140字小説一覧|夢
*10月|2015年11月|12月#
坂本強化月間(EA11R)
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靴を履いたところで声が掛かり『渉君とこ行くの?』ああ、と振り向けば寝ぼけ眼の恋人。『またつれてって』返事のかわりに温かな身体を抱き締める。「じゃあな」『いってらっしゃい』ドアからの木枯らしが頬を撫で髪を揺らす。ベッドの広さに慣れるのはさみしいけれど、楽しそうな笑顔で許してあげる。
#深夜の夢小説60分1本勝負:頬を撫でた木枯らし 坂本 (2015.11.30)
『写真より可愛い!』熱視線は運転席を通過しMR-Sのフロントへ向かった。「運転するか」『何かあったら困るよォ』「お前の腕は信用してる」隣のAWへ目を遣る。『カイにそう言ってもらえるだけで充分』いそいそ助手席へ収まる恋人の手を取り「これからもオレの隣に居てくれ」指先へキスをひとつ。
11/30 AW11&ZZW30 小柏カイ (2015.11.30)
友達に連れてこられた場所で友達に置いていかれるなんてどうやって帰ろう。「一人?一緒に飲も」お酒臭い強引な手。「こっち先約です」『朝倉君、』ウェイター姿とは違うラフな格好。「彼女?アキオ君ごめん」「飲み過ぎないでくださいよ」「はーい。またね」「…送る」初めて合わせた視線は冷淡な蒼。
[湾岸ミッドナイト]朝倉アキオ (2015.11.30)
空を描くには色が足りず青が欲しいと切に願う。捉えた音はシルビアの咆哮。ヘッドライトが煌いたまま顔が近付いた。瞬きを繰り返し眼前の友人を確認する。『広也、くん?』「誘ったのはお前。甘ったるい声でオレを呼んだ」熱い囁き。手首を掴んだ彼の掌。ボンネットへ引き倒されて背中に硬い青の感触。
#深夜の夢小説60分1本勝負:空色パレット 奥山広也 (2015.11.29)
キッチンのドアが開く。「はよ。早いな」『おはよ。おなかすいてる?』「まだそんなに」そう、と答えた私は抱き上げられシンクの縁へ。「お前に見下ろされんのも悪くない」『…こんなところで?』ひんやり冷たい感触にもぞもぞ腰を動かす。「すぐ熱くなる。心配すんな」膝を割り寄せられた身体。
#1夢:こんなところで? 坂本 (2015.11.29)
「何だその格好。見てる方がさみー」さっさとパーカーを脱ぎこちらへ突き付けた。「着とけ」『寒くないの』「ンなにヤワじゃねえ」『…ありがと』紅いシビックを見送り手元へ視線を落とす。持て余す袖丈、温もり、残り香。彼に包まれているような体感。『意識しないとかムリだわ』腕を抱き諦めて唸る。
#深夜の夢小説60分1本勝負:ぶかぶかのパーカー 庄司慎吾 (2015.11.28)
『お砂糖は何杯?』小さな客人に問う。「…いっぱい」『沢山?』頷いた彼へ甘いカフェオレを差し出した。「いただきます」『はい』豆の焦げ汁を啜りながら彼を見詰める。『駐車場で遊ぶと危ないよ』「…ごめんなさい」『友達いないの?』「いる!」ムキになった彼に名を尋ねてみると「慎吾」項垂れた。
書き出し.me:お砂糖は何杯? 庄司慎吾※小学生 (2015.11.28)
自転車に追突され車道へ転倒。フロントグリルの六連星が間近に迫り死を確信。運転席からご近所さんが顔を出す。「あぶねえな、オレじゃなかったら死んでたぞ」『は、い』「乗りな」後続車へ頭を下げ助手席へ乗り込んだ。「ケガはないか」『たぶん』膝が笑う。「送るよ」涙と鼻水のブレーキ全壊。
#1夢:昼の星空 藤原文太 (2015.11.28)
好きなひとに顔を覗き込まれてふにゃりと笑う。ああ、これは夢なのね。目が覚めたら愛車の運転席に居る筈だ。アクセル踏み込んでクラッチ蹴っ飛ばして峠で遊んでるいつもの私。ゆらりゆらり現実が蕩けて指先から零れていく。名前を呼ばれた。なんてしあわせな「起きろバカ」頭を鷲掴んだ慎吾の熱い手。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:蕩ける現実 庄司慎吾 (2015.11.27)
