140字小説一覧|

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豆腐屋強化月間
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『毅何かある?やり残した事』炬燵で蜜柑を頬張り恋人が問う「特に思い当らない。お前は」『色々。来年に持越し』最後の一房を俺の口へ放り込み『お風呂入ろー』「寝るのか」『年越しではしゃぐトシじゃないの。…峠行ったら誰かいるかな』「誰かしら居るだろうな」『行こっか!』鍵を手に彼女が笑う。
【12/31のお題】やり残したこと 中里毅 (2015.12.31)


『一年間お疲れ様でした』今宵何度目かの乾杯。『今年はどんな年でしたか』「いい年だった」『それは良かった、私も同感です。来年はァ、家族が増えるといいなと思ってまーす』「…酔ってるな」ぽやぽや笑う妻の紅い頬へ手を伸ばす。「もう寝ろ」『文太くんも』熱い身体を押し付けられて『一緒に、ね』
#深夜の夢小説60分1本勝負:365日目の夜 藤原文太 (2015.12.31)


「雨上がるぞ」助手席の恋人がマニュアル車相手に苦闘する私へ声を掛ける。『虹が出たら私の分も見といて』「緊張するなよォ」『私の隣に乗るなんて自殺志願としか思えない』「言うほどヘタじゃないと思うけど…」赤信号で止まった途端「ほら、虹。うまくいくって、大丈夫」きみの笑顔が幸運の源だよ。
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:虹の日 藤原拓海 (2015.12.31)


『あのさ』「…なんだよ」『さっきの。夜ならいいって事?』「ばっ、お前、何言って」『散々飛ばしてんじゃん。私もちょっとくらいイイでしょ』「…前だけ見てろ」『はーい』シフトノブの左手へ重なる右手「訂正する。たまにはオレのことも見てくれ」『遅いよバカ。私はずっとアンタだけ見てたっての』
#深夜の夢小説60分1本勝負:なんだこのオイシイ展開は※お題[雨の日]続き※ 池谷浩一郎 (2015.12.30)



運転席から憎々しげに雨粒を睨む。『べしょ雪なんのヤだァ』「天気に文句言うな。練習にはもってこいだろ」サイドレバーへ手を掛けた彼女の困り顔『…動かない』「そんな固いか」身を乗り出した途端、頬へ柔い感触。『教習代ね』勢い良くブレーキを落とされ走り出した愛車。「昼間から何考えてんだ!」
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:雨の日 池谷浩一郎 (2015.12.30)


栄養ドリンク一気飲み。今年の案件が片付くまであと一息、ディスプレイ用眼鏡を掛けて仕事モードに突入。背後の扉、ノックから顔を覗かせた毅が「先に寝るぞ」と声を投げてくる『おやすみ。コレ切れたら寝る』「無理するな」『わかってるって。ありがと』仕事中に倒れた事をまだ心配されてるみたいだ。扉が閉まり再び画面へ目を向けた。台所から食洗機の稼働音。静かな夜に聞こえる音は嫌いじゃない。そのうち毅の寝息が聞こえてくるかも。先日奮発したヘッドホンを装着、お気に入りBGMを流して自分だけの世界に没頭。(やっぱり買って正解ね。捗りまくるもの)ニッと唇で笑い仕事納めに取り掛かる。
#二次創作140字書き出し指定ください:栄養ドリンク (提供:匿名様) 中里毅 (2015.12.30)


素肌に触れる毛布の柔らかさ、伸びかけた髭の硬さ。くすくす声の耳元で「どうした」眠たげな毅の声。『ヒゲもちょこい』頬を頬で擦られ悲鳴が上がる。『たわし!やすられた!』「ヤスリかタワシかどっちだ」『マリモ』「…おう」好きと嬉しいが沢山詰まったこの感情、あなたも知っているなら幸せです。
#深夜の夢小説60分1本勝負:愛燦燦※お題[吹雪の日]続き※ 中里毅 (2015.12.29)


暗いと思えば外は吹雪。窓から見下ろす駐車場の雪山は黒い車も白く覆って『車わかんなくなっちゃった』「左から三台目」振り向けばボサボサ髪の恋人が大欠伸。『起こした?』「お前が隣にいなくて起きた」『雪すごいよ』「昼には収まるだろ」『それまで寝てる』「賛成」手を引かれ温かなベッドへ戻る。
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:吹雪の日 中里毅 (2015.12.29)


干物を噛み「年越、実家帰んのか」炬燵の中で足を突くが無反応。「缶ビール一本で寝やがった」ゲソで頬を刺すが薄く笑うだけで起きる気配は無い。立ち上がり彼女を抱き上げた。「リクエストしてた姫抱っこだぞ」酒臭い姫へ思慕のキス。『…満足』「起きてたな」『下ろして』「断る」首筋へ噛み付いて。
#深夜の夢小説60分1本勝負:こたつとビールとスルメイカ (2015.12.28)



