クリスチーナ (2/2)
「狭いけど我慢しろよ」

後部座席へ夢子を横たえるとEG6のドアを閉めた。広い駐車場の片隅に、赤く切り取られた密室空間。

幾分優しいキスを落とされて、夢子はそれだけで全身の力が抜けていくのを感じていた。


「誰か来たらどうしよぅ……」

慎吾を見上げると悠然と微笑っている。

「こんな時間に誰も来ねぇよ。……もし来たらシてるとこ見せつけてやる」

赤くなった顔を背ける夢子に馬乗りになり、深く深く口付ける。キスをしながらも慎吾の手は、遠慮なく夢子の身体をまさぐっている。

Tシャツの裾に手をかけ、首元まで一気に引き上げた。夢子の白い肌が露わになる。

一応の抵抗はするものの、それがかえって慎吾の欲情を煽ることに夢子は気付いていない。

慎吾はパステルカラーのブラに目を遣り、背中のホックを簡単に片手で外す。

Tシャツと一緒に上へ押しやり、小さく震える胸の飾りに唇を寄せた。

「……っ」

びく、と夢子の身体が震え、微かな振動となってEG6に伝わる。


「ンだよ、敏感だな。まだ上しか触ってねーだろォ?」

意地悪く言うと乳房に噛み付き、強く吸い上げる。夢子はチリチリと感じる甘やかな痛みに襲われた。

「コレはオレのシルシ、な」

くっきりと紅くついた刻印を満足気に眺め慎吾は耳元で囁いた。

「他のヤツに見せたらタダじゃおかねぇ」

夢子が小さく頷くと、ニヤリと微笑い唇に噛み付いた。慎吾の髪が擦れてくすぐったい。


何時の間にか夢子のジーンズは膝まで下ろされている。慎吾はそれをするりと引き抜くと助手席に放り投げた。

夢子すげー肌白いのな」

「……夜型だから……」

答えになっているのかどうかすら解らず、思わず夢子は顔を覆った。

「なンだよ夢子。今更恥ずかしいとか言いっこナシだぜ?」

「だって……今日初めて会ったのに、こんな……」

「"こんな"何だよ」

下着の上からゆるゆると割れ目をなぞる。掠めるようなその触れ方に、夢子はもどかしさを感じた。

「や……っこんなコト、するなんて……」

「オレもこんなコトになるとは思わなかったぜ」

キスを落としながら慎吾が呟く。

「やべぇな。……これ、ヒトメボレってやつ?」

少し汗ばんで額にかかる夢子の髪を梳きながら慎吾は笑った。


「……あたしだけ脱いでるの、ズルぃ……」

慎吾のTシャツの裾を引いて夢子が呟く。

「慎吾も、脱いで?」

潤んだ瞳で見つめられ、慎吾はTシャツを脱ぎ捨る。

「優しくはできねーと思うけど許せよな」

細身だが程好く筋肉のついた体を夢子に押し付け囁いた。


ジーンズのベルトを外す音が大きく聞こえる。

それに気を取られていたら、不意に下着を剥ぎ取られた。慎吾の指の侵蝕に全身が強張る。

「……もう濡れてんじゃん、夢子

ちゅぷちゅぷと淫靡な音を立てて指を出し入れをする慎吾は驚いたように言った。

手の甲を唇に当てて必死で声を殺す夢子に、慎吾自身も痛い程に屹立している。

「誰もいやしねぇよ。声、我慢すんな」

「――っ」

夢子の啼き声聴かせろよ」

空いていた左手で夢子の両手首を重ねて押さえ込み、首筋に噛み付く。



首筋が夢子の性感帯だと解ってからは矢張り、そこを責めずには居られない。

バトルだって相手の弱点を責めるのは当然だろう。卑怯なコトじゃない。



予想通り夢子はびくびくと全身を震わせ、脚を軽く痙攣させた。

夢子の坩堝から指を抜くと、トロトロと絡みつく液体がほんの一瞬糸を引く。

「……ごめ……シート……」

泣きそうな声で夢子が呟く。

「ンなこと気にすんなっての」

慎吾は夢子を拘束していた左手を解くと、優しく唇を塞いだ。


つい先程まで夢子の内部に在った右手を、目の前にスルリと差し出す。それは車内に射す微かな月光に照らされ妖しく光っている。

夢子ン中すげー濡れてんだけど。何で?」

「知らな……」

首元まで真っ赤になった夢子が目を伏せる。ちゅく、という音に薄っすら目を開けると慎吾が指先の雫を舐めていた。

「やだ、っ」

夢子の味がするぜ?」