豪快なコースアウトに乾いた笑いしか出てこない。車同様、無線も壊れたようだ。「こりゃリタイアだな」這いずるように車外へ出たコドラと顔を見合わせ肩を落とす。マーシャルが駆け付けるよりも早くオレを呼ぶ絶叫が曇天を切り裂いた。『坂本ォ!』不安を押し込んだ彼女の声。覗く晴れ間はまるで光線。
#深夜の夢小説60分1本勝負:光がさした 坂本 (2015.11.27)
すきだ、と気付いたのはいつだっただろう。最初はプライベートが全く見えない〈仕事仲間〉のひとりってだけ。この年になって青臭く片想いするなんて思わなかった。きみのことだからオレの気持ちなんかとっくにお見通しだろうね。駆け引きなんてできないからジョッキを掲げて近付いた。「飲んでるかァ」
#深夜の夢小説60分1本勝負:聡明な人 坂本 (2015.11.26)
ソファで丸めた背中に掌が触れ、もそもそ頭を上げると憂い顔が近付いた。「痛いか」『ん…』「代わってやれたらいいんだけどな」大きな手が私の髪を梳き頬を撫でる。「ベッド行くか」『…ごめん』「バカ、謝るのはオレの方だ。お前にばかり辛い思いをさせてる」『豪』「愛してるよ」旦那様の姫抱っこ。
(フォロワさんへ押し付けた。) 北条豪 (2015.11.26)
定例会という名の飲み会は毎度混沌としている。「飲んでるかァ」『飲んでますよ烏龍茶。クルマで来たんですか坂本さん』「タクシー。帰り、送ってってくれるとありがてーけど」『いいですよ。ウチの大事なドライバーさんですから』「それだけ?」『…他に何が』「べつにー」ふふんと笑い上機嫌の鼻歌。
#深夜の夢小説60分1本勝負:混沌の宴 坂本 (2015.11.25)
「もうすぐ退院だな」ベッド脇のパイプ椅子から明るい声。おずおず名前を呼ぶと彼が笑んで頷く。やり取りを何度も繰り返すうち、とうに枯れた筈の涙が溢れた。私の手は温かな掌に覆われ、強く握り締められる。「お前のそばに居るよ」例え上手に歌えなくても、自由に飛ぶための翼ならここにあるのだと。
#深夜の夢小説60分1本勝負:鳴けないカナリア (2015.11.24)
かつて公道やサーキットを共に駆け抜けた戦友は、人生を共に歩む伴侶となった。「幸せにする」『随分前から幸せです』自分には似合わないと苦笑した純白のドレス。似合うよ、なんて御世辞は要らないわ。私達の左手薬指には誓約の指環。「死が二人を分かつまで」あなたと一緒ならどこまでも走れるから。
#深夜の夢小説60分1本勝負:ともに生き、共に果てよう 坂本 (2015.11.23)
『あ!』豆腐の積込を終えたところで素っ頓狂な声が上がる。『昨日〈いい夫婦の日〉だった…』「それがどうした」『文太君冷たい』「そうかい」ぷっくり膨れた頬をつつくと『いってらっしゃい』笑みと白い息が弾む。「体、冷やすんじゃないぞ」『ありがと。気をつけてね』愛妻の腹部にふわりと触れた。
書き出し.me:あ! [いい夫婦の日] 藤原文太 (2015.11.23)
せっかくの泊まりだというのに些細な理由で喧嘩になった。「出ていけ」今まで聞いたことのない声に身体が芯から冷えていく。『わかった』この部屋に私の物なんて多くない。衣類へ伸ばした手を強く掴まれた。「すまない。お前だけは手放せない」『京一、』厚く熱い唇が押し付けられて吐息が甘く変わる。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:出ていけ 須藤京一 (2015.11.22)
名を呼ばれて振り返る。『渉』「まだ居たのか」『写真撮ってた』朝焼け雲を指差した。「空なんか何が楽しいんだ。それよりオレ撮ってくれよ」『はいはい。じゃあハチロクと一緒ね、並んで』愛車の隣、呑気にピースサインなんか掲げて笑う。ボタンを押す手が少し震えた。私の気持ちを写しそうで怖くて。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:茜映す雲 秋山渉 (2015.11.22)
