Thanks for your WEB-CLAP. 二宮大輝【うつろう季節】
桜色の春。青碧の夏。緋色の秋。純白の冬。
春は眠いし、夏は暑いし、秋は……まあ、メシがうまいかな。でも冬は寒いし。
四季なんて、自分にとってはただの〈景色の変化〉に過ぎない。
一体何が楽しいのか、彼女はカメラを天に向け夢中で撮影を続けている。
今日は空がきれいだから――明け方叩き起こされた途端「おはよう」よりも先にそう言われ、ドライブがてら小さな散歩。
河原の駐車場から見渡す限り、周囲には人っ子一人居ない。
そりゃそうだ、こんな早くから河原なんかで誰が何するっていうんだ。

「夢子」
名を呼ばれた彼女は「なーに」と背中で答えた。
「そんなに写真撮って、飽きねえのかよ」
「飽きないよ。空はいつも違うでしょ。一日だって、同じ風景はないよ」
どこか愉しげにそう言う彼女の目には、何が映っているのだろう。もっと、彼女のことを知りたいと思った。
愛車に預けていた身体を起こし、足音を立てないよう静かに夢子の背後へ忍び寄る。
突発的に背後から抱き締めた。離したくないから、いつもよりずっと強く。
「いつだって変わらないモンがあるぜ」
「ありがと、大輝」
夢子が笑っているのがわかる。好きなひとが笑うと、どうしてこんなに嬉しくなるんだろうな。

『いつも、私のそばにいてくれてありがとう』

腕の中で向きを変えた夢子が、こちらへレンズを向け素早くシャッターを切った。
「……何すんだよ夢子。今の、絶対半目だぞ」
苦情を申し立てるが、夢子が嬉しそうにしているから取り下げるとしよう。
一緒に見る景色は特別だってわかった。きっと、夢子と一緒だから意味があるんだってことも。
うつろう季節を、あなたとともに。






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