ニヤリと笑い体を離す。ジーンズのポケットから財布を取り出すと中を漁った。

避妊具の封を口で開け、手早く装着していく。人工的な苺の甘い匂いが強く漂う。

「……この間がイヤだよな……」

くすりと夢子が微笑んだ次の瞬間、膣が押し拡げられた。ゴム越しにも慎吾の熱がしっかり伝わってくる。

「痛かったら言えよ?」

少し乱れた呼吸で慎吾が言った。夢子が辛うじて頷くと、慎吾はゆっくり奥へと侵入ってくる。

「中……慎吾ので、いっぱい……」

甘い声が零れた。頬は薄っすらと桜色に染まっている。

慎吾は夢子の太腿を閉じて抱え、ゆるゆると腰を動かす。抽送に合わせEG6が揺れた。

しっかりと手を握り合っていると、夢子が涙を零していることに気付く。

「痛いか?」

「……違……っ気持ち、良過ぎて……わけわかんな……」

しゃくり上げる夢子の膣は収縮を繰り返している。

「バカ夢子、締めンな……イっちまうだろ」

慎吾は浅く呼吸をしながら夢子の内奥を犯す。しかし容赦なく慎吾自身を締め付ける膣口に、早くも根を上げそうになっていた。

「ワリ……マジでイキそ……」

抽送のスピードを速め慎吾は呟く。粘膜の擦れ合う音と淫靡な匂いが車内に充満し、夢子は眩暈を覚える。

「……夢子……っ」

慎吾の言葉と同時に夢子の中に勢い良く精が放たれる。ゴムの中に精液が溜まっていく感覚を味わう前に、夢子の意識は途切れた。



ゆるりと開けた夢子の目に入ったのは、EG6の天井と慎吾の尖った顎、そして剥き出しの鎖骨だった。

後部座席で慎吾の腿を枕に寝かされていた。殆ど全裸の格好に、慎吾のTシャツが掛けられている。

「お、気付いたか」

「あれ……あたし……」

「失神してたんだぞ。つっても10分も経ってねーけど」

「……失神?」

「そんなに良かったのかよ」

かぁっと頬を染めて夢子は顔を覆った。

「オレもすげー早かったけどな」

苦笑しながら慎吾が言う。夢子は体を起こしてふるふると頭を振った。


「今更だけど、オレお前のことすげー好きだわ」


夢子の髪を梳きながら慎吾が言う。

「ホント。そういうことは先に言ってよね」

苦笑するように夢子が肩をすくめる。くしゃくしゃに乱れた夢子の姿はやけに淫靡で、慎吾は少し照れて視線を逸らした。

「そうだ夢子、携番教えろよ」

「携帯……車の中だ」

こっち見ないでよ、と慎吾に釘を刺して手早く着替えると180SXに駆け寄り、助手席からバッグを取り出す。

携帯電話はすぐに見つかった。自局番号を画面に出して、EG6にもたれ掛かっている慎吾に手渡す。

夢子の番号を登録している慎吾の横顔に、小さくキスをした。

「ンなことされたらまたシたくなるだろ」

左手で夢子の腰を抱き寄せ、額にキスのお返し。

「オレの番号入れといたから」

「うん」

夢子に携帯を返し、今度は唇へしっかりと口付ける。

「このままだと止まんなくなっちまう」

「ダメ」

「――ちぇ。じゃあ、またな。夢子

名残惜し気にもう一度キスをして、慎吾はEG6へ乗り込む。


「帰り気ぃつけんだぞ」

「うん。慎吾もね」

運転席の窓から顔を出した慎吾が手招きする。夢子が少ししゃがむと、触れるだけのキスをひとつ置いていった。

スキール音を残して慎吾が駐車場を後にする。見下ろすと赤いボディが流れるように遠ざかっていった。


「……あたしも帰ろ」

大きく伸びをした夢子は180SXのシートに体を埋めた。

「いっぱい練習しようね、クリスチーナ」

愛しむようにステアリングを撫で、エンジンをかける。アクセルを踏むと応えてくれる咆哮が心地良い。

「あんたの全部を引き出すからね。一心同体だよ」

ガンメタのボディはそろそろと動き出し、EG6とは反対方向へ進んでいった。

もうすぐ妙義に朝がくる。





[クリスチーナ] END.

クリスチーナ (1/2) *

2004/09/28 up.


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