目に留まったAW・ホワイトランナー。隣に停車させ、真白に輝く凛々しい姿を暫し眺める。きちんと手を掛けている事が読み取れた。『あの』遠慮がちな声に振り向くと女性。「キミの車?」『ええ。小柏さん、ですよね。そちらのSW、以前お会いしてます。カイ君にも』はにかむ笑顔、年甲斐もなく昂揚。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:主人公を「キミ」と二人称にする [11/20 AW11&SW20] 小柏健 (2015.11.22)
やるじゃん、とベッドで独り言つ。PC画面には悪路を駆ける一台の車。国内戦なのに遠い世界の出来事みたいだ。私がどうなったって、彼が無事ならそれで良かった。あんなに泣くとは思わなかったけど。誰の所為でもないと何度言っても。…いつかまた、隣で共に闘いたい。茫漠と白い天井に願いが消える。
#深夜の夢小説60分1本勝負:むこうのせかい 坂本 (2015.11.22)
『結婚しよ』交際二年の恋人から〈逆〉プロポーズ。「収入安定してねーし…」『私が稼ぐ。返事聞かせて』喉元に真剣の切先を突き付けられているようなヒリついた乾き、ごくりと唾を飲み込む。「喜んで」抱きつかれた勢いでソファへ倒れ込んだ。きみと同じ明日を生きられるなら、オレの人生は薔薇色だ。
#深夜の夢小説60分1本勝負:ラヴィアンローズ 坂本 (2015.11.21)
コンビニの駐車場。隅に停めた車へ戻ると側に女性が立っていた。こちらに気付いた彼女が『オーナーさんですか』と目を輝かせる。「いえ、父の車です」写真撮影を請われ驚きながらも「どうぞ」促した。「好きなんですね、車」『私AWなんです、うち近いから自転車ですけど…』彼女の照れ笑いが伝染る。
11/20 AW11&SW20 小柏カイ (2015.11.21)
駆け込んだ車両には思い掛けない人物が居た。『中村。車は』「修理中」『かわいそ』「…反省してます」大学最寄駅に到着し、反対側の扉が開く。「降りねーの?」『…スカート挟まれてる』「何やってんだ…」『私の事はいいから』「開くまで付き合ってやる。感謝しろ」隣に立って得意気に笑う〈友人〉。
#深夜の夢小説60分1本勝負:駆け込み乗車はご遠慮ください 中村賢太 (2015.11.20)
表彰台頂上でトロフィーを掲げる泥塗れの彼女は輝いて見えた。挑むジャンルは違えど戦う姿勢は遠くない。「オレも頑張んねーとな」今だけは自分の成績を忘れたい。ここが底、あとは上るだけ。二人なら波瀾万丈も楽しめる。そんな人生も悪くないと思えるようになったのは、きっときみがいてくれたから。
#深夜の夢小説60分1本勝負:人生は山あり谷あり 坂本 (2015.11.19)
聞き間違いかと思い「もう一回頼む」彼女へ乞うた。『私、失恋しました!』先程と寸分違わず元気な声が返る。「ご愁傷様」『そうじゃなくて!』「知らねーよ。女に言え」『沙雪と真子は食べ放題予約してくれた』「じゃあもうオレの出番ねえな」『隣乗せて。慎吾じゃなきゃやだ』見上げた瞳が湛える涙。
#深夜の夢小説60分1本勝負:私、失恋しました! 庄司慎吾 (2015.11.18)
「やっと帰ってきた!」『啓介君』騒々しい出迎えに驚き、キッチンからの匂いにまた驚く。『ごはん作ってくれたの』「旨そうだろ?冷蔵庫ん中、勝手に使ってごめんな。自信あるから許せ」『あぁうん、ありがと…』「いいから早く食おーぜ、ハラ減った!」私をぎゅっと抱き締めて耳元で囁く「おかえり」
(フォロワさんへ押し付けた。) 高橋啓介 (2015.11.17)
『拾ってくれてありがと、健二君』運転席へお礼を言うと照れ臭そうに「通り道だから、ついでだよ」と笑んだ。「あの…オレさ、」彼の表情は真剣で。「…何でもない。またな」遠ざかる後姿に雨と白い吐息が追い縋る。いつか隠してる言葉をきかせてくれる?(できれば私がおばあちゃんにならないうちに)
#深夜の夢小説60分1本勝負:かくされた言葉 健二 (2015.11.17)
