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*4月|2015年6月|7月#
庄司慎吾強化月間(EG6)
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逃げ延びた、という表現は些か不正確かも知れない。しつこい男を軽くあしらったつもりが、尾行に気付いた峠道。もしここが彼のホームコースだとしたら…。飛び込んだ駐車場の見知った顔触れに安堵し溜息。「どうしたんだ」『ナンパされて…』「おい!誤解だっつってンだろ!」赤い車から怒号が上がる。
【6/30のお題】逃走 庄司慎吾 (2015.06.30)


…気持ちい…そこ、もっと…「肩ゴリゴリじゃねーか。お前ホント凝り性な」デスクワークの宿命?「ハイハイ。一週間のお勤めご苦労さん」ふふ「ンだよ」優し〜「バカじゃねーの」痛ったあ!何そのツボ!「今夜は寝れねーと思え」…慎吾こそ「あ?」ストレス発散、付き合ってもらうからね「上等だバカ」
【6/26のお題】凝り性 庄司慎吾 (2015.06.26)


時間。お金。身体。与えたものを数え嘆く事をやめた時、私には物言わぬ愛車だけが残った。…夜が始まる。楽しい思い出の在る場所へはまだ行けそうにない。気の向くまま走り続け辿り着いた妙義山。「女一人でこんなトコ来たらあぶねェぞ」佇む私に向けられた彼の微笑は、異様に妖しい魅力を秘めている。
【6/23のお題】与える 庄司慎吾 (2015.06.23)


都合よく君のことだけ忘れたい。偶然出会ったこと。不意に惹かれあったこと。月日の中で僕は存外傷ついて君をたっぷり傷つけた。互いに納得した上での別れは二人を新たな熱情へ駆り立てるに留まった。離れていた時間を埋める為強く指を絡ませる。心の大部分を占める君のこと。僕はきっと忘れられない。
【都合よく君のことだけ忘れたい】(2015.06.20)



腕利きのスナイパーに心臓を貫かれ、全身に電気でも流れたような衝撃。クルマ以外に熱くなれるモノが自分にあるとは知らなかった。ついと隣へ視線を遣る。「あらら?私に見とれちゃった?」助手席から乗り出す得意顔、キスした後の含み笑い。結構気に入ってる…なんて、オレはぜってー言わねえからな。
【6/11のお題】狙い撃ち 庄司慎吾 (2015.06.11)


携帯を置いた手がぺちんと叩かれた。…何いじけてんの「うっせ。土曜の夜に仕事すんな」そんな「監視だの24時間やってんだろ。知ってる」じゃあ「手順書見ろって」夜勤の子が確認しただけだって「もう邪魔させんな」大丈夫。電源切ったから「…ならいい」機嫌直った?「お前次第」私の背中に固い床。
【6/10のお題】いじける 庄司慎吾 (2015.06.10)


「天気いーし出かけるか」どっちので?「オレのに決まってんだろ」この前もそう言ったでしょ。今日は私「ったく…何でわざわざ同じの選ぶんだ」慎吾とお揃いにしたかったんだもん。ほんとは赤が良かったのに「色まで真似されちゃたまんねえ」目を向けた先、EG6が二台並ぶ駐車場。嬉しさは胸に秘匿。
【6/6のお題】ぞろ目 庄司慎吾 (2015.06.06)


女の癖に。峠で言われる事には慣れていたが、身の危険を感じたのは初めてだ。暴行、山中に棄てられる…腕を掴まれ嫌な予想ばかり脳内から溢れ、それを見透かしたのか呆れたような溜息が降ってくる。「ンな警戒することねーだろ」やがて私のすべてを攫う〈彼〉が駆る、赤いシビックはただそこに在った。
【6/5のお題】一片たりとも 庄司慎吾 (2015.06.05)


新宿西口午後六時。人波に揉まれ泳ぐ私に着信。『周りうっせーな。まだ帰ってねーの』「乗り換え途中」『迎え行ってやろーか』「待ってる時間で家着くわ」『だな。気ぃつけて帰れよ』「何か用だった?」『別に』素っ気ない返事に笑む。暗く澱んだ水底から私は救出された。「帰ったら電話する」『おう』
【6/4のお題】水の底 (2015.06.04)


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