啓介 (2015.07.11)

握り締めた鍵は希望。「こんばんは」啓介君のお兄さんへ挨拶とお辞儀を返す。「啓介。彼女は」「ワケあり」気付けば二人から見つめられている。「何処かでお会いしましたか」『……いえ、』「ナンパみてー」「人聞きの悪い事を言うな。彼女が覚えていないなら俺の勘違いだ。失礼」優美な微笑に見惚れた。

【7/10のお題】適応力 高橋啓介 (2015.07.10)

思考を巡らせた。待つひとなど居ない帰る場所。『……一応』「送ってく」『嫌』「は?」『もう少しここにいたい』酷い我儘は自覚している。「免許持ってっか?限定じゃねえぞ」予想外の問いを理解するまで数秒。『持ってるよ、普通免許』「よし、乗れ」放られた鍵を掴んだ。驚きと喜びが混ざり頬が緩む。

【7/9のお題】なけなしの 高橋啓介 (2015.07.09)

考える事は昔から苦手だ。なけなしの知恵を絞っても結果は知れている。〈彼女〉に声を掛けたのは思考を経たからではない。捨てられた動物を戯れに拾う程度の軽い気持ち。新しい家族を見つけるまでの短い付き合いでも別れはそれなりにつらいものだ。「……帰るとこ、あんのか」ふわり、彼女が振り向いた。

【7/8のお題】ヒエラルキー 高橋啓介 (2015.07.08)

『啓介君のお兄さんがリーダーなんだ。上下関係厳しいの』「んな堅苦しくねーよ。車好きが集まっただけ」駐車場に数台の車が入ってきた。「アニキがやろうとしてる事、オレにはまだわかんねーけど」呟きは彼女へ届かない。届けるつもりもない。『お兄さんてどんなひと?』指差した先、白いFCが一台。

【7/7のお題】開かれた道 高橋啓介 (2015.07.07)

『さっきのあれ何て言うの』「ドリフト」『聞いた事ある』「順応性たっけえな」『?』「硬直してたクセに爆笑されるなんて予想できっか」『すっごくおもしろかった!』「よかったな」『啓介君のおかげだよ』「そりゃどーも」『私、やりたい事できたみたい』「へえ」『これも啓介君のおかげ』「……おう」

【7/6のお題】優先順位 高橋啓介 (2015.07.06)

『車好きなんだ』「ああ。今はこいつが一番だな……っと今日の〈課題〉がまだだ」『課題?』「もっと迅くなりてーの」『啓介君運転上手だと思うけど』「上には上がいんだよ。全員抜くけどな」冗談めいた彼の笑顔。「つーことでちょっと付き合ってもらうぜ」ウォームアップ代わりの急旋回、声すら出ない。

【7/5のお題】エゴイズム 高橋啓介 (2015.07.05)

どうして。助手席から問うと運転席の彼は少し考えるように「理由か」と呟いた。「なんつーの、エゴってやつ?」『……私を〈助ける〉事があなたの利益になるとは思えないけど』「んじゃ〈気が向いた〉から」彼らしく感じられ不意に頬が緩む。「なんで笑うんだよ」『気が向いたから』「そんならいーけど」

【7/4のお題】一度きり 高橋啓介 (2015.07.04)

最初で最後の恋と信じた事が人生最大の過ちだった。「絶叫マシン平気か」『……うん』「行こうぜ」『どこに』「峠」『やま?』促され店外へ出ると、眼前に黄色と橙色二台の車。「悪いな史浩」「いや。行くぞ賢太」「はーい」二人は橙色の車で駐車場を後にする。黄色い車の助手席が開けられた。「乗れよ」

【7/3のお題】乏しい 高橋啓介 (2015.07.03)

深夜のファミレス。感情表現が得意でない私の対面に正反対の男。よく食べ、よく喋り、よく笑う。なにも持たない私とは違う人種のように思えた。腹が鳴ると同時にメニューが開かれる。「好きなの食えよ。オレも追加すっから」『まだ食べるの』「これは前菜」互いの唇に苦笑が浮かぶ。「やっと声聞けた」

【7/2のお題】平凡 高橋啓介 (2015.07.02)

特別な事など無い平凡な人生だった。終幕理由は失恋の二文字、ありふれた投身自殺。ひたり素足で踏み出した途端「今死ぬとこ?」背後からの問い掛けに振り向く。返答を促すような男の目線に捕えられ頷いた。「んじゃその〈命〉くれよ」揃えた靴を拾い上げて男が笑う。「メシでも食おうぜ、シンデレラ」



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