待ち合せ五分前。男は辺りを見回し、相手が居ないと判ると携帯を取り出した。『ごめん、もう着いてる?』「急がなくていい。ゆっくり来い」ぷつり切られた通話に苦笑が漏れる。きみはきっと名前のとおり『お待たせ、英雄』二人のときは私だけのヒーローでいてほしい。きみに伝えたら、なんて言うかな。
【伝えようかな?】皆川英雄 (2015.11.17)
「好きだって言ってンだ、バカ」向い合った彼の唇が結ばれた途端ぶわっと頬が燃えるのが判った。俯きかけた顔を掴まれ「目ェ逸らすな」至近距離で視線を合わせた。彼の瞳に私が映る。「返事は」『…見てわかりませんか』「お前の言葉聞かせろ」『慎吾、』名前を呼ぶと柔らかく笑う。『好き。…大好き』
書き出し.me:好きだって言ってンだ、バカ 庄司慎吾 (2015.11.17)
『好きです。付き合ってください!』豆腐屋の店先で差出した右手は弾かれた。「何回目だ」『八回目』「学習しねえなあ」『私が勝ったら付き合って』「一本だけな」『了解!』「車、直ったのか」『直したのよ』秋名の下りで勝負する時、文太は相手が誰だって絶対手を抜かない。私にはそれがただ嬉しい。
書き出し.me:好きです。付き合ってください! 藤原文太 (2015.11.16)
『坂本さんですか』SAでの休憩中、高校生の熱視線に射られた。言葉を交わすうち、ただただ車が好きだった昔の自分を見ているようで背中がむず痒くなる。ふと彼女の表情が強張り『高速教習の途中でした』つい苦笑が漏れた。「頑張って」『はい。失礼します』胸元で揺れた緋色のリボンが目に焼き付く。
#深夜の夢小説60分1本勝負:揺れたリボン 坂本 (2015.11.16)
文化祭の出し物にラブコメ芝居。意味が解らない。姫役が機嫌を窺うように『乾君人気あるんだよ。私はクジ引き』と笑う。「興味ない。帰る」『待って、』腕を掴まれた勢いで扉に押し付けられ、まるで囚われの王子。『…ごめん!』わたわたと身体を離す彼女の手を握る。「逃がさないよ、姫」指先にキス。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:囚われたのは王子様 乾信司 (2015.11.15)
『トオル今日どーすんの』「泊まってもいいか」『いいけど。珍しいね』「たまにはな」低い振動音。『電話?』「…ああ、同期の奴」『出なよ。私風呂掃除してくる』後手に閉めた扉から漏れ聞こえる話し声、私をきちんと騙してくれる律儀な〈恋人〉。沢山の嘘に紛れた真実の宝石にはまだ気付かないふり。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:嘘に紛れた宝石を 末次トオル (2015.11.15)
満面の笑みを指差し問う。「連絡したの誰」渉と延彦が挙手。『坂本全然遊んでくれないし、来たら教えてって言っといた!今から走んでしょ!』「ちょっと黙ってろ、色々あんだよ」『いーから早く!』「…隣乗れ。そんなテンションで事故られたら困る」『やったァ!』浮かれる後頭部にぺちんと愛の一撃。
#深夜の夢小説60分1本勝負:段取りはすっ飛ばして 坂本 (2015.11.15)
『渉くん』躊躇いなく名前を呼ぶ声、はにかむように咲く笑顔。とびきり甘く感じたのはきっと、オレの勝手な愛欲。ステアリングを握る手がぴくりと揺れて、少しばかり緊張しているのだと気付く。動揺を認めた視界に入るナビシート、土曜の夜は指定席。稲妻よりも迅く君を攫いにいくから覚悟して。
#1夢:君を攫いにいく・11/14 埼玉県民の日 秋山渉 (2015.11.15)
足元で乾いた音が鳴り続けた。耳をつんざく轟音の正体がクラクションだと気付き顔を上げる。青い車から降りた男性が「こんなとこ歩くな!」私を一喝した。散々泣いたから酷い顔をしているだろう。互いに視線を逸らせないまま数秒経過。「…乗れ」腕を引かれて騒めく心、いろは坂を舞う枯葉に似ている。
#深夜の夢小説60分1本勝負:落ち葉を踏みならして 小柏カイ (2015.11.14)
