BEAUTY & THE BEAST (2/2)
「京一、これ」

深夜の明智平に2人きり。

ジャケットを渡すといきなり腕を引っ張られ、気付くと抱き締められていた。京一の熱い匂いにくらくらと眩暈がする。

「……京一?」

「心配させやがって」

「心配って――」

夢子が全てを言い終わらないうちに、かあっと唇が熱くなる。

まるで肉食獣が獲物に噛み付くような京一のキスは、一度で致死量に達する媚薬の味だ。息継ぎさえ儘ならない。

「ど、したの?」

弾んだ息でそれだけ尋ねるが京一は夢子を離そうとはしない。京一の背中越しにCE9Aと、雲間から満月がチラリと見えた。

「余裕だと思っていたが――どうやら違うらしい」

耳元でそう囁くとまた夢子の唇を貪り出す。夢子は全身の力が抜けていくのを感じた。

「きょ、ぃち……」

「今すぐ夢子を食べたい」

唇を離した京一が真っ直ぐに夢子を見つめて言う。

「……ここでするの?」

「我慢出来なくなった。――嫌か?」

京一は、ずるい。そんな風に聞かれたら、私は断れる筈がないと――解っていて聞いてくるのだから。


「……ゃじゃないよ……」

小さな声でそれだけ言うと夢子は目を伏せる。京一はそっと夢子を抱き上げてベンチへ向かった。

優しく座らせるとコートを脱がせ、背もたれに掛ける。そうしている間にもキスの手は抜かない。気温は氷点下の筈なのに唇だけが赤く熱くなっていく。

夢子が京一の中心に触れるとそこは既に熱を持ち、硬く自己主張をし始めていた。

「……もうこんななってる……」

「誰のせいだと思ってるんだ」

京一はジッパーを下ろし、取り出したそれを夢子に向ける。先端で透明な雫が妖しく光っていた。

夢子は京一自身にそっと手を触れ、ゆるゆると上下に扱き始める。すると次の瞬間、頭を押さえつけられ喉の奥深くに京一を感じる。

思わず涙が零れ京一を見上げると、冷ややかに見下ろされた。


「こんなの、全部入んな……っ」


くぐもった声で抗議をするものの京一には届かない。聞こえていないのではなく、聞こえないフリをしているだけだ。

その証拠に、京一の口元にはサディスティックな笑みが浮かんでいる。

夢子は口腔内を占領する京一自身に必死に舌を這わせた。それは更に硬度を増し、夢子の唾液に塗れる。

そう長くはもたないと判断した京一は、夢子の髪をわし掴み「いくぞ」と短く言った。

夢子の喉を多量の白濁液が襲う。叩き付けるように放出されたそれを少しずつ飲み込むと、まだヒクヒクと揺れる京一自身を舐める。

湿った音に脳髄が痺れる。京一は自身を引き抜くと夢子に口付けた。

「ダメ、苦……」

「そうか?夢子の味しかしないがな」

ニヤリと笑い夢子を立たせると、ベンチに手を付くよう"命令"した。

ミニスカートの尻を京一に突き出すような格好になり、夢子はますます頬を染める。どんなに恥ずかしいことでも、京一の命令は絶対だ。

下着をずり下ろされ、夢子の秘部が冷たい空気に晒される。京一は暫くそこを眺めていたが、屈み込むとおもむろに舌を這わせた。

京一の温かな舌に内部を掻き回され、夢子の脚がガクガクと震える。それが陰核に届いたとき、夢子は既に達してしまっていた。

「早いな。もうイったのか?」

陰核をねぶりながら京一が問う。夢子は蜜を垂らしながらやっとのことで頷いた。

「それならもういいな」

京一は立ち上がると夢子の腰に手をやり、自身を一気に挿入させる。先程射精したばかりだというのに、京一自身は既に硬くそそり立っていた。

夢子の背中が大きく仰け反り、それに合わせ京一自身をきつく締め付ける。

夢子……力、抜け」

夢子の背中に屈んだ京一が耳元で囁いた。出し入れをする度に京一の腰骨が夢子の臀部に当たり、乾いた音をたてる。

夢子は声を出さないように唇を噛み締めていたが、それでも時折零れる甘い吐息は京一を狂わせるのに充分な理由となった。


薄手のセーターの上から京一が夢子の胸を揉みしだく。

やがて京一は自身を挿入させたまま、向かい合わせに夢子を抱え上げた。

夢子はこの格好が好きだったな」

京一の首に腕を回した夢子は俯いた。