傘の水音に空を仰ぐ。クリスマスソングは街から消え、新年の準備に忙しない。『拓海くーん、ご飯はァ』お向かいさんへ問い掛けると「まだです」声が返る。『良かったらおいで、今日はみぞれ蕎麦。お父さんは当番?…の後は飲んでくるかしらね』「たぶん」遠くの拍子木に耳を澄ませた。「お邪魔します」
『お待たせ』大根おろし、油揚げ、葱、海苔、玉子。ほわほわ湯気の立つ丼がテーブルへ置かれた。「いただきます」厨房へ頭を下げ箸を手に取る。一口、二口、温かさに安堵めいた息を吐いた。かららと引戸が開き『いらっしゃい。拓海君、ゆっくり食べてって』向かいのお姉さんはすっかりお蕎麦屋さんだ。
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:みぞれの日 藤原拓海 (2015.12.28)


「なんで開けねーの、天気いいのに」『焼けるから』「いつ開けんだよ」『夜』「オープンカーの意味!」『そもそも私ドライブなんて』「たまには走ってやれよ、クサっちまうぞ」『はいはい』それは私と一緒かも「やっぱすっげえ見られんのな!」『明るいうちに走んのヤなんだってば』「気持ちイイだろ」『さすが。あんな黄色いの乗り回してる人は言う事違うわ』助手席の彼は歩道の親子連れへ手を振る事に夢中で私の皮肉なんか届いていない。満足気に運転席を向いた彼は私の心の隅々まで照らすように笑む。少し反省して『よかったね』ポンと左手で金髪を撫でた。快晴のドライブ、きみと一緒なら悪くない。
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:快晴の日(遅刻) 高橋啓介 (2015.12.28)


夢に立ちはだかる壁の高さは想像以上。何度挫けたか打ちのめされたか覚えていない。『拓海くん』きみの声に励まされてオレは今ここに立っている。表彰台でシャンパンを浴び安堵の笑み。チームへの感謝は勿論、きみがオレを見ててくれると解っているから。二人でみる夢の続きはオレの手で叶えると誓う。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:夢現 藤原拓海 (2015.12.26)


『変な天気ね、もやもやしてる』空を嘆く姉の声。「いただきます」味噌汁を啜るいつもの朝食風景。『拓海、来週進路相談でしょ。志望校決めたの』「一応」「保護者同席か」『そうよ。新聞後にして』汁椀を突き付けられ、新聞へ伸ばした父の手が停止。『じゃあいってきます!』姉がすっくと立ち上がる。
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:煙霧の日 藤原拓海&文太 (2015.12.26)


女の子の笑顔が可愛いなんてあたりまえ。解っているけど、自分だけに向けられた屈託の無い笑顔はとびきり魅力的に感じるもので。『拓海くん』彼女の甘やかな声に「なに」と返せば『なんでもなァい。名前呼びたかっただけ』悪戯っぽく笑うからオレもつられて笑う。きっと一生解けない幸せの魔法。
#1夢:笑顔の魔法 藤原拓海 (2015.12.26)



「ぶーぶ!」顔面を小さなタイヤが転がる感触。犯人は一人しか居ない。『拓海、パパねんねよ』妻の声は半分笑っている。『良かったね拓海。サンタさんにありがとしようね』「あいがと!サンタしゃん!」枕元に放られた包装紙はビリビリに破かれて。「…もう少し寝かせてくれ」サンタはまだ眠いのです。
#深夜の夢小説60分1本勝負:破られた包装紙 藤原文太&拓海 (2015.12.25)


『気が滅入るったらないわ』重く垂れ込める灰色の雲を見上げた。行儀悪く舌を打ち愛車で向かう秋名。すっかり贔屓の場所になった理由は、コースが面白い事だけではなくて。彼に…彼の〈車〉に会えたら。空と同じこの気持ちも少しは晴れるかしら。『いやだ。私、乙女みたいねえ』大声出して気分上げて。
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:くもりの日 藤原文太 (2015.12.25)


蝶が翅を広げるような彼女の瞬き。「目ぇでかいな」『メイク変えたのわかる?』「わからん」『甲斐が無いわねえ』オーバーな溜息。風呂上がりのスッピンが好きだと言っても無視する癖に。「…可愛いよ」『広也、今なんて!』追越車線へ飛び込む。どきどき心臓が騒ぐのは、きみの睫毛が刺さったからだ。
長い睫毛に欲情 奥山広也 (2015.12.25)


昨夜の跡を残す肌。スーツで覆いベッドの彼を叩き起こすも「見えるとこにはつけてねえ」大欠伸が返る。溜息と共に鍵を手渡した。「持ってていいのか」『スペアだから』思い掛けずプレゼントを貰った子供みたいに笑う啓介。好きだなあ、と痛感「仕事納めだろ。頑張れよ」『ん、ありがと。いってくるね』
#1夢:キスマーク※お題[今宵、あなたに会いに行きます]続き※ 高橋啓介 (2015.12.25)