とろり、指先に絡み付く蜜。震えた吐息が立ち昇り、唇に薄く笑みが浮かぶ。『そこ、だめ、』「嘘。きもちーんだろ?知ってる」相性が好いのは最初のキスから判ってた。だけど何度身体を重ねても、きみとの距離は縮まらない。嘘吐きはぼくの方だ。…ああ、本当は。きみにぼくを愛してほしいだけ。
#1夢:愛してほしいだけ (2015.11.14)
『お茶が入りましたよォ』「サンキュ」『頂きものだけど』「ふうん。なんか高そ」いそいそ蓋を開ける彼女、紅茶を飲みながら眺めた。一粒のチョコレートが温まった舌の上で溶けていく。どれだけ旨いか彼女の表情が物語っていた。「これ旨いな」『でしょ!』カップを挟んだ俺達二人きっと同じ顔してる。
#深夜の夢小説60分1本勝負:ティーカップと二人 (2015.11.13)
中古車情報誌を捲る指先。「車買うのか」『買ってもらう』「へえ。何乗るか決めた?」『どうせぶつけるんだから何でもいいでしょって』「ぶつけてもいいって思うからぶつけんだよ。乗りたい車あるならちゃんと話せ」『渉君のハチロク、どこで買ったのかなァ』「…後で聞いてやる」心配の種は尽きない。
坂本 (2015.11.13)
秋風が髪を弄ぶ。自宅前でされるがまま突っ立っていた私は途端にもっさり頭と化した。これからデートだっていうのに乙女がこんなんじゃいけない。さっと手直しでスタイルを決め留守番の愛車へ微笑ってみせる。音を捉えて振り向く私の眼前に停まった、メタリックのGT-R。「待たせたか、嬢ちゃん」『全然』助手席にとすんと腰を落とす。「よく起きたなァ。モーニングコールまで寄越して」『すっごい楽しみだった!』「サーキット初めてだもんな」『それもあるけど、』「オレに会えるから、だろ」ニッと笑ってみせる年上の恋人。
11/13 茨城県民の日 得票率39% 星野好造 (2015.11.13)
秋風が髪を弄ぶ。自宅前でされるがまま突っ立っていた私は途端にもっさり頭と化した。これからデートだっていうのに乙女がこんなんじゃいけない。さっと手直しでスタイルを決め留守番の愛車へ微笑ってみせる。音を捉えて振り向く私の眼前に停まった、深い青色のS2000。「中で待っていてくれて良かったのに。寒くなかった?」『だいじょぶ』「きみがそう言うなら信じるよ」『ありがと。ごはん食べた?』「ああ、軽くね」『…お弁当、作ってきたの』「楽しみだな」余裕たっぷりの横顔を、乱してやりたいと思ってしまうのです。
11/13 茨城県民の日 得票率61% 城島俊也 (2015.11.13)
『この窓の向こうに、あなたは何を見ているの?』自分の行先。兄の背中。助手席からの問いへは幾つも候補が浮かんだが答えられなかった。「…オレは、」あの時応えられなかった彼女の想い。今のオレならきみに相応しいと胸を張って言えるのに、隣にきみは居ないから『バイバイ、豪君』選んだ道を悔む。
書き出し.me:この窓の向こうに、あなたは何を見ているの? 北条豪 (2015.11.12)
くるりくるり、視界の端でペンが踊る。「なあ」『何』「それ、気になるんだけど」『何が』眉間の皺をそのままこちらへ向けた彼女が漸く気付いたようにペンを置いた。『ごめん、煮詰まったから休憩するわ。紅茶淹れるけど飲む?』「何味?」『なんでも』「じゃあストレートでオススメを」『かしこまり』
【11/12のお題】手遊び 坂本 (2015.11.12)
若草色のケイマンRが眼前に停車し『お待たせ』運転席から顔を覗かせた友人が笑う。「悪いな」『いーから。ホラ』右手でフイと助手席を指した。『マジでプロになったのねえ』賛嘆の溜息がこそばゆい。「今度観に来いよ。オレ、カッコよすぎて惚れるぞ」『やり直すかも?』「…さあ。どうだろ」本当は、
#深夜の夢小説60分1本勝負:若草色の人 坂本 (2015.11.11)
『ねぇ、話聞いてる?』不満気な声に顔を上げた。「来年GT観に行きたいんだろ」『聞いてるならこっち見てよ』「考え事。お前みたいにアレしながらコレもってできねえんだよ」『じゃあ今から私に集中ね』正面に座った彼女が両手で俺の頬を挟んだ。「手、冷たいな」重ねた手で互いの温度を解け合わす。