「俺を見ろ。夢子

その命令に夢子は真っ直ぐ京一を見つめる。切なげに寄せられた眉。潤んだ瞳。頬が薄っすらと赤く染まり、グロスで艶めく唇はきつく結ばれている。

「そそるな」

京一はニヤリと笑い、自身を抜きかけた。

「……ゃ……」

「何だ」

「きょ、ぃちのっ……抜いちゃ、やだ……」


大きな瞳に零れそうな程涙を溜めた夢子が、甘い吐息と共にやっと言葉にする。


夢子が締め付け過ぎるせいだ。俺がもたないだろう」

唇に噛み付きながら京一が言う。それでも抜きかけた自身を深く貫くと夢子の脚は大きく痙攣した。

「またイったか。――吹いたな」

夢子からトロトロと零れ落ちる蜜が、京一自身の根元へ届く。

「どうした。外の方が感じるか」

京一はいやいやをするように首を振る夢子を見つめ、滴る程に濡れそぼった内部を掻き回す。湿った音が明智平に大きく響いている。

「京一の、硬、っ……」

京一は夢子を深く貫き腰を擦り付ける。夢子の奥まで届いたそれはまた膨脹したようだ。

夢子は細いな。壊してしまいそうだ」

「いぃ……よ……」

京一の上で弾む体に合わせて息が白く漏れ、そしてすぐに消えた。

「京一になら、殺されても、いぃ……」

「馬鹿な事言うな」

どこか愉し気な口調でそれだけ言うと、夢子の中の京一自身は更に膨脹する。

「また、ぉっきく、なった……っ」

いやいやと首を振り夢子は京一にしがみつく。普段の大人しい夢子からは想像もつかない艶やかな姿態に、京一は限界を感じ始めていた。


「本当はこのまま出したいところだがな」

「……っや、中、だめ……」

「解ってる。どこに欲しいか言え」

夢子はしがみつく腕に力を入れる。容赦なく突き上げる京一の呼吸が荒くなってきているのを感じていた。

「……飲、ませて……」

刹那、ベンチに下ろされた。

剥き出しの尻に冷たさを感じる間もなく唇をこじ開けられ、熱く猛った京一が入ってくる。

一瞬前まで彼が自分の中に居たのだと思うと愛おしかった。

「零すなよ」

そして京一は夢子の髪を鷲掴んで見下ろした。

2度目の射精は夢子の喉を襲い、ゆっくりと滑り落ちていく。多量の精液は夢子の唇の端から一筋糸を引き、ほんの少しだけ零れた。

夢子は白い喉を上下させてそれを飲み込むと、口腔内でヒクヒクと震える京一自身に舌を絡ませる。唇を離すと、京一は夢子の髪をくしゃくしゃと撫でた。


「いっぱい、出たね」

涙目の夢子が見上げると、京一は大きく息をつき「ああ」と苦笑した。ベンチに腰を下ろすと夢子を膝の上に座らせ、唇を啄む。

京一にもたれていた夢子がふと見上げると、白い欠片が空から舞い降りてきた。

「……雪」

「降ってきたか」

「積もるかなぁ」

「どうかな」

夢子を抱き締めながら京一が呟く。

少し力を入れれば壊れてしまいそうな、飴細工のような薄く繊細な身体。京一の腕の中で少し乱れた呼吸をする夢子が愛しくて仕方なかった。

「ここに居ても冷えるな。そろそろ帰るか」

「京一の家?」

「ああ。今度はベッドでな」

「……またするの?」

「何だ、夢子は嫌なのか」

「だって……腰痛いんだもん……」

「今度は優しくするさ」

「嘘つき」

夢子は笑って京一の唇に噛み付いた。濡れた舌が絡んで、夢子の内奥が、きゅうと収縮した。



本当は、優しくなんかしてくれなくていい。京一になら殺されてもいい――それは本心から出た言葉だから。



それを知ってか知らずか、京一は夢子の口腔の隅々へ舌を這わせる。

「……好き……京一……」

「ああ。愛してるぜ。夢子

耳元で低く囁く京一の声に夢子は蕩けた。



どうか今すぐ私を殺して。罪深き野獣のようなその瞳で。

あなたのせいで死ねるのなら、それはきっと想像を絶する程の快楽――



降り始めた雪は、漆黒のCE9Aを薄っすらと覆い始めていた。





[BEAUTY & THE BEAST] END.

BEAUTY & THE BEAST (1/2) *

2004/09/29 up.


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