『クリスマスイブ?仕事だよ、トーゼンでしょ』通話を切られた。週末まで待てないと正直に言えば良かったんだろうか。さて、お目当てのビルは。東京のオフィス街に群馬ナンバーのFDが迎えに来てるなんて思ってないだろうな。普段はクールな彼女の驚く顔が見られるかも。携帯を耳に当て発信音を追う。
『もしもし』「オレ。まだ仕事中?」『もう帰るとこ』「電話、このままでいいか」『何、どしたの』「いや、ちょっとな」目的の高層ビルは近い筈だ。『電車乗るから切るよ』「後ろ」『は?』駆け寄り肩を叩く。振り向いたスーツ姿の彼女は予想通り可愛い仰天顔で。『啓介…』愛しいきみに会いに来たよ。
#深夜の夢小説60分1本勝負:今宵、あなたに会いに行きます 高橋啓介 (2015.12.24)



ぱららとフロントガラスを雨粒が転がる。晴れ渡った空の気紛れな涙。『狐の嫁入りね』助手席から嬉しそうな声、次いで缶コーヒー。「サンキュ」受け取り熱いそれを一口啜る。信号待ちのドライバーも歩行者も皆、空を見上げて。『虹出るかも』青信号、動き出す車列。「楽しみだな」上機嫌のきみが頷く。
#深夜の夢小説60分1本勝負・明日晴れるかな?天気予報:お天気雨の日 (2015.12.24)


目の前でヒラリと舞った赤。サンタに扮した彼女の名を呼ぶ。『拓海君。今帰り?』「ああ。配達か」『うん。ケーキいらない?キャンセル出ちゃって…』「デカいのは食いきれねえぞ」『どーよ』保冷ケースから取り出した小振りな箱。「悪いな」『全然。こっちこそ助かるよ』冷えた彼女を温めてやりたい。
「これ持ってけ」片手で器用にマフラーを巻かれた。「どうせ車ん中暖房つけてないんだろ」『おう…なんでわかるの…』「そんな冷たい手してたら客が引くぞ」『ありがと。明日返すから』「いつでもいいよ」素っ気無い口調で優しさを覆う彼へ手を振り『メリークリスマス!』精一杯の笑顔に感謝を込めて。
#二次創作140字書き出し指定ください:目の前でヒラリと舞った (提供:深飛様) 藤原拓海 (2015.12.24)


「なんでですか」平静を装ったものの、声と脚は震えている。『秋名に来た時この車を見かけて。どんな人が乗ってるのかなと気になって…。お仕事中ですよね、邪魔なら』「もう帰りますけど、ついてくるだけなら構いません」バレてない、みたいだ。『私の事は気にせず走ってください』「そのつもりです」
警戒心丸出しの彼がさっさとハチロクへ乗り込み、私も慌てて愛車へ駆け戻る。運転席から視線を向けられ、幾度か頷くとライトが開いた。走りを後ろから眺めると巧さが解る。…でもコーナーのたびにハチロクが離れていくのは何故。気付けば彼の姿を見失って『速すぎでしょォ!』私の大声だけが峠に響く。
「オレもう配達行きたくない」「どうした」「…女の人に話しかけられた。後ろついてってもいいかって」「それで」「さあ。途中でいなくなった」「お前がチギったんだろ」「ちぎる?オレはいつもどおりに走っただけだぜ。とにかくイヤだからな」足音荒く自室へ向かう息子を見遣り文太が白い溜息を零す。
#深夜の夢小説60分1本勝負:無免許運転、ダメ、絶対※お題[雪と月]続き※ 藤原拓海 (2015.12.23)


背中に襲撃『好きって言うまで離さない』「好きだ」渋々解かれた腕、振り向くと起きたばかりらしき妻。ずり落ちそうなカーディガンを羽織らせ「寝てていいって言ったろ」彼女を抱き締めると『文太君タバコくさい』腕の中から上がる不満。それでも離れようとはせず『もう少し、ね』甘く囁くものだから。
『くれぐれも気をつけてねー。いってらっしゃい、文太君』手を振る妻が遠ざかっていく。信号待ちの車内、ポケットの中で煙草がかさかさと音を立てた。「禁煙すっか」吐息と共に漏らしたそれは、最愛の彼女と、まだ見ぬ我が子のための。安心しきった寝顔のために〈早く〉帰ろう。唇の端に笑みがじわり。
#深夜の夢小説60分1本勝負:好きというまで離さない 藤原文太 (2015.12.22)


月が雪を蒼く照らす。ガードレールの薄雪を払い腰掛けた。紅茶の温もりだけが冷えた指と心を支える。夜と朝の曖昧な境界を切り裂く音、プルタブ引く手が停止。振り向いた眼前を疾駆するのは白黒の弾丸にも似た一台の〈ハチロク〉。愛車へ駆け戻る。開封前で良かった、缶をホルダーへぶち込んで急発進。
追い駆けたものの、まさかホテルに着くとは思わなかった。配達途中なら邪魔しちゃいかんな。「何か用ですか」ぶっきらぼうな口調に足を止める。声も外見も、まだ幼さの残る〈男の子〉だ。問いへの答えが見つからないまま吐息が寒空へ消失。『…後ろ、ついて走ってもいいですか』さくり雪を踏み締めて。
#深夜の夢小説60分1本勝負:雪と月 藤原拓海 (2015.12.21)