書き出し.me:ねぇ、話聞いてる? 坂本 (2015.11.11)
「次いつ会える?」『月末』会う度に次の約束を取り付ける関係。私は彼の事を殆ど知らない。本当かは判らない苗字。恐らく独身だろう。きっと彼も同程度。私達には何の確約も無く、一寸先さえ不透明だ。「忘れモンないか?」彼の問いに頷く。「じゃ、行こうぜ」別れのキスが優しいせいで泣きたくなる。
#深夜の夢小説60分1本勝負:不透明な関係 (2015.11.10)
銃形コントローラを戻し溜息を吐く。「おねえちゃん、へったくそやなあ!」無邪気な暴言に振り返ると少年がコインを投入し「ぼくのウデ見したるわ」と笑んだ。鮮やかな腕前。『一緒にやろう』「ええよ!」「バド」背後からの声に彼が顔を上げる。「ごめんな、また今度」ひらり手を振って駆け出す背中。
[パトレイバー]バドリナート・ハルチャンド (2015.11.10)
表彰台の彼へ思い切り叫んだ。『坂本おめでとー!好きだー!』どうせ喧噪に紛れて届かない。こんな一方的で気楽な告白があっただろうか。私を観戦へ連れ出してくれた渉が隣で爆笑。「皆さんの応援のお陰です。それと」インタビューマイクに向かう彼とパチリ目が合った。「オレも好きだよ。ありがとな」
#深夜の夢小説60分1本勝負:好きだと叫べ 坂本 (2015.11.09)
「おい、聞いてんのかよ!」声は明らかに苛立っていた。『…ごめん』「謝れっつってんじゃねえ」啓介の大きな手に頭を掴まれ、グローブが髪を乱す。「オレが直々にレクチャーしてやるってんだ。光栄に思え」『勉強させてもらいます、あの、放して…』「ちゃんと見てろよ。よそ見なんか許さねえからな」
(おまけ)『み、見ます、ちゃんと見ますから…もう放してってば…』ずいと顔が近付く。『啓介顔近い』「オレしか見えねえようにしてやるよ」『それはどういう、』「オレ以外によそ見させねえってこと」瞬いた瞬間、頬にやんわり唇が触れた。解放されたけれど、私の心は彼に強く引き付けられて。
書き出し.me:おい、聞いてんのかよ! 高橋啓介 (2015.11.09)
快晴の一日が暮れようとしている。このまま崩れないでほしい、と愛車の屋根を取り外し走り出した。「メシでも行くか。慰めてやるよ」ただの口約束とばかり思っていたそれが実現するとは。少量の期待と不安を込めステアリングを握る。沈みゆく太陽を横目、背中のエンジンが奏でるメロディーに包まれて。
#深夜の夢小説60分1本勝負:サンセットのメロディー 坂本 (2015.11.08)
『坂本さんならなんて答えますか。仕事と私、どっちが大事って聞かれたら』「どっちも大事に決まってんだろ。比べるもんじゃねーよ」『ですよねえ…』「でもそんな質問させた時点でオレが悪い。寂しい思いさせたって反省するな。いやそもそもオレ今彼女いねーっての!」私どうですか。なんて言えない。
※下記お題の続き※ 坂本 (2015.11.08)
「俺と車、どっちが大事なんだ!」最高の愚問が別離の原因。深夜の山道、感傷に浸るように星空を見上げているとじんわり涙が滲む。Tバールーフからの雨漏りと一緒で深い理由は無い筈だ。暫くして一台の音を捉え、予想通りカプチーノが現れた。『…坂本さん』「何泣いてんの。フラれた?」直球に失笑。
#深夜の夢小説60分1本勝負:星空の向こうに 坂本 (2015.11.07)
特攻服の彼がぱっと手を上げる。「お前んトコと一緒か」『そっちのルートには迷惑掛けないから。それより荘一、弟が心配してんじゃない?』「また行くんかよってスネられちまった」苦笑を浮かべる背後から「荘一サン!」政友の大声。「ンじゃまたな」彼が駆る日章カラーの単車は私の密かな憧れだった。
[永遠の詩]火群荘一 (2015.11.07)
『萱野君て23歳なんだぁ。じゃあ私の方がおねーさんだ』周囲は若さを武器にグイグイ前へ出ようとし、彼女は一歩引いて悠然と微笑をたたえていた。馬鹿騒ぎを求める客には向かないだろう、隅のボックス席で客と話し込む姿を何度か見掛けた。『また来てね、萱野君』店内の照明を受けて輝く瞳に夜の色。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負:輝く瞳に夜の色 [バカビリーバー]萱野友哉 (2015.11.06)