ハチロクが停車する音で飛び出た部屋。助手席ドアを開けると座面の片手袋が目に付く。『探してたんだ、どこにあったの』「オレが持ってた。気に入ってるんだろ、それ」昨日彼が私の手から外しコートへ仕舞ったのは手を繋ぐため「ずっとおまえのこと考えてたよ。会いたかった」運転席から柔らかな笑み。
#深夜の夢小説60分1本勝負:お気に入りの手袋 藤原拓海 (2015.12.19)


『おはよ。もう車?電話平気?』「どうした」『声聞きたくて』健気な言葉に口元が緩む『てのは置いといて。今日何時に帰る、忙しー?』「…定時に上がる予定」『そ。ごはん作って待ってる、献立決めてないけど』「ああ。楽しみにしてる」『いってらっしゃい延彦。スキ』右耳に触れる温かな吐息。
#1夢:ご飯作って待ってるね 秋山延彦 (2015.12.19)


熱い舌がゆるゆると口腔を侵す。外気の入る隙すら無くぎこちない呼吸。『…コーヒー飲んだ?にがい』「適量のコーヒーは体に良いんだ」私がブラック苦手なこと知ってるくせに、恋人は素知らぬ顔で笑う。『今日は練習つきあってくれるの』「ああ、FCは留守番だ。行こう」冷えた峠、唇だけ紅く燃えて。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:苦い口づけ、笑うキミ 高橋涼介 (2015.12.18)


「いい加減好きって言えよ」『とくに好きではありません』向い合う学食の隅、俯いて携帯を取り出す。「やっぱりな。パスコード、オレの誕生日だろ」『…なんでよ』「動きで判る」『(無駄な洞察力)偶然じゃないの』「すげえ、一万分の一。宝クジでも買えば」きみに好きと言ってほしいのは我儘ですか。
#深夜の夢小説60分1本勝負:とくに好きではありません 庄司慎吾 (2015.12.18)


『免許取れましたァ!』疾風怒濤のごとく駆け込んだ先は豆腐屋。「おめでとう」店主が苦笑し「早かったな。年越すと思ってた」驚いた友人も顔を覗かせた。キーケースをこちらへ向け店主が問う。「初のドライブ、どっちを助手席に乗せてくれるんだい」
『今のバイク危なかったですね、すみません』「なに、巧い方だ。丁寧さは親譲りだな」『父と一緒に走ってた、って話ほんとなんですか』「ああ。最近ワンエイティ買ったと聞いたが」『そうです!もう何考えてんだか…』「男ってのはいつまでもガキみてえなとこがあるのさ」助手席で心弾ませてる俺の事。
#深夜の夢小説60分1本勝負:大人証明書 得票率48% 藤原文太 (2015.12.14,18)



『免許取れましたァ!』疾風怒濤のごとく駆け込んだ先は豆腐屋。「おめでとう」店主が苦笑し「早かったな。年越すと思ってた」驚いた友人も顔を覗かせた。キーケースをこちらへ向け店主が問う。「初のドライブ、どっちを助手席に乗せてくれるんだい」
運転席で緊張する友人へ声を投げた。「東京の専門学校に行くんだろ」『跡取修行だよ』「さみしくなるな」『拓海君は就職?』「ああ。オレは継がない」『…そう』「なんか食ってくか」『それならお父さんも一緒が良かったね』苦笑を零す。きみと二人きりのドライブなんて、最初で最後かもしれないのに。
#深夜の夢小説60分1本勝負:大人証明書 得票率52% 藤原拓海 (2015.12.14,18)


きみとクルマと缶珈琲。冬のドライブに欠かせないものみっつ。『そもそも車がなかったらドライブじゃない』冷たい視線を寄越す助手席の恋人、手には缶ココア。「硬いコト言うなよ」黄信号で減速停止。『中里さんに会えるかな』オレにとって一番どうでもいい事を気にする彼女の浮かれた右頬へ寄せた唇。
#深夜の夢小説60分1本勝負:俺的三種の神器 庄司慎吾 (2015.12.17)


無心で餃子を包む手がはたと停止。ずらり並ぶ白に無言で抗議され見つめられている気分。八つ当たりとストレス解消のためとはいえ作り過ぎてしまった、お向かいさんへお裾分けに行こうかしら。『ごめんくださァい』ドキドキを少量含んだ声で訪ねると「…おう。どした」眠たげな拓海君が出てきてくれた。
『餃子作りすぎた』タッパー挟んで向い合う。「焼くだけか」『あと水餃子、スープやお鍋に入れてみて。このまま冷凍できるよ』「いつもサンキューな。その辺の適当に持ってけ」『いいって。じゃ、おやすみ』「ちょっと待ってろ。送る」『…うちまで数歩なのに』「いいから」私をここに縫い付ける視線。
#二次創作140字書き出し指定ください:無心で餃子を包む (提供:匿名様) 藤原拓海 (2015.12.17)


「機嫌いいな文太」給油中、祐一に運転席を覗き込まれ「ちっとな」とだけ返す。「聞いたか、真赤なシルビアの噂」片眉が反応。気付かれたか「直接会った奴は」「さあ…」「ならオレのもんだ。手ェ出すなよ」「知ってんのか」「教えねえ」呆れ顔の旧友へ紙幣を突き付けた。最果ての場所から始まる物語。
#深夜の夢小説60分1本勝負:エンディングにはまだ早い 藤原文太 (2015.12.16)


年の離れた口数少ない弟と遊ぶのは退屈。友達とケンカした放課後、居間で座布団枕に不貞寝。頭に何か触れ、小さな掌がくしゃくしゃ髪を掻き回していると気付く。「ねーちゃ。いいこ」眼前に拓海の笑顔。慰めてくれているのかな。零れた涙が耳朶を掠めた。明日から頼れるお姉ちゃんになる事を誓います。
#深夜の夢小説60分1本勝負:泣き虫は今日まで 藤原拓海 (2015.12.15)



勇者がレベルを上げるたび現実と乖離する。「ラスボス登場だ。震えるがいい」ルーター電源を引抜き浮かべる不敵な笑み。コントローラーの落下を合図に私は世界を放棄した。これで人間らしい暮らしができる。全てを打ち壊してくれる誰かを待ってたんだ。『けーすけ、』久方振りに発した声は随分掠れて。
(おまけ)「大丈夫かい」彼の背後から大家が顔を覗かせた「案外元気そうっすね」「安心した。後は任せたよ、高橋君」二人のやり取りをぼうと眺めPCの電源を落とす。「風呂入れ、風呂。んでメシ食おーぜ」カーテンと窓を開け啓介が笑い「13見ろよ猫の足跡だらけだぞ」駐車場のシルビアを指した「後で洗車な」
(おまけ)ドライヤーを置くと呼鈴。啓介が招き入れた家事代行サービス「掃除はプロに任す。打合せ終わったらメシ行こうぜ」さっさと部屋を出ていく後姿。駐車場へ向うとFDにもたれていた彼が「終わったか」助手席を開ける『なんで来てくれたの』「お前がいないとつまんねえ」背中を押され黄色の密室へ御招待。
#深夜の夢小説60分1本勝負:勇者と魔王 高橋啓介 (2015.12.13)


配達途中擦違ったシルビアに見覚えは無いが天下の公道、いつ誰がここを走ったっていい。帰路、給水塔へ差掛るとそこに居た紅いS12。普段なら気にも留めず帰る筈、今日に限ってステアリングを切ったのは美しい挙動に惹かれた所為か。運転席から降りた彼女の濡れた瞳が心持揺れてハチロクと俺を舐る。
#1夢:揺れる瞳 藤原文太 (2015.12.13)


谷田部と首都高が遊び場だった頃。苦労して縮めたタイムはワークスドライバーに容易く塗り替えられた。巧い奴は居るし速いクルマも存在する。それが自分に何ら関係の無い事だと気付くまで時間と金を食い潰した。立場を変えて視点も変わる。走る事が好きなただの車バカは今、紅いシルビアで秋名を疾駆。
#深夜の夢小説60分1本勝負:井の中の蛙 (2015.12.12)


俺は頼りないだろうか。微かな不安を口に出す。『そんな事ないよ。私が甘え馴れてないだけ』「甘えてくれていいんだぞ」頭をそっと俺の肩へ。身体を預けてくれた彼女の柔らかな髪に沈黙が落つ。「どうした」『ごめん涼介。ここからどうしたらいいか分からない』途惑う恋人の肩を抱き赤い頬へくちづけ。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋涼介 (提供:瑠璃夜鷹様) (2015.12.12)


『さむゥい!』12月、吹きっ曝しの湖畔は寒くて当然だ。「冷てえ!」コートのポケットへ突っ込まれた彼女の手は冷えきっている。『あーうん、まァ温いかな』「何様だ」絡む指。花火が打ち上げられ、周囲の視線は夜空へ向かう。ほんの少量スリルを含むキス。ふるり震える唇は熟した果実の後味。
#1夢:震える唇 (秋名湖イルミネーション) 庄司慎吾 (2015.12.12)



闇夜に浮かぶイルミネーション。肩へ回した手に力を込めて抱き寄せた。コートの上からでも彼女の身体が滑らかな曲線でできていることが判る。『拓海君めずらしいね』囁きに耳を傾ければ『外で手つないだりしないでしょ。びっくりした』「つないだ方がいいか」『…うん。嬉しい』「わかった」髪が香る。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:滑らかな肩をそっと包んで (秋名湖イルミネーション) 藤原拓海 (2015.12.11)