『週末予定ある?』「約束がある」トンと誌面を叩く。『渉君載ってんの?見せて』ツートンカラーの車を見付けた彼女が覗き込んだ。「おま、近えよ顔が」『あら失礼』雑誌を引き寄せ文字を追う。「…何かあんのか」『ん、また今度でいいよ。たまには一人で居たい時もあるの』離れる度、心へ手を伸ばす。
#深夜の夢小説60分1本勝負:距離感は大切に 坂本 (2015.11.06)
『浮気してやる!』「できるもんならしてみろよ」『…うそだよ!ばか!』「はいはい。ひっでー顔」『なによもう!』「気ぃ済んだか」ぷしゅうと風船の空気が抜けていくように恋人が萎れた。『…謝んないからね』「いーよ、会えなくて淋しかったんだろ?ごめんな。お前がオレを好きなのは知ってんだぞ」
【ひどいかお】坂本 (2015.11.05)
「キリのいいところで寝ろよ」数時間前の声を思い出しベッドに身体を横たえてみるが、今日を終わらせてしまうなんてもったいないと欠伸をひとつ。すぐ傍で繰り返される規則正しい寝息につられとろり瞼が落ちてゆく。放り出された彼の手に触れ温もりを共有。すっかり眠気に包まれて私の長い夜は閉じる。
【11/4のお題】長い夜 (2015.11.04)
『なんかついてる?』旧友との食事中視線に問う。「いや。旨そうに食うなと思って」『そう。坂本君て結構食べるよね、作り甲斐ありそう』「誰にでもそれ言うなよ、男が勘違いする」『料理するくらいでそんなァ。私坂本君ならいいよ、勘違いされても』「…マジで?」『マジで』見つめあって互いに微笑。
#深夜の夢小説60分1本勝負:見つめあって 坂本 (2015.11.04)
私は何番目?って聞いてみたくなる。『車に次いで二番目くらいだとは思うんだけど』「何の話だよ。比較対象わかんねーけどお前が一番大事に決まってんだろ」『坂本、』「いい加減苗字で呼ぶのやめろ。お前も坂本になるかもしんねーのに」『…そういう事軽々しく言わないで』彼が本気だとキスで知った。
#深夜の夢小説60分1本勝負:二番目でもいいわ 坂本 (2015.11.03)
ホームへ見送りには行かない。絶対泣くから。恋人に言われ、短期間の出張で大袈裟と思う反面嬉しかった。駐車場の車内で二人、時間を気にしている。「そろそろ行くよ。…それじゃあ、」押し付けられた唇に消える別れの言葉。言いかけたのは『さようなら』じゃなくて『またな』。それと『ありがとう』。
【さようならは言わない約束】(2015.11.03)
安堵と共にボンネットを落とした。「終わったか」「はい。お待たせしました」「…こっちを向け」振り向く刹那柔い衝撃。「頬にオイルがついていたぞ」「…普通、キスで拭きますか?」呆れ声を絞り出した私の動悸が狂い出して思わず顔を背ける。ああ、こんなの彼を煽るだけ。気付いた時にはもう手遅れ。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 須藤京一 (提供:りょうこ様) (2015.11.03)
「お疲れ様です、中里さん」外回りの休憩中聞覚えのある声が掛かり驚く。声の主と峠以外で会うのは初めてだ。恐らく彼女も仕事中だろう、煙草片手にまじまじ見詰めてしまい慌てて灰皿へ揉消す。差出された缶飲料を受け取った瞬間、触れ合う指先に心が揺れる。俺の定番を覚えてくれていた事が嬉しくて。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 中里毅 (提供:さや様) (2015.11.02)
「お疲れ様です、中里さん」街中で声を掛けると視線は交錯。初めて見る吃驚の表情に得したなんて思ってしまう。差出したのはいつもの缶コーヒー。妙義で会う時と雰囲気が違う、やっぱりスーツのせいかな。「ありがとう」落ち着いた低音、触れ合う指先が心地良くて溺れそう。恋しちゃってもいいですか?