『諦めつきました?』「オレの台詞だな」『そろそろ結婚してくださいよォ』何度目かの求婚を迫る元教え子はすっかり大人びて。「就活どうだ」『順調です。本当は永久就職希望ですよ』「教師が薄給って知ってるよな」『ハイ小柏先生』「働き始めたら世界は変わる。落ち着いたらまた考えろ」…一歩前進?
#深夜の夢小説60分1本勝負:そろそろ結婚してください 小柏健 (2015.12.11)


『田んぼ凍ったら長靴で滑ったよね』真顔で問われ記憶を辿る「下駄スケート懐かしいな」妻が広げた広報紙、市内リンク開放の報せ。『スケート行こうか、拓海』「すけーと?」『車使わないなら乗ってくけど』「オレも行く」『アラやる気出ちゃった?私巧いわよ』「すけーと!」『手つないで滑ろうねー』
(おまけ)リンクを見渡し息を吐く。「お前の母ちゃんすぐムキになるなァ。何周目だ」傍の息子は初めてのスケートを楽しんだようで何より。「オレの女だ。誰にもやらん」円い目で凝視された戯言。『満喫!』真赤な頬で妻が帰還「おれのんな!」脚に抱きつく拓海を見下ろしこちらへ向けたポカン顔。…似てんなあ。
【群馬県総合スポーツセンター伊香保リンク一般開放】藤原文太&拓海 (2015.12.11)


引戸を開け暖簾を割る手。「いらっしゃい。早いのね」カウンター指定席へ腰を落とす彼といつものやり取り。「今日は車?」「いや、歩き」小鉢とグラスを並べ瓶ビールを注ぐつもりの両手が途惑った。おしぼりにも触れようとせず仏頂面で腕を組む彼。どうしたの、開きかけた唇。「…ちっと話があるんだ」
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 藤原文太 (提供:深飛様) (2015.12.10)


「大きくなったらお嫁さんになるの」二人で叶える夢と驕った愚かな男。「おめでとう」「ありがと!」緊張感を打消して余り有る笑顔。ドレス姿を褒めるなど照れ臭く、女友達がやって来たのを機に退室。俺にはまだ叶えていない夢がある。「幸せになれよ」花嫁には届かない言葉。万雷の拍手へ背を向ける。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 舘智幸 (提供:深飛様) (2015.12.10)



嘘と口走った。何度見返しても携帯画面『結婚しよう』五文字は変わらず「修一」電話先の恋人は呑気。『見たか』「イタズラなら悪質。本気なら誠意がない」『お前ならそう言うと思った』呼鈴が鳴り玄関を開けた途端、大きな薔薇の花束に遭遇。「これ何本」「108本。結婚しよう」薔薇ごと抱き締めて。
#深夜の夢小説60分1本勝負:画面越しのプロポーズ 松本修一 (2015.12.10)


頭上でカウベル。「こんにちは」『拓海君。アンパン焼きたてよ、試食してって。牛乳あるわよォ』いつものようにイートインスペースへ促され暫し休憩。トレイとトングで店内を一周後、会計時『サービス』と袋へ焼菓子。「ありがとうございます」『お父さんによろしくね』ニコニコ手を振られ笑顔を返す。
#深夜の夢小説60分1本勝負:アンパンと牛乳 藤原拓海 (2015.12.09)


そっと彼の肩へ頭を預けた。「……なんだよ」耳をくすぐる大好きな声。むくれたような表情へ「ちょっとだけ甘えてもいい?」控えめな問いと熱視線を投げる。炬燵布団を捲り「腹痛いんだろ。来いよ」空けた隙間へぶっきらぼうに顎をしゃくって。「ありがと、大輝」背後から隙間無く私を覆う温かな抱擁。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 二宮大輝 (提供:つばさ様) (2015.12.09)


「らっしゃい」『焼豆腐』紙の上では何もかも思い通りの筈、なのに筆が進まない。「昨日くれたあの、あれ」『豆腐のマフィン』「愛想のねえ菓子だったな」『マズかった?』「旨かった。ごっそさん」『…お粗末様でした』細目で笑う店主。行き詰った展開に光が差す。「はいよ、毎度」『またね』「おう」
#深夜の夢小説60分1本勝負:物書きの恋 藤原文太 (2015.12.08)


旅支度をしよう。行先も期間も未定の旅。「何持ってく?」ソファでうとうと半目の恋人へ質問。『旅のお誘いですか。暑いか寒いかもわからんのは無理ですなあ…』「俺はお前と一緒ならどこでも行ける。…笑ったな」脇腹へ指を這わすとゲラゲラ笑いが伝染。人生は旅路に似ている、君ならきっとそう言う。
#深夜の夢小説60分1本勝負:終わりのない旅(遅刻) (2015.12.08)



黄色い車の運転席から降りた彼がすみません、と詫びた。『何』「酒井さんじゃなくて」『全然』助手席に着座。「酒井さんとはどういう」『友達』「つきあってたり」『ありえない』駅ロータリーへ到着し、後姿を見送る。ぱっと振り向く彼女、笑って『あなたの運転好きよ。送ってくれてありがと、二宮!』
#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:百合の花(遅刻) 二宮大輝 (2015.12.08)


「文太くん、これ食べたい」可愛いおねだり大成功。小洒落たカップデザートは大きな手に包まれカゴへ。食後のデザートタイム、スプーンに一掬いの甘味を彼へ向けた。「半分こ」「お前のだろ」「いいから」「…じゃあ」あなたとの半分こで私は何倍も嬉しくなるんだよ。突発的なキスでクリーム拭うふり。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 藤原文太 (提供:みかげ様) (2015.12.08)


落葉を拾い上げた指先。それを弄びながら彼女が微笑い『すっかりさみしくなったねえ』冬支度の山を眺めた。「寒くないの」『ぶ厚いタイツなの』自慢げにスカートを持ち上げ『それに、一緒だとあったかいでしょ』二人繋いだ手で温もりを分け合う。手放した葉は冷たい風に乗り、ひらりひらりと身を捩る。
#深夜の夢小説60分1本勝負:散りゆくさだめと知っていた (2015.12.07)


給水塔の下、車の陰で身を潜める女性が目に入る。「何してるんですか」女子トイレ個室へ連れ込まれ『追われてるの』囁く吐息が耳に触れた。爆音マフラーが遠ざかる。『ナンパされたんだけど運転下手で引いちゃった』「知らない人の車に乗ると危ないですよ」至近距離で交錯する視線、汗ばんだ掌を隠す。
#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:ヒトリシズカの花 藤原拓海 (2015.12.07)


『おかえりなさい』出迎えもそこそこに小鍋で牛乳を沸かし始める。『拓海が眠れないって』「どれ、一緒に寝るか」むっつり唇を尖らせたパジャマ姿の息子を抱き上げるが「おさけくさい」小さな手で一生懸命顔を押され苦笑。『できたよー』カップ片手に畳を踏み妻が笑う。『ちゃんとふうふうしてからね』
#深夜の夢小説60分1本勝負:ホットミルクと君 藤原文太&拓海 (2015.12.05)



「お忘れですよ」肩を叩かれ振り向くと差出されたガイドブック。付箋だらけのそれは自分の物に間違いなかった。届けてくれた着物姿の女の子は…先程チェックアウトした旅館の従業員だろうか。『お仕事中にごめんなさい』「いいえ。またのお越しをお待ちしています。いい旅を!」晴々笑顔に乙女の馨香。
#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:鬱金の花 秋山和美 (2015.12.05)


驚いて言葉を失念。自慢の髪は短く、温い風に遊ぶ。「何があった?」『特に…強いて言えば変わりたかったからかな』強く美しい彼女の静謐な微笑。伏在の真実を知りたい俺の我儘。過去も未来も君のすべてを欲しいと思うのは。『変かな?』「いや、これも悪くないさ」頭を撫でた途端、赤面の脱兎が一羽。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋涼介 (提供:瑠璃夜鷹様) (2015.12.05)


「切ったんだな」『ん、まあね』珍しい涼介の驚嘆に笑んだ。軽くなった頭を振り毛先を弄る。彼が率いる〈D〉の始動は契機だった。過去の自分と決別したい、変わりたい。僅かな重さで私を縛る指輪、いつか外す日まで。その先も貴方と一緒に居たいと願うのは。『変かな?』見上げた先、やんわりと一笑。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋涼介 (提供:瑠璃夜鷹様) (2015.12.05)


『時間泥棒』「確かに…これ程時間がかかるとは」アンケートの束と向き合う生徒会室。『いつもこんな事してんの』「今日は偶々だ」『こんなもん盗まれりゃいい』「我々の管理体制が疑われるな」呻き声の主へ詫びた。「付き合わせて悪かった。帰っていいぞ」『最後までやる』意外にも真摯な決意が返る。
#深夜の夢小説60分1本勝負:怪盗が盗んだものは? 高橋涼介 (2015.12.04)


失恋一人旅行の行先は温泉地。人通り少ない寂れた雰囲気に浸る中、慣れない下駄が滑り石段を転がり落ちた。青い傘が宙を舞う。数箇所ぶつけたが幸い数段の落下で済んで安堵。折角の有休なのに受難の誕生日。よろよろ立ち上がるとこちらへ駆け寄る男性が目に入り「大丈夫か」差された傘、顔だけが熱い。
#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:時計草の花 藤原文太 (2015.12.04)