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 中里毅 (提供:さや様) (2015.11.02)
軽く叩かれた背中、掌の感触。『坂本君』「どしたん?元気ねーな」『…私が洗車すると雨が降る法則が発動した』「ああ。今日の雨お前のせいか」『返す言葉もございません…』「いいじゃん雨。運転すんの楽しーし」『それは特殊なひとだよ』「そーか?お前、一般道の運転巧いぞ」余裕の笑顔は救済の光。
【11/2のお題】法則 坂本 (2015.11.02)
何でも話せる友達。この関係に甘えっぱなしだ。「告白しなよ、啓介」笑顔でオレの背中を押してくれるこいつがどこか寂しそうに視線を外して確信する。もう〈友達〉では居られない。くだらない話で涙が出るほど笑い転げて、ばんばん肩を叩きあってたオレ達。ずっとこのままで居られたら良かったのかな。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋啓介 (提供:みかげ様) (2015.11.02)
君の幸せが私の幸せだなんて高尚な事は言えない。でも、君が幸せなら私もきっと幸せだ。その幸せが二人で叶えるものじゃなくても。「告白しなよ、啓介」君が好きな人は私じゃない。友達として二人で居る事もなくなる筈。今はまだもう少しだけ、この関係のままで居たいんだ。最初で最後の我儘をきいて。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 高橋啓介 (提供:みかげ様) (2015.11.02)
「…今日家誰もいねぇんだけど」何でも無い事のようにそれとなく。相当な覚悟で声を絞り出したなんて事、こいつにだけは知られたくないから。束の間沈黙が落ち言葉を探していると絡めた指先から彼女の想いが伝わる。「…いいってことだよな?」臆病な確認と腕を柔らかく包まれ、心の中でガッツポーズ。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 小柏カイ (提供:深飛様) (2015.11.01)
一方的に切り出された別れ話は唐突。それでも綺麗にサヨナラした。脳内処理が追い付いていないだけかもしれない。強い雨は私の気持ちを表しているみたいだ。あ、私フラれたんだな。じんわり実感が湧き苦笑混じりの溜息。取り出した携帯には幼馴染の名前。「もしもし、賢太?」白状するなら早いうちに。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 中村賢太 (提供:深飛様) (2015.11.01)
彼女の愛する人が愛する車。いつもの音はいつもの場所に停まりそこだけ少し華やいだ。幾つかの業務的会話を交わし待合室へと歩を進める彼女が俺を見付け笑う。「嬉しそうだな」「酒井さん。わかります?」わかるよ、好きな人の事だから。きみの笑顔だけで生きていける程度にね。残酷な幸せのお裾分け。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく 酒井 (提供:深飛様) (2015.11.01)
「レインコート泥だらけだな」呆れたような友人の声に振り返る。『坂本、お疲れ。想像してたのと違ったわ』「悪い、説明不足だったか」『あぁイヤそーじゃなくて。すごく楽しかった、ありがと』悪路も悪天候もお構い無しのタフさに驚くばかり。「また来いよ」嬉しそうに笑うきみに惹かれてく。
#Dカレ 坂本 (2015.11.01)
惜しかった。よくやった。そんな言葉が一体何になるというのだろう。『修一…』震えた声が届く前に涙は地面へ落ちていた。その悔しさが明日への糧となるのなら今は泣きたいだけ泣けばいい。「傍に居るよ」俺には何も出来ないけれど、君が俺を欲してくれるだけで。「無事で良かった」零れた本音。
#1夢:泣いてもいいよ、側にいるから 松本修一 (2015.11.01)
*10月|2015年11月|12月#
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