こちらへ手を振る生徒会長が目に入り、友達でも居たのかと鞄片手に見返るが背後は無人。「いい度胸だ」至近距離で降る声に身体を竦める。「俺一人で恥ずかしかったぞ」『高橋が勝手にしたんでしょ』「少し手伝ってくれ。暇だろ」『勝手に決めないで。…暇だけど』放課後の渡り廊下を駆ける足音が二つ。
#深夜の夢小説60分1本勝負:渡り廊下 高橋涼介 (2015.12.03)


背中がぶつかり『すみませ…酒井さん』慌てて口を噤む。彼にとって私はギャラリーの一人。「ごめん。どこかで会ったかな」『いえ、友達に動画見せてもらって。はじめましてです』頭を下げた。『今日は走らないんですか』橙色のツナギで裏方と想像。「ああ。後で隣乗る?」『ぜひ!』薄い笑みに見入る。
(おまけ)「今日は車?」『いえ、私まだ仮免で。ここには友達に乗せてもらって』「ご家族が心配しない?」『一人暮らしです。酒井さんがご迷惑でなければ、もう少し…一緒に居させてもらってもいいですか』「危ないかもよ、俺の隣」『…運転が、ですか』「否定はしないけど…」先輩達からの視線が脳裡を過ぎる。
#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:ガーベラの花 酒井 (2015.12.03)


「オレは何番目だ」パドック裏。鋭い眼差し、質問の意図が把握できず途惑う。詰るように肩を掴む手。『英雄さん』「敵味方問わず随分と仲が良いんだな」『…顔馴染みなだけで、』「頂点はオレだ。レースも、お前にとっても」耳朶へ熱い吐息。強い抱擁に肯くしかない私は綻ぶ唇と昂る心を抑えられない。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 皆川英雄 (提供:りょうこ様) (2015.12.03)


「酔ったか?」隣の恋人へ問うたが俺の心配など無用だとでも言うように首を振る。「初めて二人で飲んだ時のこと思い出してた」ほんのり朱に染まる頬へ指先を滑らせ、柔らかな黒髪に触れて大きな安心感を得た。互いの存在を必要として数年。きみは今までもこれからもかけがえのない、ただひとりの存在。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 史浩 (提供:深飛様) (2015.12.02)


御世辞にも流行っているとは言い難い喫茶店。『コーヒーのおかわりはいかがですか』看板娘から声が掛かり顔を上げる。「お願いします」『少々お待ちください』頭を下げてカウンターへ向かう彼女。君をテイクアウトしたい、と言ったらどうなるだろう。眼光鋭いマスターに追い出されるかな。重苦い溜息。
#深夜の夢小説60分1本勝負:ご注文は私ですか!? 中里毅 (2015.12.02)



『藤原君』クラクションは農協の職員さん。『おうち行くとこなの。乗ってかない?』紫色のドアを開け助手席へ。「GT-Rですか」『そォ不人気の33。書類、文太さんに渡しておいてくれる?』「お茶でも…」『お気持ちだけ頂戴します。戻らなきゃ』あなたの真摯な眼差し、いつかオレにも向きますか。
#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:リンドウの花 藤原拓海 (2015.12.02)


『学校爆発したらいいのに』「試験が延期されるだけだな。お前が隠してるモノも危ないんじゃないか」『言うな高橋!』「口が滑った」校則禁止事項のバイク通学を嗅ぎ付けられ、見逃すかわりに生徒会の雑用を引き受けた。『腹黒会長…』「何か言ったか」『いえ』「赤点など許さんぞ」綺麗な笑顔の圧力。
#深夜の夢小説60分1本勝負:戦え!少年少女共! 高橋涼介 (2015.12.01)


『すみません』「いらっしゃい。何にしましょう」『秋名でお手合わせ願えませんでしょうか』穏やかな微笑の陰に刃を匂わす鋭さ。「悪いな嬢ちゃん。そういうのはやってねえんだ」『そうですか。残念です』挑発するように尻を振り遠ざかる紫色のS12は忘れた事など無かった一台。「娘がリベンジかい」
#深夜の夢小説60分1本勝負・咲き誇れ!花祭り:アザミの花 藤原文太 (2015.12.01)


ぽちぽち携帯を弄っていた恋人。目を輝かせたかと思えば画面を突き付けてくる。「なンだよ」『エリーゼ新しいの出るって。10キロも軽くなるってすごくない?乗りたァい』「クルマが軽くなってもお前が重いままじゃなァ」『ではダイエットだ。胸から痩せるが構わんな?』「サーセン勘弁してください」
【ロータス 新型エリーゼ スポーツ発売記念】庄司慎吾 (2015.12.01)


強張った指先で呼び出す電話番号。『もしもし』「さゆ、っ」名を呼んだ途端、品の無い嗚咽が漏れる。『泣いてんの?』「フラれた…」『時間あるならコッチ来なよ。真子も居るから』「うぐ…さゆ好きィ…」『知ってる。あたしも好きよ』ちゅ、とリップ音が耳をくすぐり『待ってるね』心がすこし融ける。
【12/1のお題】凍てつく 沙雪 (2015.12.01)


*11月|2015年12月|2016年1月#


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